学習活動の形態を工夫した授業
授業の中において、ペアでの活動やグループでの活動を設定し、児童生徒に自分の考えを伝える機会を与えることは、児童生徒一人一人に発言機会を保証することになるだけでなく、他者に伝えるために自分の考えを整理したり、他者と比べることで、考え方が広がったりする効果が期待でき、また、児童生徒の言語能力や表現力を高めていくことにもつながっていく。ただ、一方でその基盤となる基礎的・基本的な知識・技能の定着が低下するといった悪影響も考えられる。そのため、知識や技能を習得させる際に教師主導による学習活動の形態をとったり、知識や技能を活用させる際にお互いの考えを伝え合う学習活動の形態をとったりするなど、授業の目的や学習内容に応じて、より効果を上げるための教師側の授業の進め方の工夫が求められる。
身に付けさせたい力を意識した総合的な学習の時間における指導
今回の調査結果から、総合的な学習の時間において、身に付けさせたい力を意識した指導を行うことによって、児童生徒の教科における学力の向上にも、よい影響を与えていることを確認することができた。学習指導要領において、総合的な学習の時間については、各教科等を横断する課題について問題解決や探究的な活動を行うことにより、児童生徒の思考力・判断力・表現力を育むとともに、各教科における基礎的・基本的な知識・技能の習得にも資するなど教科と一体となった指導が求められている。今後も、総合的な学習の時間については、これらのことを各学校や各教師が意図しつつ、指導計画や学習内容を考えながら取組の充実を図っていくことが大切である。中央教育審議会の答申(平成20年1月17日) [※1]においても、総合的な学習の時間の学校間、学校段階間の取組の実態に差があることを課題としており、学校としてのカリキュラムマネジメント能力の向上が求められている。学習指導要領の改訂に伴い、総合的な学習の時間の縮減はあるもののその重要性については、更に強調されることとなる。各学校におけるカリキュラムマネジメント能力の向上が大いに期待されるところである。
※1 中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校学習指導要領の改善について」(答申)
平成20年1月17日 ⑯総合的な学習の時間(130ページ~132ページ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2009/05/12/1216828_1.pdf |