他者に対する広い心を育てる道徳の時間を提案します。

2 研究の実際
 
(1)  他者に対する広い心を育てる道徳の時間の考え方
 @ 内容項目2−(5)について
  内容項目2−(5)は、中学校学習指導要領では、次のように示されています。

それぞれの個性や立場を尊重し、いろいろなものの見方や考え方があることを理解して、寛容の心をもち謙虚に他に学ぶ

(引用:中学校学習指導要領 p.113)


  この内容項目は、「2 主として他の人とのかかわりに関すること」の1つとなっており、自己を他の人との関わりにおいて捉え、望ましい人間関係の育成を図ることに関するものとなっています。
  また、中学校学習指導要領解説道徳編では、内容項目の指導の観点(第3章第2節)において、内容項目2−(5)は次のように示されています。

人間は、たいていの物事についてその全体を知り尽くすことは難しく、自分なりの角度や視点から物事を見ることが多い。そこで大切なことは、互いが相手の存在の独自性を認め、相手の考えや立場を尊重することである。

(引用:中学校学習指導要領解説道徳編 p.49)

このことより、人は大抵の物事についてその全体を知り尽くすことが難しく、それぞれの立場から見る角度や視点も違うため、物事についての見え方が互いに違ってくると考えます。そのため、自分とは違う考えや立場に気付き、相手の考えや立場を尊重することが大切であると考えました。
   これらのことにより、人それぞれにいろいろなものの見方や考え方があることを理解させ、それぞれの違いを尊重するという態度を育てることが大切であると捉えられます。

 
 A 複数時間扱いの学習指導について

  中学校学習指導要領では、道徳の時間の目標に道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深め、道徳的実践力を育成することが述べられています。
  このことについて、中学校学習指導要領解説道徳編では、道徳の時間の学習指導を、学級の実態、指導者の意図、資料の内容などに応じて柔軟に発想することによって、多様な学習指導を構想することができると述べられています。その1つとして、第5章第3節には、複数時間扱いの学習指導が次のように示されています。
 <複数時間扱いの学習指導>

重点的な主題の学習を進める場合や、主題や資料の性格等を考慮した結果によっては、一つの主題について複数時間扱いの指導とすることが考えられる。その場合、

  ・複数の資料を連結させて用いていく進め方

・中心的な資料に他の副次的な資料を関連させて用いていく進め方

・中心的な資料そのものを数時間かけて深めていく進め方

など、資料の用い方を考えても多様な学習指導過程が考えられる。

また、年間にわたって複数時間取り上げる内容項目については、相互の関連を工夫することによって、各時間の学習指導を多様に組むことができる。

                                           (引用:中学校学習指導要領解説道徳編  p.91)

  このことから、道徳的価値及びそれに基づいた人間としての生き方についての自覚を深めるためには、複数時間扱いの学習指導が有効であると考えました。

Copyright(C) 2014 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.