平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ 教師意識調査の結果の分析


教師意識調査の結果の分析

6 TT・少人数指導の成果と課題


TT・少人数指導の成果としては、小中学校ともに「学習状況が十分でない子どもに応じた指導ができる」と「子どもへの声掛けが増え、個別指導が十分にできる」と回答した教師の割合が多くなっていることが挙げられる。
TT・少人数指導の課題としては、打ち合わせ時間の確保についての工夫・改善と、学習状況が十分な子どもを更にのばす手立て,教師の役割分担などについて再検討の必要性の3点が挙げられる。 
 
この節では、ティームティーチングや少人数指導に携わる教師を対象に、ティームティーチングの際の役割分担や少人数指導における習熟度別編成の導入頻度など実施方法にかかわる現状、指導法改善の頻度、ティームティーチングや少人数指導の成果と課題について問うことにより、県の施策であるきめ細かな指導の実現状況と基礎学力定着の状況を分析する。

 


「あなたはティームティーチングや少人数指導を行っていますか」
という設問について、小学校では「ティームチーチング」と回答した教師の割合が最も多く、36.8%である。次いで「指導内容に応じてティームチーチングや少人数指導を行っている」と回答した割合が36.6%となっている。これは中学校教師の意識調査の結果9.6%と比べて高くなっている。[図1]


 

「ティームティーチングの指導で役割分担をどのようにして指導することが多いですか」という設問について、小学校では「T1が一斉指導して、T2が机間指導しながら個別指導する」と回答した教師の割合が最も多く、70.1%である。次いで「T1とT2が状況に応じ、役割を交代しながら指導する」と回答した割合が21.9%となっている。これらは中学校教師の意識調査の結果と比べてほとんど変わらない。[図2]


 
「少人数指導の中で,習熟の程度に応じて学習グループを編成した授業を行っていますか」
という設問について、小学校では「少しは行っている」と回答した教師の割合が最も多く、43.6%である。ついで「まったく行っていない」と回答した教師の割合が21.5%となっている。「多くの単元で行っている」と回答した小学校教師の割合は、中学校教師の意識調査の結果と比べて低くなっている。[図3]
 

「ティームティーチングや少人数指導の指導方法等については,打ち合わせや見直しを行っていますか」という設問については、小学校では「必要に応じて、ときどき行っている」と回答した教師の割合が最も多く、59.9%である。ついで「毎回ではないが、定期的に行っている」と回答した割合が24.4%となっている。これらは中学校教師の意識調査の結果と比べてほとんど変わらない。[図4]


 


「現在,あなたが行っているティームティーチングや少人数指導はどのような点で効果的だと思いますか。(複数回答可)」
という設問については、小学校、中学校ともに「学習状況が十分でない子どもに応じた指導ができる」と「子どもへの声掛けが増え、個別指導が十分にできる」と回答した教師の割合が多く、8割を上回っている。ついで、小学校では「子どもの学習内容がよく定着する」と回答した割合が62.4%、中学校では「指導法の工夫改善ができる」となっている。また、「教材・教具の準備が十分にできる」と回答した教師の割合は、小学校では48.5%、中学校では20.0%と差が見られた。[図5]


 


「現在,あなたが行っているティームティーチングや少人数指導はどのような点が課題だと思いますか。(複数回答可)」
という設問については、小学校、中学校ともに「教師間の打ち合わせの時間が十分でない」と回答した教師の割合が最も多く、7割を上回っている。ついで、「学習状況が十分な子どもを更にのばす手立てが難しい」と「教師の役割分担が難しい」と回答した小学校教師の割合が高くなっている。[図6]


 


<これからの指導に向けて>

ティームティーチング・少人数指導

ティームティーチング・少人数指導については、多くの教師がティームティーチングや少人数指導の効果について認めている。小学校では約8割、中学校では約5割の教師が「学習状況が十分でない子どもに応じた指導ができる」と「子どもへの声掛けが増え、個別指導が十分にできる」を効果的な点として挙げており、以下、「子どもの学習内容がよく定着する」「指導方法の工夫・改善ができる」などを挙げている。課題としては、小・中学校共に「教師間の打ち合わせの時間が十分でない」を挙げており、以下、「学習状況が十分な子どもを更にのばす手立てが難しい」「子どものグループ編成が難しい」「学習状況が十分でない子どもへの対応が難しい」などを挙げている。特に、ティームティーチングを実施する場合には、教師間の授業前における十分な打ち合わせや授業後の評価についての情報交換などが欠かせないのであるが、このような時間が十分に確保できていない現状が見受けられる。
ティ―ムティーチング・少人数指導においては、目標の明確化や学習形態の工夫などを充実させることによって、その効果が際立つと思われる。その結果、児童生徒の学習に対する楽しさ、充実感・満足感がより確かなものとなり、学力向上へとつながると考えられる。
また、ティ―ムティーチング・少人数指導については、児童生徒のグループ編成の方法、教師の役割分担などについて更に検討を重ねるとともに、打ち合わせ時間の確保については、その原因を究明し、施策としての対応、及び各学校においての工夫・改善を図る必要がある。



最終更新日:  2011-1-31