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2 研究の実際
(3) 学習評価
C 学習評価の進め方と具体例
各学校において、評価規準を設定するにあたっては、国立教育政策研究所から公開されている「評価規準の作成のための参考資料」(以下、参考資料と表記)に示されている評価規準の設定例を参考にして、教材等の特徴に即して、その記述を具体化したり、必要に応じて、いくつかの設定例を参考にしたりすることにより、各学校で実施される授業に即した評価規準を設定することができます。 参考資料によると、国語科では学習指導要領に示されている言語活動例ごとに、「評価規準の設定例」がまとめて示されています。


(例)第2学年 「読むこと」 教材名「お手紙」 光村図書2年下、東京書籍2年上 全12時間
  
※この単元での評価の観点は、「国語への関心・意欲・態度」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」を設定することとします。ここでは、単元の評価規準の設定について、「読む能力」の観点に絞って考えてみます。
T その単元で取り上げる指導事項と言語活動を確かめます。
 
〈指導事項〉  
C 
読むこと @ウ 場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。
〈言語活動例〉  
読むこと Aイ 物語の読み聞かせを聞いたり、物語を演じたりすること。


                      
 

                    音読劇


U 単元の目標を設定します。 〈単元の目標〉
音読劇をすることを通して、場面の様子を登場人物の行動や会話から想像を広げて読み取ることができる。
V 単元の評価規準を設定します
〈参考資料に示されている評価規準の設定例〉を参考にして、指導事項と言語活動とを併せて具体的に考えていきます。 そして、指導内容を明確にして評価できるよう、単元の評価規準を設定します。
〈参考資料に示されている「C 読むこと」の評価規準の設定例〉
「物語の読み聞かせを聞いたり、物語を演じたりする言語活動」を通した指導
場面の様子を劇で表すという目的をもって、登場人物の行動に気を付けて読み、場面の様子を想像している。(ウ)
 
上記を参考に、より具体的に考えます。
 

〈単元の評価規準の設定〉

登場人物の行動や会話を中心に、場面の様子について想像を広げながら読み、音読劇に生かしている。 (ウ)

※上記の手順に沿って、この単元での評価の観点である「国語への関心・意欲・態度」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」について、単元の評価規準を以下のように設定してみました。
国語への関心・意欲・態度
読む能力
言語についての知識・理解・技能
音読劇をするという目的をもって進んで読み、意欲的に音読劇に取り組もうとしている。
登場人物の行動や会話を中心に、場面の様子について想像を広げながら読み、音読劇に生かしている。(ウ)
助詞「は」、「へ」、「を」を文中の中で正しく使って簡単な手紙を書いている。
(イ(エ))
主語と述語に気を付け、書き方を理解して簡単な手紙を書いている。(イ(カ))
W 指導過程を構想し、その中での評価規準をより具体的に設定します。
単元の評価規準の観点である「国語への関心・意欲・態度」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」について、1単位時間ごとの評価規準と評価方法を考えてみます。ここでは、観点ごとの評価をバランスよく実施することが必要です。
〈指導と評価の計画〉

学習活動
学習過程における評価規準と評価方法
@ 手紙をもらった経験などを出し合い、話の大体の流れを把握する。
A
音読劇をすることを知り、学習計画を考え、今後の学習の見通しをもつ。


[関]
音読劇を成功させるために、単元計画についてんで話し合おうとしている。
〔発言内容・学習計画の記述〕
評価の進め方
B
登場人物を確認する。
C
出来事を整理し、場面分けをする。
   
