つくりだす喜びを味わう児童を育てる図画工作の授業を提案します!!
                                                     
1 研究の概要                         
(1) 研究テーマ
   つくりだす喜びを味わう児童を育てる図画工作科学習の指導法研究 
    - 共同してつくりだすよさを感じ取れる題材における友達との交流活動を通して -
(2) 研究テーマ設定の趣旨
○ 学習指導要領に求められているこれからの図画工作科教育の在り方
   平成20年3月に示された学習指導要領では、これまでと同様に図画工作科の目標において「つくりだす喜びを味わうようにする」ことが重視されています。 そして、内容の構成においては、これまでの「A表現」「B鑑賞」の2つの領域に、〔共通事項〕が新たに加えられました。〔共通事項〕とは、「A表現」と「B鑑賞」の2領域の活動を支える資質や能力であり、造形活動や鑑賞活動を豊かにするための指導事項として示されています。〔共通事項〕の主な内容として、形や色などの造形的な特徴を捉えることと自分なりのイメージをもつことが記されています。さらに、言語活動の充実の観点から、図画工作科においても、「話したり聞いたりする」「話し合ったりする」などの学習活動を位置付けることが求められています。
○ 小学校における児童の実態
 平成21年度の国立教育政策研究所による「特定の課題に関する調査結果(図画工作・美術)」では、《発想や構想に関する問題》で、豊かな発想や構想をした児童は約4%、《創造的な技能に関する問題》で、表し方の工夫をした児童は約50%でした。一方、「図画工作の授業で,自分でかき方やつくり方を考えたり、表し方を工夫したりすることは好きですか」という質問に対して肯定的な回答をした児童は約70%でした。このことから、かき方やつくり方を考えたり、表し方を工夫したりすることは好きだが、一人一人がもっている発想や構想の能力と創造的な技能が十分発揮されていないことが考えられます。国立教育政策研究所では、分析結果から、「発想や構想の能力を一層伸ばすための具体的な指導の工夫が大切であり、表し方を児童自身が考えることができるような指導過程を工夫することが大切である」と示しています。
○ 本研究の目的
    
 このようなことから、児童が自分なりの感じ方や考え方を十分発揮できるように、発想や構想の手掛かりになる視点や方法を児童に提示することが必要になると考えます。また、自他の作品から、表し方の工夫を捉え、それを自分の表現に生かすことができるような場も必要になってきます。児童の発想や構想の能力と創造的な技能が高まり、もてる力が十分発揮されれば、思いどおりに表現できた満足感や成就感を味わうことができます。すなわち、児童は、つくりだす喜びを味わうことになります。
 そこで、本研究では、「A表現」の「表したいことを絵や立体、工作に表す活動」において、共同してつくりだすよさを感じ取れる題材を開発し、その製作過程に、形や色、イメージなどの〔共通事項〕を手掛かりとした交流活動を取り入れることとします。思いや意図を交流する活動によって、児童は様々な発想や表し方などがあることに気付きます。そのことによって、児童が感性を働かせながら、発想や構想の能力、創造的な技能を高めて、つくりだす喜びを味わうことができると考えました。
 以上のことから、上記のような研究テーマを設定し、研究を進めることにしました。
(3) 研究の方法
@文献調査及び先行研究の調査を通して、共同してつくりだすよさを感じ取れる題材についての理論研究を行います。 
 
A形や色、イメージなどを視点とした交流活動の在り方を工夫し、共同してつくりだすよさを感じ取れる題材の授業実践を通して、その有効性を検証します。
(4) 研究の内容
 
@共同してつくりだすよさを感じ取れる題材の開発
共同製作の題材を開発する際の要件を整理し、題材との出会わせ方、教具等を工夫します。
 
A授業実践を通した交流活動の在り方の提案
製作過程での位置付け、形や色、イメージなどの視点の提示等を工夫した交流活動の場を設定し、児童の作品や振り返りカードの感想等から児童の変容についての検証を行います。
                                                                                                                                  

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