平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

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Ⅱ 調査結果の概要

教科ペーパーテスト及び児童生徒意識調査の概要

教科ペーパーテスト 全体の概要
 

 

○ 平成21年度調査に対して、「十分達成」を上回ったのは1教科(小学5年社会)から2教科(小学5年社会、中学2年国語)に増えたが、中学1年社会が「おおむね達成」を下回った。
今後、全学年・全教科が「十分達成」を目指すためには、各教科の観点 や領域、基礎と発展、活用などの視点において、それぞれのよさや課題を しっかり把握し、よさを伸ばし、課題を克服するための指導の工夫が求め られる。

○ 平成21年度の正答率との比較においては、「活用」に関する問題の割合数の違いなどがあり、一概に単純な比較はできないが、各学年・各教科の「十分達成」の到達基準を1.00 としたときの正答率の比率を比較すると、おおむね同程度であった。
・小学5年では、3教科が平成21年度と同程度、1教科がやや低下
・中学1年では、2教科が同程度、1教科が向上、1教科が低下
・中学2年では、2教科が同程度、1教科が向上、2教科が低下

各学年・教科の到達状況

学年
教科
平成22年度
(参考)平成21年度
県正答率
到達基準
県正答率/到達基準(十分達成)
県正答率
到達基準
県正答率/到達基準
(十分達成)
小学
5年
国語
66.0
79.4/59.4
0.83
66.1
79.8/59.8
0.83
社会
78.7
78.0/58.0
1.01
79.3
76.5/56.5
1.04
算数
62.7
78.1/58.1
0.80
62.3
78.3/58.3
0.80
理科
71.8
81.8/61.8
0.88
73.6
78.0/58.0
0.94
小学
6年
国語
全国学力・学習状況調査問題を実施
-
-
-
社会
67.7
77.6/57.6
0.87
-
-
-
算数
全国学力・学習状況調査問題を実施
-
-
-
理科
71.3
79.8/59.8
0.89
-
-
-
中学
1年
国語
75.2
78.5/58.5
0.96
64.0
78.6/58.6
0.81
社会
54.7
77.1/57.1
0.71
62.0
77.4/57.4
0.80
数学(算数)
68.5
78.1/58.1
0.88
66.4
77.4/57.4
0.86
理科
74.1
79.3/59.3
0.93
73.0
77.5/57.5
0.94
中学
2年
国語
71.0
68.8/48.8
1.03
67.6
71.7/51.7
0.94
社会
53.7
67.9/47.9
0.79
61.3
68.0/48.0
0.90
数学
48.9
65.2/45.2
0.75
52.5
65.4/45.4
0.80
理科
48.8
66.4/46.4
0.73
50.5
68.2/48.2
0.74
英語
60.1
67.0/47.0
0.90
64.0
68.0/48.0
0.94
中学
3年
国語
全国学力・学習状況調査問題を実施
-
-
-
社会
48.0
67.1/47.1
0.72
-
-
-
数学
全国学力・学習状況調査問題を実施
-
-
-
理科
57.7
67.1/47.1
0.86
-
-
-
英語
55.2
67.1/47.1
0.82
-
-
-

※到達基準は、 十分達成/おおむね達成 のラインを示している → 到達基準の設定について

  県の各教科正答率の「十分達成」に対する割合をグラフに表すと次のようになる。「十分達成」を1.00としたときの、各教科正答率の比率を示している。「おおむね達成」の基準は各教科で若干異なる。

■各学年・教科正答率の「十分達成」に対する割合
 
   
教科ペーパーテスト 教科ごとの概要
   
 

① 国語

  ・ 小学校・中学校ともに、読むことや書くことにかかわっての基礎的な能力は身に付いている。
・ 物語文の叙述に即して書かれている内容を的確に読み取ることなどが良好であった。
・ ことわざや慣用表現、四字熟語など「言語についての知識・理解・技能」の習得についてもおおむね良好であった。
・ 読み取ったことを基に自分の考えを書いたり、必要な情報を取り出して、それについての自分の意見をまとめたりすることなどについては課題があった。
  《指導改善のポイント》
○ 条件にしたがって自分の考えを書いたり、自分の意見をまとめたりするような学習活動の充実
○ 日常生活や社会生活とのつながりを意識した言語活動を位置付けた指導の工夫
   
  ② 社会
  ・ 平成21年度に引き続き、小学5年は良好であり、特に社会的な問題について自分なりの考えや解決策を論述する力などが身に付いていた。
・ 小学5年で出題した「地域の生産・販売」など、身近な社会を扱う内容については良好であったが、小・中学校の歴史分野には課題があった。
・ 中学1年は全般的に課題が見られ、特に資料を基に社会的な事象の特色や関連を考えたり、意味を解釈したりして説明する力に課題があり,特に明治時代以降の歴史の理解が不十分である。
・ 中学2・3年では、知識・技能の定着には一定の成果が見られたが、社会的な思考力・判断力の育成には課題があった。
  《指導改善のポイント》
○ 歴史分野の学習における児童生徒の興味・関心を高め、知識・技能の確実な定着を図る指導の工夫
○ 資料等を基に事象を説明したり、自分の考えをまとめたりする学習活動や、討論や意見交換を通して、自分の考えを見直したり、深めたりするような学習活動の工夫
   
