生活・学習習慣に関するアンケート調査結果 もどる

調査概要
調査概要
小学校低学年期における生活・学習習慣の育成に関わる教師,幼稚園・保育園の教師、保育士,保護者の意識調査を行い,生活・学習習慣の定着を図る上での課題を明らかにすると共に,指導の改善充実に資する。
調査方法
(1) 調査対象
県内小学校低学年担当教諭,県内小学校低学年保護者,県内幼稚園・保育園の教諭及び保育士,幼稚園・保育園の保護者
(2) 調査対象
対象者 対象者数 抽出方法
小学校低学年担当教諭  450人 県内の各地区より,学校の規模を考慮し抽出
幼稚園・保育園
教諭及び保育士
 40人 県内の幼稚園・保育園より無作為抽出
小学校低学年保護者  200人 研究委員の所属校の低学年保護者
幼稚園・保育園保護者  100人 調査対象の幼稚園・保育園の保護者
(3) 調査実施日
平成17年9月22日(金)〜10月7日(金)の間
集計結果
 小学校の保護者は,ほとんどすべての生活・学習習慣の項目について,重点を置きたいと考えている。
Q 各項目についてどの程度重点を置いてしつけや指導をしたいと考えていますか。
自分自身に関すること
人とのかかわりに関すること
学習に関すること
 すべての項目について,7割以上の小学校の保護者は,重点を置いてしつけたい(「重点を置きたい」・「どちらかといえば重点を置きたい」)と回答している。「重点を置きたい」が5割を割っている項目が6項目あるが,その中の2項目は,「時間内に食べる」「苦手な物でも食べようとする」の「食べる」ことに関する項目であった。

 基本的な生活習慣に関しては,家庭でしつけたいという意識をもっている小学校の保護者が多い。また,社会的な生活習慣や学習習慣に関しては,指導の場を「学校」と考えている小学校の保護者が多い。
Q 主にしつけや指導をするのは,家庭と学校のどちらが望ましいと考えますか。
自分自身に関すること
人とのかかわりに関すること
学習に関すること
 ほとんどの項目で家庭(「家庭」・「どちらかといえば家庭」)をしつけの場と考えている小学校の保護者が5割以上いる。小学校の保護者の多くは,自分自身に関することは,家庭でしつけをするという意識であることが分かる。一方,人とのかかわりに関することや学習に関することについては,学校(「学校」・「どちらかといえば学校」)を指導の場と考えている小学校の保護者が多く,学校での指導に期待していると考えられる。

 小学校の教師は,「先生や友達の話を聞く」ことに,最も重点を置いて指導したいと考えている。
Q 小学校で指導するとしたら,どの程度重点を置いて指導やしつけをしたいと考えていますか。
自分自身に関すること
人とのかかわりに関すること
学習に関すること
 ほとんどすべての項目に対して,8割以上の小学校の教師が重点を置きたい(「重点を置きたい」・「どちらかといえば重点を置きたい」)と考えている。中でも,「先生や友達の話を聞く」は,「重点を置きたい」が9割を超えており,小学校の教師が,最も重点を置いて指導している項目であると考えられる。また,「重点を置きたい」が8割を超えている9項目の内,4項目は,学習に関す項目,4項目は,人とのかかわりに関する項目,1項目は,自分自身に関する項目であった。 
 一方,「重点を置きたい」,「どちらかといえば重点を置きたい」が8割を割った4項目は,排泄や服の着脱,洗顔など,基本的な生活習慣に関する項目であった。

 「食べること」や「一人で明日の用意をする」,「鉛筆を正しく持つ」,「自分のことだけでなく周囲のことを考えて行動する」の指導を困難だと感じている小学校の教師が5割以上いる。
Q 小学校で指導するとしたら,その指導やしつけを困難だと思いますか。
自分自身に関すること
人とのかかわりに関すること
学習に関すること
 5割以上の小学校の教師が指導の困難さを感じている6項目の内,3項目は,「食べること」に関する項目であった。また,それら6項目に次いで5割に近い項目だったのが,「友達や先生の話を聞く」,「正しい姿勢で学習する」「私語や手いたずらをせずに学習する」など,学習に関する項目であった。

