○ 学習指導案 小学校第4学年「特別活動」 |
1 題材名 『学級目標に一歩近づこう大作戦』 | |
授業実践者:江頭 幸子 |
2 題材および議題設定の理由 |
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近年、情報化、都市化、少子高齢化などの社会状況の変化を背景に、子ども社会においても人間関係の希薄化、生活上の諸問題を話し合って解決する力の不足、規範意識の低下などが顕著になっており、好ましい人間関係を築けないことや望ましい集団活動を通した社会性の育成が不十分な状況が課題となっている。そんな中、新学習指導要領では、学級活動を通して育てたい態度や能力について、新たに目標として明示し、よりよい人間関係を築き、楽しい生活をつくるなど、自分たちの学級や学校の生活の充実と向上のために主体的に参画し、進んで話し合い、協力して実現しようとする自主的、実践的な態度の育成を特に重視している。そして、それらにかかわる力を実践を通して高めるために、発達の段階に応じた体験活動や生活を改善する話合い活動、異年齢集団による交流活動等に重点がおかれた。中でも、話合い活動は、学級活動「(1)学級や学校の生活づくり」において中心となる活動である。話し合って折り合いを付けることを学ぶことは、楽しく豊かな生活づくりをするために、また、互いに尊重しよさを認め合えるような望ましい人間関係を構築していくために、最も重要なことであり、民主的な社会の形成者を育成することにもつながると考える。そこで、話合い活動において、意見の異なる人を説得したり、協同的に議論して他者の思いや願いを理解し集団としての意見をまとめたりするなど、よりよい人間関係を構築しながら生活しようとする資質や態度の育成を図り、発達の段階に応じて適切な指導を行うことが大切だと考える。「小学校学習指導要領解説 特別活動編」(平成20年8月)の中で、話合い活動を充実させるためには、以下のような適切な指導が必要だと述べられている。 | |
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○ | 本学級の児童は、これまでに、学級活動において7回の話合い活動を経験しており、計画委員会も二巡目である。話合い活動に関しては、「とても好き」「好き」と答えた児童は、全体の約8割を占めているが、自分の思いや考えを進んで発言している児童や根拠を基に発言できている児童は、約半数と少ない。友達の意見にかかわる発言ができている児童は1割ほどである。また、友達の思いや考えを思いやり、よいところを生かしてまとめることの大切さは分かっているが、その方法が分からずにいる児童もいる。前述アからカの指導の必要性が感じられる。
さらに、話し合って決めた「明るく元気に仲良く助け合う希望輝く4の1」という学級目標に対して、達成に近づいていると感じる学級の様子については、「元気のよい挨拶や返事ができていること」「係活動の工夫ができていること」を多数の児童が挙げている。第6回の学級会で、学級目標に近づくための一つの方法として「係活動をパワーアップしよう」という議題で話し合った。互いにアイデアを出し合うことで係活動の幅を広げるとともに、みんなで協力することの大切さを共通理解する場となり、さらには、日常の実践化へとつながり、みんなで話し合うことのよさを実感できる機会となったことが伺える。目標に掲げた姿からは遠いと感じている様子については、「みんなで遊ぶ日に仲良く楽しく過ごせていないこと」「男女関係なく仲良く協力できていないこと」「友達のよさを見つけたり思いやりのある言動がとれていないこと」を挙げている児童が多く、本題材について話し合うことは意義のあることだと考える |
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○ | 指導に当たっては、児童が、これらの課題に問題意識をもち意欲的に話合いに臨めるように、また、明確な根拠を基に自分の意見をもって話合いに臨めるように事前の指導の充実を図りたい。事前指導の手立てとしては、以下の2点を工夫したい。1点目は、学級目標を達成できていることとできていないことについて振り返らせ、自分たちの課題に気付かせるとともに、議題に対してじっくり考えさせる時間をとり、議題に対する自分の思いや考えをもった上で全員が話合いに参加できるようにする。2点目は、課題の解決につながる活動を計画したり、自分たちなりのルールを決めたりすることを話合いの柱とすることで、自分たちの問題として真剣かつ意欲的に話合いに臨めるようにする。「自分たちでルールを作って守る活動」は、規範意識の確立という観点から新学習指導要領で重視されている内容でもあるため、大事に扱っていきたい。
話合い活動における具体的な指導の手立てとしては、まず、事前にとった学級目標達成状況に関するアンケート結果を集計したものを掲示しておき、学級目標の達成を意図して設定した議題であることを意識させたい。また、視点を基に少人数で話し合う「にこにこタイム」や友達の考えのよさや質問、付け加えなどを述べ合う「交流タイム」など段階を踏んだ意見交流の場を設定し、話合いの視点や話型を提示するなどして、自分と友達の考えのよさを生かして折り合いを付けよりよい集団決定に向かうようにしたい。 このように、自他の考えのよさを生かして折り合って集団決定する力や互いの気持ちを推し量った言い方などを身に付けさせることを通して、望ましい人間関係を築こうとする態度や自主的、実践的な態度をはぐくみたいと考える。 |
3 育てたい態度や能力 |
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4 題材のねらい |
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学級目標に掲げた姿からは今の自分たちが遠いと感じている課題に気付かせ、学級目標の達成に一歩近付き、さらによりよい学級にしていくための工夫や努力点について話し合わせることを通して、協力し合って楽しい学級にしていこうとする意欲や態度を育てる。 |
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5 題材の評価規準 |
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@ |
学級目標の達成に向けて、みんなで協力し合い、楽しい学級にしていこうとする。【関心・意欲・態度】 | ||||||
A |
みんなで遊ぶ日を仲良く楽しく過ごす方法について考え、ノートに書いたり発表したりできるとともに、自他の考えのよさを生かし、折り合って集団決定することができる。【思考・判断】 | ||||||
B |
友達の意見のよいところを見つけたり、互いの気持ちを推し量った言い方をしたりできる。【技能・表現】 | ||||||
C |
男女関係なくだれとでも仲良く協力し合うことの心地よさが分かる。【知識・理解】 |
6 活動計画(全2時間+課外) 本時は2/2 |
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7 本時の活動 |
(1) ねらい |
前時に決めた「みんなで遊ぶ日」の合い言葉やアンケート集計結果を基に、仲良く楽しく過ごせるような遊びや工夫について考えさせ、自他の考えのよさを生かして11月の「みんなで遊ぶ日」の遊びの計画を集団決定させる。 |
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(2) 評価規準 | ||||||||||||||||||||||||
@ |
学級目標の達成に向けて、みんなで協力して話し合おうとする。【関心・意欲・態度】 | |||||||||||||||||||||||
A−1 |
どんな遊びや工夫をすれば「みんなで遊ぶ日」をだれとでも仲良く楽しく過ごせるかについて,考えた自分の意見を、提案理由や話合いのめあてに沿って発言できる。【思考・判断】 | |||||||||||||||||||||||
A−2 |
友達の意見に対して、感想や質問、付け加えなどの意見を発言し、自他の考えのよさを生かし、折り合って集団決定することができる。【思考・判断】 | |||||||||||||||||||||||
B |
友達の意見のよいところを見つけたり、互いの気持ちを推し量った言い方をしたりできる。【技能・表現】 | |||||||||||||||||||||||
(3) 展 開 | ||||||||||||||||||||||||
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資料等 | 学習指導案【PDF】 | 進行シナリオ【PDF】 | 学級会ノート【PDF】 |
「にこにこタイム」の視点【PDF】 | 話型カード【PDF】 | アンケート【PDF】 | |
掲示物【写真】 | 活動振り返りカード【PDF】 | 児童記入学級会ノート【PDF】 |