「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

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1 研究の概要
(1) 研究テーマ
    児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり
    ―開発的・予防的生徒指導の実践を通して―
(2) 研究テーマ設定の趣旨
  ●現状から考えること 

いじめによる問題は、社会問題として大きく取り上げられています。文部科学省は、平成18年にいじめの定義を、「一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的苦痛を感じているもの」と変更し、いじめられる側の精神的・身体的苦痛の認知として見直すようになりました。平成23年度の文部科学省『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』では、いじめの認知件数は70,231件でしたが、平成24年度の同調査における認知件数は、198,108件に上っています。佐賀県においても同様で、平成23年度のいじめ認知件数は、小学校7件、中学校25件、高等学校36件でしたが、平成24年度のいじめ認知件数は、小学校31件、中学校85件、高等学校91件となっており、前年度の3倍以上に増加しています。今後、いじめは、どの学校にもどの学級にもどの児童生徒にも起こり得るという危機感と緊張感をもって対応することが、より一層求められています。

  ●研究の考え方 
   

児童生徒にとっての学級は、学校生活の大半を過ごす場所です。河村(2007、2013)は、「子どもの不適応の問題、いじめの問題、そして学力に及ぶまで、本人の問題だけでなく、環境要因である学級集団との関係性が大きい」1)と述べており、教育の諸問題と学級集団との相関性を指摘しています。また、児童生徒が所属する学級集団において、児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる条件を、「(1)トラブルやいじめなどの不安がなくリラックスできている、(2)自分が級友から受け入れられ、考え方や感情が大切にされていると感じられる、という二つが満たされたときである」2)と述べています。このことから、学級集団は、集団生活の規律の中で、児童生徒一人一人が安心して過ごすことができ、互いのよさや特徴を認め合う人間関係がある状態が望ましいと考えられます。このような学級集団づくりができれば、児童生徒一人一人が居心地のよさを感じることができるであろうと考えます。また、いじめをはじめとする問題行動に対しては、問題を抱えている特定の子どもに対して行う問題解決的生徒指導だけでなく、問題を未然に防ぐような開発的・予防的生徒指導も必要です。八並・國分(2008)は、開発的生徒指導を「すべての子どもを対象とした問題行動の予防や、子どもの個性・自尊感情・社会的スキルの伸長に力点を置いたプロアクティブな(育てる)生徒指導である」3)とし、予防的生徒指導を「一部の気になる子どもに対して、初期の段階で問題解決を図り、深刻な問題へ発展しないように予防する」4)としています。開発的・予防的生徒指導を意図的・計画的に実践することは、いじめをはじめとする問題行動の未然防止につながり、児童生徒一人一人が居心地のよさを感じることができると考えます。

  ●本研究の目的
    本研究では、小・中・高等学校の児童生徒に対して学校生活や友人関係についてのアンケートを実施し、教師の観察と合わせて学級集団や個人についての実態把握を行います。この結果を基に学級集団や個人の状態に応じた支援について検討して、実践します。これらのことに取り組むことで、その学級を構成する児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくりができると考えます。
(3) 研究の方法
    @  先行研究や文献研究を基に、開発的・予防的生徒指導についての理論研究を行う。
A  学級集団や個人についての実態把握を行い、支援を検討して実践する。
B  支援の実践後に、再度アンケートによる調査を実施して、実践の成果と課題をまとめる。
(4) 研究の内容
@  実態把握に基づいた事例研究の進め方や開発的・予防的生徒指導による学級集団づくりについての先行
  研究や文献研究を基に理論研究を行う。
A  アンケートと教師の観察に基づいて、学級集団や個人についての実態把握を行う。
B  学級集団や個人の状態に応じて、具体的な支援を検討し、実践する。
C  支援の実践後に、再度アンケートによる調査を実施して、学級集団や個人の状態及び変容を考察し、実践
  の有効性を探る。
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