 「食べる」ことの指導に関して,小学校の教師,幼稚園の教師,小学校の保護者,幼稚園の保護者の4者共「マナーを守って食べる」ことに最も重点を置いて指導したいと考えている。一方,小学校の教師や幼稚園の教師は「食べる」ことに関しての指導に,困難さを感じている。
 「食べる」ことに関する3項目について,「マナーを守って食べる」は,他の2項目「苦手な物でも食べようとする」「時間内に食べる」に比べ,小学校の教師,幼稚園の教師,小学校の保護者,幼稚園の保護者の4者とも「重点を置きたい」が5割以上と高い。「食べる」ことに関しては,4者共マナーに重点を置いて指導やしつけをしたいと考えていると言える。
 「食べる」ことに関する項目を「指導やしつけの困難さ」から見てみると,「時間内に食べる」「苦手なものでも食べようとする」「マナーを守って食べる」は,いずれも小学校の教師,幼稚園の教師が困難さの数値(「困難」・「どちらかといえば困難」)が高い。特に,「苦手なものでも食べようとする」の数値が,他の2項目に比べて高く,指導に困難さを感じている小学校や幼稚園の教師が多いことが分かる。
 「食べる」ことに関する指導開始時期のグラフを見てみると,入学前から指導やしつけを行うことが望ましいと考えている小学校の教師が多いことが分かる。「時間内に食べる」に関しては,「入学直後に」「1年生終了までに」の数値が他の2項目に比べると高く,小学校の教師の間で意識が分かれている。 
 幼稚園教師は,「マナーを守って食べる」は,年中までに,「苦手な物でも食べようとする」「時間内に食べる」は,年長の間に指導やしつけを開始することが望ましいと考えている。小学校への入学を意識した指導を行おうとしている幼稚園教師の姿がうかがえる。
 自由記述には、偏食や食事のマナーについての指導の難しさに関する内容が書かれていた。
○自由記述より 
 ・給食の好き嫌いをする子どもが増えた。苦手なものを食べようとすることを給食指導だけで行うのは難しい。
 ・家庭で一人で食事をとることが多い子どもに,偏食も多いように思う。嫌いなものに,少しでも挑戦しようとすると,吐いてしまう。
 ・食べたことがないものや,野菜が出たときに残すことが多い。
 ・箸や食器の持ち方など,食事のマナーが身に付いていない子どもが年々増えてきた。
 「食べる」ことに関する3項目の指導やしつけの場について,小学校と幼稚園の保護者の回答を見てみると,両者共,「家庭」「どちらかといえば家庭」の数値が高かった。しかし,「どちらかといえば学校(園)」や「どちらかといえば学校(園)」と考える小学校や幼稚園の保護者の割合も少なくない。特に幼稚園の保護者の「苦手なものでも食べようとする」では,2割近くの保護者が、「どちらかといえば園」・「園」と答えている。

 「時間を守る」「授業や活動の時刻がきたら席に着いたり,集合したりする」「正しい姿勢で学習する」では,小学校の教師と幼稚園の教師との間で ,指導の重点を置くことに意識の違いがある。
Q どの程度重点を置いて指導やしつけをしたいと考えていますか。
 「時間を守る」「始業時刻がきたら席に着いたり,集合したりする」「正しい姿勢で学習する」の3項目について,小学校の教師は,7割以上が「重点を置きたい」と回答しているのに対し,幼稚園教師は,「授業や活動の時刻がきたら席に着いたり,集合したりする」は6割,「時間を守る」は5割,「正しい姿勢で活動や学習する」は4割が「重点を置きたい」と回答している。
 幼稚園と小学校との生活環境や,学習形態などの違いによる指導者間の意識の違いがうかがえる。

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