Q&A ≪先生方からの質問を募集中!≫
このコーナーでは,小学校の先生方から小学校英語活動に関する質問を募集しています。小学校で英語活動を展開する際のちょっとした悩みや疑問に,お答えいたします。無記名でも結構ですので,どしどし質問をお寄せください!



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 小学校英語活動で文字は取り扱ってはいけないのでしょうか?
(佐賀県 小学校教師)
 ALTに呼び掛ける際に,“○○teacher”と呼ぶのは間違いだと聞いたことがあります。授業中に子どもたちがALTをどのように呼べばいいでしょうか?
(佐賀県 小学校教師)
 小学校で英語活動を始めるときに,最初のオリエンテーションはどのようにしたら良いのでしょうか。
(佐賀県 中学校教師)
 英語活動に関する書籍等を紹介してください。
(佐賀県 中学校教師)
 小学校でローマ字の指導があると聞いていますが,どの程度の内容を学習するのでしょうか?また,ローマ字の学習をすることで,小学校での英語活動や中学校1年生での英語教育にどのようなことが期待できるのでしょうか?
(佐賀県 中学校教師)


 小学校英語活動で文字は取り扱ってはいけないのでしょうか?
(佐賀県 小学校教師)
 文部科学省から出された『小学校英語活動実践の手引』(以下、「手引」と記す)3ページに次のような記述があります。

2 「英語活動」のねらいと活動の在り方
(3) 音声を中心とした活動を行う
 コミュニケーションは、主に音声と文字を媒体として行われる。しかし, 英語の文字と音声を同時に媒体として意思の伝達を図ろうとすることは,小学校の子どもにとっては,負担が大き過ぎて英語嫌いを生み出すことにつながる。
 小学校において子どもが英語に慣れ親しんでいく過程を観察してみると,英語の音声だけで十分にコミュニケーションを図ることできると言える。さらに,音声による言葉だけでなく身振り手振りや表情などによっても,意思を伝達できるものである。
 このようなことから,小学校の英語活動においては,身近で簡単な英語を聞いたり,話したりする活動を中心に行っていくことになる。
 聞く活動においては、子どもにとって日本語と似ている音もあれば,微妙に違う音や大きく異なる音もあり、その連続である英語をたっぷり聞き,それに次第になれることが大切である。これらの新しい音に慣れるとともに,日本語の音との違いに気付き,それを模倣することによって,英語を話す活動も自然に行うことができるのである。

 総合的な学習の時間の枠組みの中で行う小学校英語活動は,学習指導要領の総則及び上記「手引」の内容に沿って行われるべきです。ですから,児童の負担を増やさない,中学校の前倒し的な授業をしないというコンセプトから言っても,小学校段階での文字指導はするべきではないと考えます。

 小学校の英語活動の目的は,英語の音に親しむことや,英語を通して異文化に触れたり,自分の国の文化を再認識したりという国際感覚を育成することです。私たちは,自分が受けてきた英語教育のイメージから,ついついABC…の指導から入るものだと思いがちですが,日本語を話し始めた幼児にひらがなを教え込んだりしないのと同様に,文字の指導も十分な音のインプットがないうちにするべきではありません。

 しかし,私たちの身の回りにはアルファベットや英文があふれています。指導しないということは,アルファベットを遮断し,児童の目に触れさせないようにしようというものでもありません。

 例えば,絵の下にその単語を表すアルファベットが書かれている絵カードや,英語の歌をアルファベットで書いたものなどを掲示物として教室に貼るといったことは,英語活動の雰囲気を作り出すという点で有効な場合もあります。文字を教えるということなく,目に触れさせる程度で,効果的に英語に親しむ環境を作っていきましょう。

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 ALTに呼び掛ける際に,“○○teacher”と呼ぶのは間違いだと聞いたことがあります。授業中に子どもたちがALTをどのように呼べばいいでしょうか?
(佐賀県 小学校教師)

 おっしゃるように,“teacher”という言葉は「先生」という意味ですが,日本語で「山田先生」と言うように,英語で“Yamada Teacher”と呼ぶことはできません。正しくは“Mr./Ms. Yamada”となります。また,最近では,未婚・既婚を区別するMiss/Mrs.もあまり使われない傾向にあります。

 それでは,学校にMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)というALTが訪問するとして,小学生がこの先生を何と呼ぶのがふさわしいのかを考えてみましょう。

