平成23年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

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Ⅱ 調査結果の概要

教科ペーパーテスト及び児童生徒意識調査の概要

教科ペーパーテスト 全体の概要
 

○ 県で設定した「到達基準」に対して「おおむね達成」の基準を上回ったものは、22教科中20教科であり、本県児童生徒の学習内容の習得状況は概ね良好である。

○ このうち、「十分達成」の基準を上回ったものは、中学2年英語と中学3年国語であり、この2教科については、学習内容が十分習得されていた。

○ 小学5、6年及び中学1年は、「十分達成」の基準を上回った教科はないが、全教科とも「おおむね達成」の基準を上回っている。
中学2、3年は「十分達成」の基準を上回っている教科がある一方で、特に中学2年では、数学、社会が「おおむね達成」を下回るなど、教科間のばらつきが大きかった。

○ 昨年度と比べると、「十分達成」に対する割合が高くなったものは22教科中13教科、逆に、低くなったものは9教科であった。


※1 H22年度全国調査の小6国語・算数、中3国語・数学の県正答率については、県採点分析委員会による独自採点の集計結果である。
※2 H22年度全国調査の小6国語・算数、中3国語・数学についても、参考のために、便宜上、到達基準を設定している。
※3 H23年度調査の小6国語・算数、中3国語・数学については過去の全国調査問題を利用しているが、参考のために、便宜上、到達 基準を設定している。
※4 網掛けについては「十分達成」に対する割合が1.0を上回っている教科を示している。

※到達基準は、 十分達成/おおむね達成 のラインを示している → 到達基準の設定について

  県の各教科正答率の「十分達成」に対する割合をグラフに表すと次のようになる。「十分達成」を1.00としたときの、各教科正答率の比率を示している。「おおむね達成」の基準は各教科で若干異なる。

■各学年・教科正答率の「十分達成」に対する割合
 

   
教科ペーパーテスト 教科ごとの概要
 

① 国語

 

・ 小・中学校ともに、目的や意図に応じて相手の意図をつかみながら聞いたり、話の内容を的確に聞き分けたりするなど、話の内容を聞き取る力は身に付いてきている。

・ 小・中学校ともに、言語についての知識・理解・技能の定着については、良好な結果である。

・ 小・中学校ともに、相手や目的に応じて分かりやすく書くことや、取り上げた事実や事柄、課題についての自分の考えを明確にして書くことについては、課題が見られる。

・ 小・中学校ともに、読み取ったことを基に、自分の考えを書いたり、必要な情報を取り出して、それについての自分の意見をまとめたりすることについては、課題が見られる。

  《指導改善のポイント》

○ 小学校においては、条件に合わせて自分の考えを書いたり、文章や資料から読み取ったことを使って書いたりする学習活動の充実

○ 中学校においては、複数の文章を読み比べたり、文章と図表を比べたりして、それに対する自分の考えをもたせ、目的や意図に応じて表現させるような学習活動の充実

   
  ② 社会
 

・ 小学校においては、「地域の生産や販売」「住みよいくらし」(5年)など自分たちの生活との結び付きを感じやすい内容については良好な結果であるが、「県の様子」(5年)、「国土の様子」(6年)など地理的な学習内容には課題が見られる。

・ 小学校においては、社会的事象や問題に対して、自分なりの考えや解決策を論述する力が身に付いてきている。

・ 中学校においては、資料を基に社会的事象の特色や事象間の関連を読み取りまとめる力が身に付いてきている。

・ 小・中学校ともに、歴史的分野には課題が見られ、特に明治時代以降の歴史に関する内容の理解が十分に身に付いていない。

  《指導改善のポイント》

○ 小学校においては、地理的分野における地図帳や地球儀の有効な活用、小・中学校においては、歴史的分野における児童生徒の興味・関心を高めるような資料提示の工夫など、知識・技能の確実な定着を図るための指導法の工夫

○ 小・中学校においては、社会的事象や問題について説明・解釈・論述するような言語活動を更に充実させるなど、習得した知識・技能を活用する学習活動の工夫


   
  ③ 算数・数学
 

・ 小学校では、四則計算に関わる問題や比のきまりを使って未知数を求める問題など「数と計算」の内容・領域においては良好な結果である。

・ 小学校では、数直線や折れ線グラフに表すなど、数量の関係を表したり、調べたりする技能は身に付いてきている。

・ 中学校では、「数と式」の内容・領域においては、良好な結果である。

・ 中学校では、「資料の活用」など、学習指導要領の移行に伴って新しく学習する内容において課題が見られる。

・ 小・中学校ともに、問題解決の方法や考え方などを、ことばや式を使って説明することに課題が見られる。

 

