子どもの今をとらえよう

 一口に「不登校」と言っても、もともと子どもは一人一人の状況が違うのですから、ある子どもにはうまくいった対応が、他の子どもにもうまくいくとは限りません。また、一人の子どもの不登校の状態も、時間の経過と共に変化しています。
 したがって、「今、この子どもにどんな支援ができるのか」を客観的にとらえることが、とても大切です。

 ここでは、その子どもの状態を「対人関係」と「行動面」から把握してみましょう。

 「対人関係と行動の状態チェック表」とは

 一人の不登校の子どもの現在の状態を「対人関係」と「行動面」からチェックしてとらえようとするものです。

【どんなときに使うか】

○「子どもの今」の状態を把握する 

▽不登校の状態になってから時間的に経過している場合、時期をずらして数回振り返ると子どもの状態の変容を見ることができる


【誰がチェックするか】

○基本的には本人の状態を把握できる周囲の大人

▽配慮して使用すれば、中学生くらい以上の年齢で、不登校からの回復の過程にある子ども(自分で自分を振り返ることができるようになっている子ども)が、自分で自分の回復の様子を確認することにも使える


 「対人関係と行動のチェック表」

【使い方】
@対人関係の広がり、行動面の広がりの各表20問ずつについて、今できているかどうかを「YES」「NO」でチェックします。家庭の環境等に応じて、答えることができない項目は除いてかまいません。

※「対人関係と行動のチェック表」(PDFファイル)
グラフの横軸の項目(対人関係の広がり)
項     目 YES NO
1 親(父親か母親)と会話ができる
2 家族(親以外)の声かけに簡単に応えることができる
3 家族(親以外)のだれかと会話ができる
4 家族(親以外)のだれとでも会話ができる
5 家族と同じ場所に一緒にいることができる
6 家に来た親類の人と会うことができる
7 家に来た親類の人と会話ができる
8 近所の人と会うことができる
9 近所の人と会話ができる
10 かかってきた電話をとることができる
11 かかってきた電話に出て会話ができる
12 親しい友人と電話やメール、手紙等でやりとりができる
13 親しい友人に会うことができる
14 親しい友人と会話ができる
15 クラスの友人と電話やメール、手紙等でやりとりができる
16 クラスの友人と会うことができる
17 クラスの友人と会話ができる
18 学校の先生と電話やメール、手紙等でやりとりができる
19 学校の先生と会うことができる
20 学校の先生と会話ができる
計 

グラフの縦軸の項目(行動面広がり)
項     目 YES NO
1 朝、決まった時間に起きることができる
2 朝、学校に間に合う時間に起きることができる
3 決まった時間に食事ができる
4 家族揃って食事ができる
5 風呂に入る。着替える
6 洗顔等の身だしなみを整える
7 自分の部屋から出て家族と一緒に過ごせる
8 自分の部屋に家族が入ることを許せる
9 家のお手伝いができる
10 自分の部屋の掃除をする
11 休日に一人でちょっとした外出(犬の散歩や買い物)ができる
12 平日に一人でちょっとした外出(犬の散歩や買い物)ができる
13 家族と一緒に外出ができる
14 友人と自分の家で遊ぶことができる
15 友人と外で遊ぶことができる
16 学校からの連絡プリントなどに関心を示す
17 制服や学用品などの準備をする
18 学習に関心をもつ
19 学校の近くまで行ける
20 時間外に学校に行ける
計 

2005 佐賀県教育センター
A計算式に当てはめて、対人関係(横軸)、行動面(縦軸)の%値を出します(答えることができなかった項目は分母からも省く)。


Bその値をグラフに表示して、子どもの状態の把握と周囲のかかわり方のおおよそをつかみます。

※曲線の中の、〇は子ども自身の気持ちの状態を表し、□はその時の周囲のかかわり方を表しています。

※〇は、「心のエネルギー曲線」で示している「子どもの心の状態」を参考に、今のその子どもの気持ちを推測してみましょう。また、□については「支援のねらい」や「具体的な手立て」を参考に、実際のかかわり方について、考えてみましょう。

2005 佐賀県教育センター