学校におけるソーシャルスキル・トレーニングの進め方を提案します!

2 研究の実際

(4) ソーシャルスキル・トレーニングに関する活動プログラム

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(イ) 活動プログラムのモデル

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 ソーシャルスキル・トレーニングを取り入れた授業で目指すこと
     ソーシャルスキル・トレーニングを取り入れた授業で目指すことは、学級内のよりよい人間関係づくりです。よりよい人間関係は、その集団を構成する人間の相互作用で成り立つもので、個人のスキルを向上させるだけでは、人間関係の問題が解決しないこともあります。
 授業を行う際は、個人の振る舞いや態度だけに焦点を当てるだけでなく、その集団全体の人間関係の実態把握を行うことが大切です。授業の進め方については、授業前と授業後の取り組みも大切になってきます。
 
 
 
A
 授業前の取り組み
     授業前には児童生徒にアンケートを実施して、実態把握を行い、どの程度のスキルが身に付いているかを把握します。そして、その結果から 「身に付けさせたい、よりよい人間関係を促すスキル」を選択します。
     
 
B
 授業での取り組み
     授業では、扱うスキルを「どのようなときに、どのような場面で実践するのか」を理解させます。授業は、そのスキルを使うきっかけ作りになります。
     
 
C
 授業後の取り組み
     授業後には、そのスキルの獲得に向けての定着化を図ります。定着化は、学習したスキルが、日常生活でも活用できるように、教師が様々な場面で働き掛けます。
 ここでは、事前の実態把握から事後の定着化までの基本的な流れを、活動プログラムのモデルとして提案します。
   

○ 活動プログラムのモデルの考え方

 

 ソーシャルスキル・トレーニングを取り入れた授業を実施するに当たり、次の5つを活動プログラム作りの視点としています

  1 児童生徒の実態把握
  2 児童生徒の実態に合った基本スキルの選択
  3 学習活動(インストラクションモデリングリハーサルフィードバック)の工夫
   定着化を図る場の設定
  5 生活場面での活用
   

○ 活動プログラムのモデル

   5つの視点を踏まえた指導手順を、次のように提案します。
 
指導過程
学習活動
授業のポイントと留意点
事 前
(授業前)
 
○授業を実施する児童生徒にアンケートを行い、実態を把握する。
○選択方法を基にして、児童生徒の実態に合った基本スキルを選択する。
○配慮を要する児童生徒の日常の様子を把握しておく。
○児童生徒の実態に応じて、意図的なグルーピングを行う。
授 業
学習するスキルを知らせる
○どんなスキルを学ぶのか、なぜこのスキルが必要かを理解させる。そのために提示の仕方を工夫する。 
○学年が上がるにつれて、動機付けがより大切になる。
学習するスキルのモデルを示し、スキルのポイントに気付かせる
○とるべき行動を明確にするために、教師や生徒がよくない例とよい例のモデルを演じる。
○モデルの示し方は、教師2人、教師と児童生徒、児童生徒同士で行う場合がある。
                         【モデルの示し方の例】(PDF)
ロールプレイなどで、スキルのポイントを意識させながら、繰り返し練習させる
○1回目のロールプレイを終えた後に、できていたことを振り返り、話し合わせる。
○2回目以降は、話し合ったことを意識して練習させる。
○スキルを上手に使っている場合は、褒めて意欲を高める。
○不安や緊張の高い子どもには、活動している近くで見守ったり、説明を加えたりするなどの配意が必要である。
                         【リハーサルの展開例】(PDF)
スキルのポイントについて振り返る
○スキルを実行してみようとする気持ちを高めていくように動機付けを行う。
事 後
(授業後)
学校行事等を活用しながら、学習したスキルが日常生活でも活用できるように、働き掛けを行う
○できたことを認め、褒めることで意欲付けを図る。
  [働き掛けの例]
・学んだスキルがどんな場面で使えるかを考えたり、話し合ったりして、活用のタイミングや場を意識できるようにする。
・学んだスキルを家庭や地域でも活用できるようにする。(今日の挑戦、チャレンジ週間などを設定する。)
・行事や教科との関連を図り、学んだスキルを活用する機会を設定する。
・朝の会・帰りの会などで、スキルの練習や振り返り、修正をする。
・学校生活のあらゆる場面で活用したことを振り返ったり、修正したりする。
・学級通信などを活用し、家庭でも振り返ったり、修正したりできるようにする。
○折に触れ、教師が働きかけを繰り返す。(意識化・実行)
     ※ 「@あいさつ」〜「J自分を大切にする」は、この活動プログラムのモデルで実施できます。
   ※ 「Kトラブルの解決策を考える」は、来年度、活動プログラムとして提案します。
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最終更新日:2011-03-30