平成25年度佐賀県小・中学校学習状況調査及び全国学力・学習状況調査を活用した調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査結果の分析


児童生徒意識調査結果の分析
                                
児童生徒意識調査結果の分析に関わる全てのグラフ

4 家庭学習

1日あたりの学習時間について、小学校では、1時間以上学習している児童の割合が年々高くなっており、中学校では、中学1年と中学3年とで2時間以上学習している生徒の割合が年々高くなっていた。[図1]
自分で計画を立てて勉強する児童生徒の割合に大きな変化は見られないが、計画を立てて勉強する児童生徒ほど、全教科平均正答率は高くなっていた。[図3][図4]

 

ここでは、家庭での学習状況について、普段の学習時間と計画的な学習の変容を平成23年度からの調査結果と比較し、分析を行った。また、平成25年度の調査結果と全教科平均正答率との関連からも分析を行った。学校の宿題については、平成25年度の回答の割合と全教科平均正答率との関連から分析を行った。

   
   
「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日あたりどれくらいの時間、勉強しますか」についての経年比較(同一学年)

 

図1 「学校の授業時間以外に、普段、1日あたりどれくらいの時間、勉強しますか」の回答の割合

    の経年比較

平成25年度の調査を見ると、全ての学年において「1時間以上、2時間より少ない」と回答した児童生徒の割合が最も高く、35%を上回っていた。同一学年において、1時間より少ないと回答した児童生徒の割合を、平成23年度からの経年で比較すると、全ての学年において、学校の授業以外での学習時間は増加してきている。[図1]

   
 

図2 「学校の授業時間以外に、普段、1日あたりどれくらいの時間、勉強しますか」の

    回答状況と度全教科平均正答率(平成25年度)

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において、1時間以上学習している児童生徒の平均正答率の方が、1時間より少ない時間学習している児童生徒の平均正答率よりも高い正答率であった。1時間以上学習していると回答した児童生徒の平均正答率を選択肢ごとに見てみると、時間が長いほど平均正答率が高いとは言えない結果であった。[図2]

   
   
「自分で計画を立てて勉強している」についての経年比較(同一学年)
 

 

図3 「自分で計画を立てて勉強している」の回答の割合の経年比較

平成25年度の調査において「している」「どちらかといえば、している」と回答した児童生徒の割合は、小学5年62.5%、小学6年58.5%、中学1年65.7%、中学2年53.1%、中学3年46.0%であり、中学2年生が最も高い割合であった。同一学年において「している」「どちらかといえば、している」と回答した児童生徒の割合を、平成23年度からの経年で比較すると、全ての学年においてはっきりとした傾向は見られなかったが、中学2年においてその割合は徐々に高くなっていた。[図3]

   
 
図4 「自分で計画を立てて勉強している」の回答状況と全教科平均正答率(平成25年度)

回答状況と全教科平均正答率との関連をみると、小学6年から中学3年までにおいて「している」と回答している児童生徒の平均正答率が最も高くなっていた。小学5年においては、自分で計画を立てて勉強している児童の平均正答率の方が、計画を立てて勉強していない児童の平均正答率に比べて高くなっていた。「している」と回答した児童生徒の平均正答率と、「全くしていない」と回答した児童生徒の平均正答率との差を見ると、全ての学年において7.0ポイント以上の差があった。特に、中学2年では、11.8ポイントあり最も大きかった。

[図4]

   
   
これからの指導に向けて
   
 

家庭との連携を図り、家庭学習の定着を

普段、学校の授業以外に学習している時間について、平成23年度からの経年で比較すると、小学校では、1時間以上勉強している児童の割合は年々高くなっていた。中学校において2時間以上勉強している生徒の割合は、どの学年も平成23年度と比較して高い割合であった。一方、学習時間と全教科平均正答率との関連を見ると、長い時間勉強している児童生徒が必ずしも平均正答率が高いとは限らない結果となった。学校によっては、年度当初に家庭学習について記した手引きを配付し、学習の時間や学習への取り組み方、学習の内容等を示しながら家庭学習の定着に取り組んでいる。その際、学習への取り組み方について「テレビを消して」や「机の回りを整理して」など学習に集中できる環境作りを示している学校もある。このような取組は、児童生徒が集中して学習に取り組む上で大切なことと考える。今後も、家庭での学習環境にも目を向け、家庭と連携を図りながら指導していくことが大切である。

家庭学習への意識を定着させるためには、年度当初に示すだけでなく、定期的に意識付けを図る必要がある。意識付けを図る方法の1つとして、児童生徒やその保護者を対象とした意識調査を行うことが考えられる。意識調査を定期的に行っていくことで、児童生徒に家庭学習の状況を振り返らせながら意識の定着を図るだけでなく、その保護者に対しても家庭での児童生徒の学習状況について考えてもらう機会としたい。

家庭での過ごし方に計画性を

計画的に勉強を進めている児童生徒の割合を平成23年度からの経年で比較すると、はっきりとした傾向は見られなかったものの、全教科平均正答率を見ると、計画的に勉強を進めている児童生徒ほど平均正答率が高くなっていた。このことから、学習時間を延ばすことも大切であるが、限られた時間をどのように活用していくかについて児童生徒に考えさせることも大切であると考える。1日の過ごし方や1週間の過ごし方について考えさせる時間を学校または家庭で確保し、計画的な過ごし方を意識させ、効率のよい学習習慣を身に付けさせることが大切である。


最終更新日:2013-10-21