平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査の結果の分析


児童生徒意識調査の結果の分析

2 学習動機

「勉強が好き」と回答している児童生徒は、学年が上がるにつれて減少する傾向が見られる。しかし、勉強が好きな児童生徒は、各学年とも年々増加している。[図1][図2]

また、勉強が好きな生徒ほど、正答率が高くなっている。[図3]

学校での勉強は、大人になって役に立つと思っている児童生徒の割合は、小学校は9割、中学校は7割を上回っており、年々その割合は増加している。[図4]

また、役に立つと思っている児童生徒ほど、正答率が高くなっている。[図6]

「大人になってからやってみたいゆめ(仕事)がある」と答えた児童生徒は、小学校は8割、中学校は7割を上回っており、年々その割合は増加している。[図7]
 


ここでは、勉強に対する興味・関心やその有用性、大人になってからかなえてみたい仕事(小学校では夢)の有無などについての質問から児童生徒の学習動機についての調査結果を述べる。

 

「勉強が好きですか」という設問については、「好き」 と回答した児童生徒の割合が小学5年23.7%、中学1年12.8%、中学2年6.6%になっている。「どちらかといえば好き」と回答した児童生徒の割合を合わせると、小学校では5割を上回っているが、学年が上がるにつれて低くなっている。

この設問を前年度調査と比較すると、「好き」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも高くなっているが,小学5年生で0.8ポイント増加,中学1年で0.5ポイント増加,中学2年で0.2ポイント増加と伸びは小さい。。[図1]



 

同一児童生徒の経年比較で見ると、「好き」、「どちらかといえば好き」と回答した児童生徒の割合は、小学6年から中学1年にかけて6.0ポイント減少している。中学1年から中学2年にかけては14.8ポイントと大きく減少している。 [図2]

 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「勉強が好き」と回答した児童生徒の正答率がもっとも高くなっている。以下、だんだんと正答率は低くなっている。[図3]

この調査から、勉強が好きということと学力の定着には深い関係があるといえる。学年が上がるにつれて勉強を好きな児童生徒が減ることついては、発達の段階や学習内容に起因することも考えられるが、大きな課題である。小学校と中学校のスムーズな接続や中学校における指導法改善等を図っていくことが大切である。


 

「学校での勉強は、大人になってから役に立つと思いますか」という設問については、「そう思う」 と回答した児童生徒の割合が小学5年76.0%、中学1年63.6%、中学2年45.6%になっている。「どちらかといえばそう思う」と回答した児童生徒の割合を合わせると、小学校は9割、中学校は8割を上回っている。

この設問を前年度調査と比較すると、「そう思う」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも高くなっている。一方、「そう思わない」、「どちらかといえばそう思わない」と回答した児童生徒の割合は、減少しているが、中学2年での割合が他の学年に比べてやや高くなっている。[図4]



同一児童生徒の経年比較で見ると、小学6年から中学1年にかけては大きな変化は見られないが、中学1年から中学2年にかけて[そう思う]、「どちらかといえばそう思う」と回答した生徒の割合は7.6ポイント減少している。これに対し、「そう思わない」、「どちらかといえばそう思わない」と回答した生徒が4.0ポイント増加している。[図5]

 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において、「そう思う」と回答した児童生徒の正答率が最も高くなっている。以下だんだんと正答率は低くなっている。[図6]



各教科の学習が、知識の習得だけで終わることなく、日常生活との関連や将来における社会とのつながりなどを意識した指導となるよう工夫が求められている。また、 キャリア教育との関連性を含め、知識の習得と活用が将来的に生きていく上でどのように役に立つのかということを、小学校の段階から系統的に提示していく必要性がある。


 

「あなたは大人になってからやってみたいゆめ(仕事)がありますか」という設問については、「ぜひやってみたい仕事がある」 と回答した児童生徒の割合が小学5年60.8%、中学1年55.2%、中学2年45.8%になっている。「何となくやってみたい仕事がある」と回答した児童生徒の割合を合わせると、小学5年と中学1年は8割、中学2年は7割を上回っている。

この設問を前年度調査と比較すると、「ぜひやってみたいと仕事がある」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも高くなっており、特に中学2年で3.6ポイント高くなっている。[図7]



 

同一児童生徒の経年比較で見ると、中学1年生から中学2年生にかけて「ぜひやってみたい仕事がある」と回答した生徒の割合が8.5ポイント減少している。[図8]

 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「ぜひやってみたい仕事がある」、「何となくやってみたい仕事がある」と回答した児童生徒の正答率が全体的に高くなっており、「大人になっても、仕事はしたくない」、「仕事のことを考えたことがない」と回答した児童生徒の正答率が低くなっている。[図9]


民間の教育機関が行った調査では、中学生・高校生について「将来の職業に興味をもったとき」や「将来行きたい学校がはっきり決まったとき」に学習意欲が高まるとの調査結果が出されており、将来の夢や目標をもたせることは大切である。従来の特別活動における進路指導に加えて、キャリア教育の視点などを加味した継続的・系統的な指導が必要である。夢やあこがれの職業、就きたい仕事、なりたい人物像、夢や目標を達成するために何をすればよいのか等について、児童生徒が自分の将来についてより具体的に考え、希望を持てるように支援することが望まれる。


最終更新日:  2011-1-31