習熟の程度に応じた学習指導って何?

今まで英語の授業は,同じ教室で,クラス全員に同じ内容を教えてきました。しかし,クラスの中には能力の高い生徒もいれば,そうでない生徒もいます。これまでのやり方で,きめ細やかな指導をすることが可能なのでしょうか・・・・・

習熟の程度に応じた学習指導と学習指導要領
 学習指導要領の総則の中に,「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」が記載されています。きめ細やかな指導の例として「習熟の程度に応じた指導」が明記されています。習熟の程度に応じた学習指導は英語や数学などの学習の積み重ねを重視し,系統的な指導を行っている教科に効果的です。 
学習指導要領では
習熟の程度に応じた学習指導の実施状況
 教育課程編成状況調査によると,平成13年度に全国の中学校の中で習熟の程度に応じた学習指導に取り組んだ学校の割合は64.7%になるそうです。もう,半分以上の学校で実施しているんですね。
佐賀県では
習熟の程度に応じた学習指導への誤解
 「習熟の程度に応じた学習指導」と「能力別指導」は同じものではありません。「習熟の程度に応じた学習指導」は「学力遅進の生徒」をなくすための学習指導という側面と,「英語への関心・意欲の高い生徒」の多様なニーズに応えるという側面があります。
 「習熟の程度に応じた学習指導」は情意フィルターをさげ,スムーズなコミュニケーション活動を助けるのです。
「情意フィルターの仮説」とは?
英語における習熟の差とは
 英語における習熟の差は次のような部分に現れます。

  1 英語学習への関心・意欲の差
  2 これまでに学習した英語の運用能力の差
  3 作業の処理能力の差

 以前はテストの点数だけで学習集団を編成していたこともあるようですが,これからはアンケートなどを実施して生徒の学習への関心も学習集団編成の要素に加える必要があります。
 習熟度によって学習集団を分けるのは「差別感」を生むのではないかと心配する声もありますが,英語教師がしっかりと「分かる授業」に取り組めば大丈夫です。
加藤教授のお話