小・中のつながりを踏まえ,つまずきやすい点を考慮した指導の手立てとは?
(2) つまずきやすい点と指導のポイント?
(3) 小・中つながり表とつまずきやすい点と指導のポイントを生かした授業づくり

(1) なぜ,「小・中のつながり」が大切なのでしょう?
算数・数学科は,内容の系統性がはっきりしています。学習する内容がどの学習を前提としているのか,次のどの学習につながるのかということを把握して指導することで,指導の重点化を図ることができます。特に,小学校5・6年と中学校では,「比例」のように学習対象は同じで,数の範囲や文字式の導入など内容が発展していくといったつながりの深い学習内容があります。しかし,単元の前後のつながりや小学校と中学校の内容のつながりを把握して授業に取り組むことは,少なかったのではないでしょうか。学習内容がその後のどのような学習の基になるのかを小・中の9年間を見据えて明らかにすることで,つまずきやすい点を考慮しながら指導の手立てを考え,基礎・基本を確実に身に付けさせる必要があります。

 (例) つながりの深い学習内容   
中学1年生「比例と反比例」
座標の意味と表し方の理解。
式と表のグラフの関係の理解。
比例,反比例のグラフをかくことができる。
比例や反比例の関係を表,式,グラフに表して考察する
ことができる。
 小学校の学習内容のレディネス調整 
小学6年生「比例」
比例の意味や性質の理解。
比例関係を表,ことばの式,グラフで表す。
伴って変わる2つの数量の変化を考察し,比例する事象
を判断する。

  (例) 「図形」領域の学習では   
図形をイメージし,念頭で操作しながら,性質や構成を理解する。

観察,操作や実験を取り入れる,視覚でとらえる活動を取り入れる。
(特に小学校から移行された内容)
 小学校の学習内容のレディネス調整 
発展的な学習
図形をイメージする力を高める課題
操作活動を通した基礎・基本の定着


単元の前後のつながりや小学校と中学校の内容のつながりを把握して,授業に取り組みましょう。
参照)「領域別指導内容の小・中つながり表」
    「『図形』領域における小・中のつながりの具体例」

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(1) なぜ,「小・中のつながり」が大切なのでしょう?
(3) 小・中つながり表とつまずきやすい点と指導のポイントを生かした授業づくり

(2) つまずきやすい点と指導のポイント
授業を組み立てていくには,児童・生徒が授業のどこでつまずいているのかを予想し,それに対する指導の手立てを中心に考えていかなければなりません。そこで,具体的には,どのような点でつまずきやすいのかを予想し,それに対してどのような手立てを取ればよいかという指導のポイントを一覧にした「つまずきやすい点と指導のポイント」表を作成しました(研究要項冊子P6〜10)。
この表を利用すれば,児童・生徒のつまずきがどこにあったのか,どの時点にさかのぼってどのような指導をすればよいのかが一目で分かります。つまずきやすい点を予想し,さらに,指導のポイントを参考にして授業を組み立てていけば,基礎・基本の定着を図る指導ができると考えます。

 (例) 「つまずきやすい点と指導のポイント」の一例  
小・中のつながり
学年・単元
基礎・基本 つまずきやすい点の例 指導のポイント
小学校6年
直方体
立方体
角柱
円柱
立方体,直方体,角柱,円柱,平面,底面,側面の理解
立方体,直方体についての構成要素の数やそれらの位置関係の理解
見取図・展開図を作成したり,立体を作ったりする。
立方体・直方体を,頂点,辺,面の構成要素に着目して,分析的に考えたり構成したりする。
立体を構成している面・辺の数やその関係といった特徴を説明できない。
見取図が正しくかけない。
厚紙・竹ひご・粘土玉などを使って,必要な数を予想しながら直方体や立方体を作らせる。厚紙を使って直方体を作る活動を通して,面の数と面と面の関係(垂直・平行)をとらえさせる。活動した後に,その立体の特徴について用語を使ってまとめさせる。面と辺の関係については,ひごと板などの具体物を使って説明させる活動を取り入れる。
直方体や立方体の模型を見て,辺の角度・辺の長さなどに気を付けて,順序を踏まえて作図させる。
学習の前提となる単元の基礎・基本を踏まえて,レディネスチェックテストを作成します。 テストを基にレディネスチェックを行い,レディネスの調整をします。



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(1) なぜ,「小・中のつながり」が大切なのでしょう?
(2) つまずきやすい点と指導のポイント?

(3) 小・中つながり表とつまずきやすい点と指導のポイントを生かした授業づくり
 基礎・基本の定着を図るためには,単元ごとに基礎・基本を明らかにし,小・中のつながりを踏まえ,つまずきやすい点を考慮して指導のポイントを考えていくことが大切です。
 「領域別指導内容の小・中つながり表」「つまずきやすい点と指導のポイント」を利用して,学習内容の単元計画を立てていきます。



領域別指導内容の小・中つながり表





つまずきやすい点と指導のポイント表






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