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2 研究の実際

(1)佐賀県の児童の国語科における実態

平成24年度 全国学力・学習状況調査の問題分析と指導の手立て
平成24年4月に実施されました全国学力・学習状況調査の中で、これからの小学校国語科において求められている力やこれまでの調査において本県児童に課題が見られた力を問うている調査問題を取り上げ、分析をしています。出題の趣旨や調査問題の具体的な内容、調査問題で問われている力やそれらの力を育むための指導について示していますので、これからの指導の参考にしてください。
↓調査問題はこちらから↓

小学6年生 国語A 大問7
学習指導要領に
おける領域・内容
B 書くこと(第5・6学年)
ウ 事実と感想、意見などとを区別するとともに、目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりすること。

出題の趣旨
目的や意図に応じ、必要となる事柄を整理して簡潔に書くことができるかどうかをみます。

問題の内容
新聞の報道記事のリードに必要な事柄を整理し、一文にまとめて書く問題です。この問題では、新聞委員が合唱部の活躍を学校新聞の記事に書く場面が設定されています。

この問題で求められている力
この問題では、取材した四つの内容を、新聞の報道記事のリードにして一文にまとめて書く力が求められています。

求められている力を育むための指導例
調べたことや分かったことを新聞にまとめる
相手や目的に応じて、書く内容を選択し、まとめ方などを様々に工夫しながら、調べたことや分かったことを新聞にまとめることが大切です。そのためには、新聞の特徴や作り方を知らせ、書く上で必要な事柄を調べるのに適切な方法(本を利用したり、友達や地域の人などにインタビューやアンケートを行ったりすることなど)を選択して取材することができるように指導することが必要です。
指導例としては、まず 、見出し・リード・本文などの新聞記事のもつ特徴的な構成を理解させ、目的に応じて、記事の概要を押さえたり、詳細な情報を得たりすることができるようにすることが挙げられます。それを基に、実際に自分が経験したことや身の回りの出来事などを書く活動を行い、効果的に見出しを付けたり、読み手に分かりやすい記事を書いたりすることができるように指導することが考えられます。
目的や意図に応じ、必要となる事柄を整理して簡潔に書く
必要となる事柄を整理し、語と語の関係、文の構成、文と文のつながりなどに注意して書くことが大切です。そのためには、文の中における主語と述語の関係や、修飾と被修飾との関係などを押さえ、文と文をつなぐ接続語や指示語などを適切に使うことができるように指導することが必要です。
指導例としては、複数の文をまとめる活動を取り入れることが挙げられます。複数の文をまとめる順序としては、はじめに、全体の文の構成を捉える。次に、一つ一つの文の構成や文と文との関係を捉える。最後に、5W1Hなどの中から必要となる事柄を取り上げ、事実や感想、意見などを簡潔にまとめて書く(例えば、@「この前の日曜日、遊園地に行った。」A「その日は、私の誕生日だった。」B「誕生日のお祝いに、遊園地に行った。」C「家族みんなで遊園地に行った。」→「この前の日曜日は私の誕生日だったので、お祝いに家族みんなで遊園地に行った。」などのように、反復する言葉に着目して一文にする)。これらの活動を繰り返し行っていき、学習の定着を図ります。また反対に、目的や意図に応じて、書いてある内容や意味が明確に伝わるように、作文や日記などの書く活動において、一文を比較的短く書いたり、重文(例:「花が咲き、鳥が歌う。」)や複文(例:「お母さんが作ったケーキは、おいしい。」)などの一文を複数の文に書き分けたりする活動を取り入れることも考えられます。

小学6年生 国語B 大問3四
学習指導要領に
おける領域・内容
C 読むこと(第5・6学年)
イ 目的に応じて、本や文章を比べて読むなど効果的な読み方を工夫すること。
ウ 目的に応じて、文章の内容を的確に押さえ要旨をとらえたり、事実と感想、意見などとの関係を押さえ、自分の考えを明確にしながら読んだりすること。
B 書くこと(第3・4学年)
ウ 書こうとすることの中心を明確にし、目的や必要に応じて理由や事例を挙げて書くこと。

出題の趣旨
複数の記事を結び付けながら読み、事実を基にして自分の考えをもつことができるかどうかをみます。

問題の内容
二つの記事に書かれている内容を結び付けながら読み、理由となる事実を基にして自分の考えを記述する問題です。この問題では、記事の中の事実を基に、日本の女子選手が活躍してきたと考えられる理由をまとめて書く場面が設定されています。

この問題で求められている力
「マラソンの世界記録上位5人」と「日本人選手の記録」の二つの記事を結び付けながら読み、理由となる事実を基にして記述することが求められています。

求められている力を育むための指導例
目的や意図に応じて、必要となる事実を読み取る
目的や意図に応じて、適切な雑誌や新聞などを読み、その特徴や編集者の意図を考えながら、編集の仕方や記事の書き方を捉える
ことや、それらに含まれる内容や構造を捉えることが大切です。そのためには、比べ読みや速読、多読、必要な部分だけを見つけて読む拾い読みなどの中から、目的に応じた効果的な読み方を選択し、活用できるように指導することが必要です。
指導例としては、必要となる事実を読み取らせるために、書き手がどのような事例を挙げ、考えの理由や根拠としているかを捉えることができるよう、それぞれ色分けをしてサイドラインを引かせるなどが考えられます。また、書き手がどのような感想や意見、判断や主張などを行い、考えを示したり説得したりしようとしているのかなどについて、文章の要点を読み取らせ、書き手の意図を考えながら文章全体の構成を捉えることができるようにすることも有効です。
目的や意図に応じて、複数の情報を関係付けて読む
目的や意図に応じて、与えられた情報の中から必要な複数の資料を選び、それらを関係付けて読むことが大切です。そのためには、どのようなことが必要とされているのかを押さえ、文章の内容の中心となる事柄や書き手の考えの中心となる事柄を捉えることができるように指導することが必要です。
指導例としては、はじめに、雑誌記事から目的に応じて必要となる情報を取り出す。次に、取り出した複数の情報を比較し、分析、統合する。最後に、与えられた条件(字数など)に合わせて、情報を操作し加工する。
このような活動を児童の実態に応じて、意図的に行っていくことが考えられます。他教科の授業でも、新聞やインターネットなどを活用し、様々な情報の中から必要なものを選択していく学習活動を取り入れたいものです。
条件に合わせて自分の考えをまとめる
目的や意図に応じて自分の考えをまとめ、その考えを広げたり深めたりすることが大切です。そのためには、自分の知識や経験、考えなどと関係付けながら文章を読み、それに対する自分の考えを条件(字数など)に合わせて簡単に書いたり、詳しく書いたりすることができるように指導することが必要です。
指導例としては、
記事から把握できる事実を根拠として挙げながら理由を明確にして自分の考えをまとめて書くことや、考えたことを発表する交流活動を通して、必要に応じて、他者の考えを自分の考えに取り入れることができるようにすることが考えられます。授業の中で、共通点や相違点に目を向けさせる活動を行い、読み手を意識し編集を工夫するような学習活動を展開するなど、実践的な場面を設定して、繰り返し取り組ませると効果的です。



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