[読ウ] 場面の変化に気付き、場面を分けている。
〔ワークシートの記述〕
 
評価の進め方
D
手紙をもらえず悲しんでいるがまくんの気持ちを読み取る。【1の場面】
[読ウ] がまくんのさびしい気持ちを読み取っている。
〔ワークシートの記述・発言内容・音読の状況〕
E
がまくんの思うかえるくんの気持ちを読み取る。
【2の場面】
[読ウ] かえるくんのがまくんを思う気持ちを読み取っている。
〔ワークシートの記述・発言内容・音読の状況]
[言イ(カ)] 主語のない文章があることに気付き、場面の様子を想像している。
〔発言内容・音読の状況・観察〕
F
二人の言動を比較し、それぞれの気持ちを読み取る。【3の場面前半】
[読ウ] 二人の気持ちの違いを読み取っている。
〔ワークシートの記述・発言内容・音読の状況〕
G
がまくんの気持ちの変化と二人の心の通い合いを読み取る。【3の場面後半】
[読ウ] 二人の心が通じ合っていく様子を読み取っている。
〔ワークシートの記述・発言内容・音読の状況〕
H
二人の心の通い合いを読み取る。【4の場面】
[読ウ] 幸せな二人の様子を読み取っている。
〔ワークシートの記述・発言内容・音読の状況〕
I
グループに分かれて、音読劇発表会に向けての話し合い及び練習をする。
[関] 音読劇に向けて進んで話し合おうとしている。
〔発言内容・観察〕
[読ウ] 読み取ったことを基に音読劇の練習をしている。 〔音読の状況・観察〕

10
J
クラス全体で「なりきり音読劇発表会」を開く。
[関] 進んで音読劇に取り組んだり、友達の音読の良いところを探しながら聞こうとしたりしている。
〔音読発表・発言内容・観察〕
11
K
「お手紙」を読んで、おもしろかったところや気に入ったところなどを出し合い、交流する。
[読ウ] 話のおもしろかったところや気に入ったところなどを紹介している。〔紹介の内容〕
[関] アーノルド=ローベルの他の作品の紹介を、興味をもって聞こうとしている。〔発言内容・観察〕
12
L
もらったらうれしくなるような「ぽかぽかお手紙」を学級の友達に書く。
[言イ(エ)]
[言イ(カ)]
主語や述語、「○○さんへ」という助詞を正しく使って手紙を書いている。〔手紙の記述〕
 
評価の進め方
※上記の〈指導と評価の計画〉の中から、「国語への関心・意欲・態度」(第1時)、「読む能力」(第2時)、「言語についての知識・理解・技能」(第12時)の評価の進め方について、詳しく説明します。

第1時
 


    
                        





〈学習活動(★)・評価規準(○)・評価方法(●)〉
音読劇をすることを知り、学習計画を考え、今後の学習の見通しをもつ。
[関]  音読劇を成功させるために、単元計画について進んで話し合おうとしている。
〔発言内容、学習計画の記述〕  〔発言内容〕については、音読劇に興味をもち、登場人物や場面の様子について学習したいことを進んで発表しようとしているなど、「十分満足できる」状況(A)と判断できるものが見られた場合に記録する。また、児童全員の状況を把握するために、〔学習計画の記述〕とを併せて評価する。〔学習計画の記述〕については、みんなで立てた学習計画をワークシートに書いているかを基に評価する。
上記の〈指導と評価の計画〉の中では、第1時に評価した後、第8・9・10・11時で評価するようにしています。

第2時
 
   








  

 

出来事を整理し、場面分けをする。
[読ウ]  場面の変化に気付き、場面を分けている。
〔ワークシートの記述〕  時間や場面の移り変わりに着目して場面分けできているか、場面分けをした根拠の記述があるかを基に評価する。

〜中略〜
第12時
 
           
                      
 
もらったらうれしくなるような「ぽかぽかお手紙」を学級の友達に書く。
[言イ(エ)]、[言イ(カ)]  主語や述語、「○○さんへ」などの助詞を正しく使って手紙を書いている。
〔手紙の記述〕  主語と述語が対応しているか、「は」「へ」「を」を文の中で正しく使っているかを基に評価する。
上述の「必要に応じて『書くこと』の指導は行います」とは、例えば、文と文との続き方が適切でない場合などは指導をするが、「書く能力」での記録に残す評価はしないということです。

平成24年度に工夫改善を行う授業プランには、「十分満足できる」状況(A)、「おおむね満足できる」状況(B)と判断した児童の具体的な状況の例を示しています。また、「努力を要する」状況(C)と判断した児童への指導の手立てや働きかけを示したり、「努力を要する」状況(C)に至ることのないよう配慮した点を示したりしています。
これらの例は、評価規準や判定基準を設定していただく際の参考となるように作成しています。そのため、評価規準や判定基準を設定する際は、各学校において児童の実態と単元の指導のねらいとも鑑みて、適切に設定することが大切です。

 

   
                                   「学習評価の進め方(手引き)」
 

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