 まず、文法的に間違った呼び方です。
@ Michael Teacher  (上に述べたとおり、呼び掛けるときにteacherとは言えません。)
A Jordan Teacher   (上に述べたとおり、呼び掛けるときにteacherとは言えません。)
B Mr. Michael      (Mr.Ms.などの敬称はファーストネームには付けません。)

 ですから、@〜Bの呼び方はさせない方がいいでしょう。


 次に文法的に正しいものとしては次のようなものがあります。


C Mr. Jordan(姓にMr./Ms.を付ける。)
D Mr. Michael Jordan(姓名にMr./Ms.を付ける。)
E Michael(ファーストネームだけを呼ぶ。)

 C〜Eの中ではCが一番使いやすいかもしれませんが、小学生にとってはやや堅い感じがします。

 ALTとの付き合いが長くなれば、親しみを込めたEの呼び方もいいかもしれませんが、先生を呼び捨てにするという感覚もあり、子どもたちに呼ばせるにはやや抵抗のある先生もいらっしゃることでしょう。

 私(宗)が英語活動をする際は、折衷案として日本語の「先生」という呼び方をそのまま使って、F“Michael Sensei” というように呼ばせていました。ALTがニックネーム(この場合は、Michaelに対してMike)で呼んでほしいと言えば、G“Mike Sensei”となります。

 以上のようにそれぞれ一長一短ありますので、英語として間違った表現でなければ、あとは学級の実態に応じて、担任の先生で決められるといいでしょう。


 小学校で英語活動を始めるときに,最初のオリエンテーションはどのようにしたら良いのでしょうか?
(佐賀県 中学校教師)

 これまで英語活動の経験がほとんどない児童に対して,年間を通して定期的に英語活動に取り組まれる場合には,最初に英語活動の時間について児童に説明しておいた方がよいでしょう。
 その際に留意していただきたいことをいくつか書いてみます。

(1) 英語活動のねらいを正しく伝える。

 英語活動=英語の学習と子どもたちが思わないようにしたいものです。

 子どもたちが「英語の勉強をする時間」と思ってしまうと,英会話教室や英語塾に通っている児童だけが優越感を味わったり活躍できたりするという先入観を与えることになります。

 ですから,英語の歌やゲーム,ALTとの触れ合いを通して,英語に慣れ親しんだり,いろんな国の文化を体験したりする時間,全員が楽しめる時間だということを伝えてください。

(2) ALTや外国人ゲストとの交流の仕方を知らせる。

 (1) で述べたように,英語の学習の時間ではありませんから,まずは子どもたちに,英語を無理して覚えようとしなくていいし,いわゆるペーパーテストなどもないという安心感を与えてください。その上で、ALTの英語が分かったという気持ちを味わってほしいこと,ALTの先生もみんなの言いたいことを分かろうと一生懸命に聞いてくれるので,無理して英語だけで話さなくても通じるということなどを伝えましょう。コミュニケーションの楽しさを味わわせることが第一ですから,「英語が分からないと付き合えない」という気持ちを持たせないような配慮が必要です。

(3) 授業中の約束ごとを伝える。

 ゲームや歌,作業などの活動が中心となりますので,ある程度のルールを守らせないと授業として成立しなくなることがあります。すべての教科・領域について言えることですが,特に英語活動ではしっかりした学級経営という基盤がないと授業がうまく展開しません。

 ゲームの方法などの説明や指示はしっかり聞き,分からないことはそれぞれに言わないで手を挙げて質問する,ルールを守って活動し,自分勝手な行動はとらない,ゲームや活動にはきちんと参加するなど,どの授業でも言えることですが,約束ごとを決めておく必要があります。

 ただ,高学年になると,単純なゲームにはやる気のないような態度になることもあります。そのような場合に,「決まりだから」と半ば強制的に参加させるのではなく,ゲームの内容が児童の精神的な発達段階に合っていないのだと,活動自体を見直す材料とすることも必要でしょう。


 以上のようなことを最初の段階で伝える必要がありますが,年度最初の英語活動の時間の前に伝えて,そのまま英語活動に入るような形でいいのではないかと思います。


 英語活動に関する書籍等を紹介してください。
(佐賀県 中学校教師)
 
