意思決定を取り入れた討論型の学習に取り組んでみませんか!

 

実践事例7  中学校第1学年 「古代社会を支え、国の発展に貢献した人々 −遣唐使を考える−」 

 
単元について

この単元では、大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ、その後、天皇や貴族の政治が展開したことを「律令国家の確立に至るまでの経緯」、「摂関政治」の学習を通して理解させることをねらいとしている。

遣唐使についての学習では、唐の制度や文物を学ぶ価値、様々な人々の立場や観点から歴史的な事実を見つめさせることができる題材だと考えられる。歴史的事象の内容を十分に理解させ、どのような価値を重要と判断するのか多角的に考察し、表現する力を育成する上で意義があるテーマと思われる。

  生徒は、小学校時の既習内容を生かしながら歴史的分野の授業に積極的に臨んでおり、挙手をして発表する姿が多くみられる。話合い学習については、好き(どちらかというと好き)、嫌い(どちらかというと嫌い)がほぼ同数であり、『好き』の理由として「自分の話を聞いてもらえるから」、「自分が分からないところを友達から教えてもらえるから」などが挙げられた。
  遣唐使派遣に関して意思決定型の場面を取り入れた授業を仕組みたい。意思決定を行うには今までの学習内容に加え、様々な資料を活用し自分の考えの根拠としていく必要があるが、様々な立場(考え方)や観点を意識させ判断させることにより、判断の過程を重視したい。
 必要な資料を活用して、自分の考えをまとめさせ、分かりやすく効果的に表現する力を育てたいと考える。
   
単元の目標
(1)
  律令制度や摂関政治の仕組みが整い、天皇や貴族の政治が展開されたことに課題意識をもって追究しようとし、国際的な要素をもった文化が後に国風化したことを意欲的に追究させる。
(2)
  律令国家のねらいについて、その特色に課題意識をもち、複数の立場や観点から考え、自分の言葉で表現させるとともに、仏教の影響や文化を担った人々などに着目し、古代の日本において栄えた文化の特色について多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現させる。
(3)
   律令制度や摂関政治などの天皇・貴族の政治、法隆寺や正倉院の宝物、仮名文字などについて、様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりさせる。
(4)
   律令制度や摂関政治の仕組みが整い、天皇や貴族の政治が展開されたことや、国際的な要素をもった文化が後に国風化するなどの特色を理解させ、その知識を身に付けさせる。
   
単元の評価規準

社会的事象への

関心・意欲・態度

社会的な

思考・判断・表現

資料活用の技能

社会的事象についての
知識・理解

 律令制度や摂関政治の仕組みが整い、天皇や貴族の政治が展開されたことに課題意識をもって追究しようとする。
 国際的な要素をもった文化が後に国風化したことに関心をもち、意欲的に追究し、古代までの文化遺産を尊重しようとする。
 律令国家のねらいについて、その特色に課題意識をもち、複数の立場や観点から考え、自分の言葉で表現している。
 仏教の影響や文化を担った人々などに着目し、古代の日本において栄えた文化の特色について多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。
 律令制度や摂関政治など天皇・貴族の政治についての様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。
 法隆寺や正倉院の宝物、仮名文字など様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。
 律令制度や摂関政治の仕組みが整い、天皇や貴族の政治が展開されたことを理解し、その知識を身に付けている。
 国際的な要素をもった文化が後に国風化するなどの特色を理解し、その知識を身に付けている。
単元の指導計画(全8時間)
過程 主な学習活動
教師の働きかけ(○)
時配


○聖徳太子の政治改革
聖徳太子の政治の目的を考える。
飛鳥文化の特色を理解する。
○聖徳太子の政治について調べさせ、政治の目的について理解させる。
めあて 朝鮮・中国との関係について考えよう。
 


○大化の改新
大化の改新から律令国家の確立に至るまでのあらましを理解する。
○小学校での学習を生かし、大化の改新とその後の政治について理解させる。


○律令国家の成立と平城京
大宝律令と古代国家の仕組みを理解する。唐の影響について考察する。
○律令の制定、都の造営、地方への支配の広がりなど、古代国家の特色を理解させる。
めあて 唐の影響はどのようなところに表れているのだろう。
 


○奈良時代の人々のくらし
班田収授法の内容や仕組みを理解し、貴族や農民の生活の実態を資料を通して理解する。
○班田収授法についてまとめさせ、貴族や農民の生活、土地制度について理解させる。


○天平文化、平安時代の政治
遣隋使や遣唐使の派遣が文化に与えた影響について理解する。
平安遷都後の政治や文化の特色を知る。
○天平文化は仏教と唐の影響を強く受けていることを代表的な事例を通して理解させる。
○平安時代の政治や文化について理解させる。
めあて 遣隋使や遣唐使は政治や文化にどのような影響を与えたのだろう。
                                         《学習問題1》
 


○平安京と東アジアの変化
遣唐使の果たした役割や意義を理解する。遣唐使を続けることのマイナス面について考える。
○遣唐使の果たした役割を 理解させる。遣唐使の停止の理由について考えさせる。遣唐使関係の資料を提示して多面的に考えさせる。
本時
(6/8)
論題 遣唐使を停止したことはよかったのだろうか。《学習問題2》  
○意思決定の場面を取り入れた授業
遣唐使の停止についての自分の考えを根拠を明らかにして論述する。
○既習内容や関係資料等を基にして、遣唐使の停止についての意見をまとめさせる。友達の意見を参考にして自分の考えを広げさせる。話合い前後の考えの変化を記録させる。


○摂関政治と国家や社会の変化
藤原氏が勢力を伸長する様子を知る。遣唐使の廃止が国家や社会に与えた影響を考察する。
○摂関政治について調べさせ、藤原氏が天皇の外戚となり勢力を伸ばしたことや国風文化の特色を理解させる。
 
実践事例紹介ページに戻る

Copyright(C) 2013 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.