  ③ 算数・数学
  ・ 小学校・中学校ともに数量や図形などを数学的に表現・処理する力は全体的に身に付いている。
・ 公式を用いて面積を求めたり、速さと道のりから時間を求めたりすることは良好であった。
・ 小学校においては、数学的な考え方をはぐくむことに課題があった。
・ 中学校においては、知識・理解の定着を図る、数学的な考え方をはぐくむことに課題があった。
 

《指導改善のポイント》
○ 小学校においては、図、式や言葉を使って自分が考えた解き方を説明し合わせるなど、算数的活動の充実を図った指導の工夫
○ 中学校においては、移行措置に伴って追加された内容についての対応と、身に付けた知識・技能を活用することができるような数学的活動の充実を図った指導の工夫

   
  ④ 理科
  ・ 小学5年は平成21年度を下回ったが、中学校は、平成21年度と同程度であり、おおむね良好であった。
・ 実験器具の正しい使い方や測定器具の数値の読み取りなど観察・実験の技能・表現に関する内容は、小学校では課題があったが、中学校においては良好であった。
・ 小学校では、「ものの燃え方」など日常生活で実感しやすい内容の理解は良好であったが、「電磁石の性質」など実体験が少ない内容の理解には課題があった。 
・ 中学校では、観察・実験の結果を分析して自分なりに解釈したり、解釈したことをグラフや文章で表現したりする力に課題があった。
  《指導改善のポイント》
○ 小学校においては、観察・実験を通して、実感を伴った理解を図ることや、実験器具などの実際の操作を通して、体験的に技能の習得を図ることができるような指導の工夫
○ 中学校においては、目的意識を明確にして観察・実験に取り組ませたり、観察・実験の結果を整理し、自分の考えを表現させたりするための指導の工夫
   
  ⑤ 英語
  ・ 「聞くこと」「読むこと」の理解の能力は全般的に良好な結果であった。
・ 「聞くこと」「読むこと」において、場面に応じて適切に応答する際に必要とされる思考力や判断力には課題があった。
・ 「書くこと」については、英語で自分の考えを書くような問題においての無解答率が高く、到達度の分布状況において二極化が見られるなどの課題があった。
  《指導改善のポイント》
○ 教師と生徒、生徒同士のコミュニケーション活動やスピーチなどの言語活動を取り入れた指導の工夫
○ 日常的に書く活動を取り入れた指導の工夫と書かせる内容の工夫
   
児童生徒意識調査の経年比較
   
 

・ 中学2年では、平日、土・日曜日や休日ともに、学校の授業以外の学習時間が平成20年度から年々増加している。
・ 「国語の時間に、自分が考えたことや調べたことを積極的に発表している(小学5年)」「数学の時間に、問題の解き方が分からないときは、あきらめずにいろいろな方法を考えている(中学1年)」など、学習活動への興味・関心をもって授業に意欲的に取り組んでいる生徒や、粘り強く学習に取り組み、学習したことをすすんで活用しようとしている児童生徒が年々増加している。
・ 「学校での勉強は大人になってから役に立つ」と感じている児童生徒、「大人になってからやってみたい仕事がある」と回答した児童生徒は、ともに年々増加している。

   

教科ペーパーテストと児童生徒意識調査の関連 (ここでいう正答率は、各学年の全教科平均正答率を示す)

 

 

・ 土曜日・日曜日や休日の学習時間が長い児童生徒ほど、正答率は高い傾向にあり、この傾向は学年が上がるほどより顕著である。
・ 「勉強が好き」と回答している児童生徒ほど、正答率が高い。
・ 各教科の「授業が楽しい」と回答している児童生徒ほど、正答率が高い。
・ 「習った漢字を自分で文章を書くときに使うようにしている(小学5年)」「理科の時間に、観察や実験を行ったあと、考察やまとめを行うようにしている(中学2年)」など、各教科の学習活動に意欲的に取り組んでいる児童生徒ほど、正答率が高い。
・ 読書の時間が長い児童生徒や朝食を毎日とっている児童生徒ほど、正答率が高い傾向にある。

《指導改善のポイント》
○ 中学校では、生徒の土・日曜日や休日の過ごし方、家庭学習等についての学校と家庭が連携した指導の工夫
○ 児童生徒の知的好奇心を喚起し、楽しく意欲的に取り組むことができる授業の工夫
○ 学校と家庭が連携した読書指導の工夫

   

最終更新日:2011-1-31