 公教育の中で英語活動をする場合には,指導要領の内容から逸脱したものを取り扱うわけにはいきません。

 しかし,指導要領には英語活動の具体的な目標,内容については記述してありませんので,まずは,英語活動の内容・方法などについて具体化してある『小学校英語活動実践の手引』(2001 文部科学省)を読まれることをお勧めします。開隆堂出版社から1冊100円で発行されています。この中には,英語活動のねらい,指導上の留意点,年間計画,活動例,環境整備などについて研究開発学校の実践例を中心に紹介してあります。また,後半部分は,英語で記述してありますので,小学校での指導に初めて取り組むALTや外国人ゲストなどに読んでもらうことをお勧めします。
 
 他に,以下のような書籍類を紹介します。
 ・ 小学校英語教育の手引(影浦 攻 著 1997年 明治図書)
 ・ 総合的な学習 はじめての小学校英語(渡邉 寛治 著 1999年 図書文化)
 ・ 小学校の英語教育 −地球市民育成のために−(樋口 忠彦・行廣 泰三 編著 2001年 KTC中央出版) 
 ・ はじめてみよう!小学校・英語活動(後藤 典彦・冨田 祐一 編著 2001年 アプリコット)
 ・ 小学校英語活動を創る(松川 禮子 編著 2003年 高陵社書店)
 ・ 小学校の英語教育 指導者に求められる理論と実践(金森 強 編著 2003年 教育出版)
 ・ 新しい英語教育へのチャレンジ 小学生から英語を教えるために(吉田 研作 著 2003年 くもん出版)
 ・ 季刊誌 小学校英語セミナー1〜18巻(影浦 攻 編 明治図書)
 ・ 月刊誌 Kids Com 2001年1月〜2003年3月(アルク)

 また、書籍ではありませんが、ホームページでも英語活動に関する様々な情報を取得できます。
 ・ えいごリアンホームページ(http://www.nhk.or.jp/eigorian/)→先生のページ
 ・ スーパーえいごリアンホームページ(http://www.nhk.or.jp/s-eigorian/)→先生のページ

 現在では,英語活動に関する様々な書籍が出版されていて,逆に情報過多という現象も見られます。中には,先に紹介した『小学校英語活動の実践の手引』の内容と異なるコンセプトで書かれたものもありますので,小学校段階で行う英語活動のねらいを踏まえた上で,先生方自身の目で選ぶ必要があるでしょう。 

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 小学校でローマ字の指導があると聞いていますが,どの程度の内容を学習するのでしょうか?また,ローマ字の学習をすることで,小学校での英語活動や中学校1年生での英語教育にどのようなことが期待できるのでしょうか?
(佐賀県 中学校教師)
 指導要領では,4年生の国語科でローマ字を取り扱うことになっています。
 ローマ字に関して,『小学校学習指導要領[国語]』の中では次のように記されています。
[第3学年及び第4学年]
2 内容
[言語事項]
(1)  「A 話すこと・聞くこと」,「B 書くこと」及び「C 読むこと」の 指導を通して,次の事項について指導する。
  イ 文字に関する事項
(ウ) 第4学年においては,日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,また,ローマ字で書くこと。
 さらに,『学習指導要領解説 国語編』では,(ウ)のローマ字に関することについて,次のように述べてあります。
 (ウ)のローマ字に関する事項を第4学年で取り扱うことは,これまで通りである。最近では,ローマ字表示が添えられた案内板などが多くなり,ローマ字は児童の生活に身近なものになっている。「日常使われている簡単な単語」とは,地名や人名など固有名詞を含めた,児童が日常目にする程度の簡単な単語のことであり,これらについて,ローマ字で読み書きができるようにすることをねらいとしている。

 上記のように,ローマ字指導のねらいは,児童の身近なローマ字表示のものについて,読み書きができることにあります。授業の中では,ローマ字を構成するアルファベットの練習と,ローマ字表を活用して日本語の単語の読み書き程度の指導が行われている場合がほとんどであり,その指導時数も年に4時間程度です。
 ローマ字の指導をすることにより,英語活動に関連して期待できることは,次のようなことだと思われます。
@ 児童がアルファベットに興味を持ち,自分の住所や名前などの固有名詞をローマ字表記しようという意欲が出る。
A パソコンの操作をする場合のローマ字入力に慣れる。
 しかし,ローマ字の指導は国語科指導一環であり,小学校英語活動での文字指導を意味するものではありません。また,小学校でのローマ字指導が,英語での表記に近いヘボン式ではなく,五十音表に対応した訓令式が使われていることなどを考えると,中学校英語入門期の文字指導にすぐに結び付くというものでもないでしょう。
 中学校英語科としては,アルファベットの指導を一からされるべきだと考えます。

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