《指導改善のポイント》
○ 小・中学校においては、教材の特性や児童生徒の実態に応じて、知識・技能を身に付けさせることや思考力・判断力・表現力を育成することなど、授業のねらいを明確にした指導の工夫

○ 小・中学校においては、課題解決の方法などを説明し伝え合うなど、言語活動に関わる算数的活動や数学的活動を位置付けた指導法の工夫


   
  ④ 理科
 

・ 小・中学校ともに、自然事象や観察・実験の操作などについての基礎的・基本的内容の理解は、良好な結果である。

・ 小学校では、特に小学5年生において、自然事象や実験方法についての解釈や理由を記述することに課題が見られる。

・ 中学校では、授業で学習した内容を発展させたり応用したりする力が十分に身に付いていない。

・ 中学校では、特に中学2年生においては、「大地の成り立ちと変化」の学習内容に課題が見られる。

  《指導改善のポイント》

○ 小学校においては、目的を明らかにした上で観察や実験を行わせ、観察や実験の結果を基に考察する場面で話し合い活動を行わせたり、導き出した自然事象の法則や規則性について、その根拠を説明させたりするなどの学習活動の工夫

○ 中学校においては、基礎的・基本的な内容を様々な場面で活用させたり、実験や観察の結果を分析して自分の考えを表現させたりするなどの学習活動の工夫


   
  ⑤ 英語
 

・ 中学2年では、英語で話された内容から時間、場所、要件などの具体的な情報を正確に聞き取る力が身に付いてきている。

・ 中学3年では、語順や主語と動詞の関係などの文法事項が身に付いてきている。

・ 中学2年・3年ともに、「書くこと」の領域において、与えられたテーマについて3~4文程度のまとまった英文を書く力は身に付いてきている。しかしながら、無解答率が高いなどの課題もある。「書くこと」の力が身に付いている生徒とそうでない生徒に二極化する傾向が改善されてきている。

  《指導改善のポイント》

○ 自分の考えや気持ちを1~2文程度の英語で書くなど、日常的に書く活動を取り入れた指導法の工夫

○ 教師と生徒、生徒同士のコミュニケーション活動やスピーチなどの自己表現活動の充実と、スピーチの後に質問したり、感想を述べたりするなどの4技能を関連付けた指導法の工夫


   
児童生徒意識調査の経年比較及び学年間比較
 

(経年比較は、小学6年と中学3年において、平成22年度全国学力・学習調査の児童生徒質問紙調査と平成23年度佐賀県小・中学校学習状況調査の児童生徒意識調査の同一設問で行った。)

 

・ 小・中学校ともに、「学校の授業の復習をしている」「苦手な教科の勉強をしている」児童生徒の割合が増えるなど、家庭学習に対する意欲が向上している。

・ 小・中学校ともに、「授業の内容はよく分かる」「算数(数学)の授業の内容はよく分かる」児童生徒が増えるなど、国語、算数・数学の授業の理解度は高まっており、学習内容に対する有用性を感じている児童生徒も増えている。

・ 読書が好きな児童生徒が増えており、1日あたりの読書時間や学校図書館・学校図書室や地域の図書館に行く頻度も増えている。

・ 小学校では、テレビやビデオ・DVDを見たり、聞いたりする時間は減っているが、中学校では、テレビゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲームを含む)をする時間が増えている。

 

   

教科ペーパーテストと児童生徒意識調査の関連

 

教科ペーパーテストと児童生徒意識調査の関連分析

(ここでいう正答率は、各学年の全教科平均正答率を示す。)

・ 「学校での生活は楽しい」「学校では落ち着いて勉強できている」「好きな授業がある」と回答している児童生徒ほど、正答率が高い。

・ 「国語の授業で自分の考えを書くとき、考えの理由が分かるように気を付けて書いている」「算数(数学)の授業で公式やきまりを習うとき、その根拠を理解するようにしている」など、各教科の特性に応じた学習方法を意識して取り組んでいる児童生徒ほど、正答率が高い。

・ テレビゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲームを含む)をする時間が長い児童生徒ほど、正答率は低い傾向にある。

・ 読書が好きな児童生徒、朝食を毎日とっている児童生徒、新聞やテレビなどのニュースに関心がある児童生徒ほど、正答率が高い。


《指導改善のポイント》

○ 児童生徒が楽しく学校生活を送り、落ち着いて勉強に取り組むことができる環境の整備と「知的好奇心を喚起する楽しい授業」「だれもが分かる授業」「有用感をもつことができる授業」に向けての指導法の工夫改善

○ 読書への取組、朝食摂取などの基本的生活習慣の確立、新聞やテレビなどのニュースへの関心など、学校と家庭の連携による指導の工夫

 

   

最終更新日:2011-10-07