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2 研究の実際

(1)佐賀県の児童の国語科における実態
平成23年度 佐賀県小・中学校学習状況調査の問題分析と指導の手立て
平成23年4月に実施しました佐賀県小・中学校学習状況調査の中で、これからの小学校国語科において求められている力やこれまでの調査において本県児童に課題が見られた力を問うている調査問題を取り上げ、分析をしています。出題の趣旨や調査問題の具体的な内容、調査問題で問われている力やそれらの力を育むための指導について示していますので、これからの指導の参考にしてください。
小学5年生 大問4 三
学習指導要領に
おける領域・内容
C 読むこと(第3・4学年)
オ 目的に応じて内容を大きくまとめたり、必要なところは細かい点に注意したりしながら文章を読むこと
            
出題の趣旨
文章の内容を踏まえ、大事な部分を選び出して様式に合わせて書き換えることができるかどうかをみます。
問題の内容
この問題では、説明的な文章を読んで構成をとらえ、その要旨を紹介カードに書き表す場面が設定されています。書かれていることの内容を大まかにとらえたり、必要な点は細かい点に注意して読んだりしながら必要な情報を選び出し、紹介カードの様式に合わせて書き換える力が求められています。
この問題で求められている力
この問題では、フクロウのえものをつかまえる秘密を3点選び、その中の「暗くても見える目」についての情報を文中から読み取る力が必要とされます。また、「暗くても見える目」についての情報を読み取ることだけでなく、条件に合わせた記述をする力も求められています。
求められている力を育むための指導例
説明的な文章の構成に気付く
段落ごとの関係を文章に即して考え、内容をとらえることが求められます。その際には、接続語、文末、繰り返し語句等の表現の工夫に着目する習慣を身に付けさせることが重要です。また、段落の要点を抜き出す学習を行わせる際には、パンフレット作りやポスター作りなどの言語活動を設定し、児童に「ポスターの見出しを書くために要点を見付けながら読もう」等の目的意識をもたせることは効果的です。
様式に合わせて書き換える
言語活動の特性を踏まえ、様式や形式に合わせて書くことが求められます。言語活動を設定する時には、様式や形式に合わせて表現することの重要性についても気付かせるようにします。例えば、文末が統一されていないものを意図的に取り上げて児童に統一の必要性について気付かせたり、目的意識や相手意識をしっかりもたせた上で、場に応じた表現をさせることが求められます。
中1 大問3 二
学習指導要領に
おける領域・内容
C 読むこと(第5・6学年)
オ 登場人物の心情や場面についての描写など、優れた叙述を味わいながら読むこと
            
出題の趣旨
文学的な文章の人物相互の関係をとらえて読み、内容について自分の考えを根拠を入れて話し言葉で記述する問題です。
作品についての自分の考えを、目的や意図に応じてまとめることができるかどうかをみます。
問題の内容
この問題では、校内放送で読み聞かせとして紹介されたという設定で文学的な文章を読み、その物語の内容についての会話のやりとりに参加する場面が設定されています。
この問題で求められている力
書かれていることの内容をとらえ、それぞれの人物像とその関係を把握した上で自分の考えを述べる力が求められています。
求められている力を育むための指導例
人物の相互の関係をとらえて読む
それぞれの人物の行動や会話、情景などについての叙述に着目し、人物相互の関係をとらえることができるようにすることが重要です。そのためには、家族や同級生のように物語を設定する上での人物の関係や、仲間や好敵手のように物語が進むにつれて明らかになる人物の心情の変化を整理し、物語の展開に即して人物像や人物相互の関係、役割を押さえながら読むことができるように指導することが求められます。
例えば、
・ 人物の気持ちの表れている会話文や行動の描写に線を引かせたり、 登場人物の気持ちを想像して吹き出しに書
  かせたり、心情曲線を書かせたりして人物の心情に迫ること
・ 人物相互の関係を図や絵で示すことを通して、その変化を読みとること
などが考えられます。
朗読の工夫について相互評価をすることで、人物の相互関係についての理解を深める
朗読の工夫として、読み取った登場人物の性格や心情、相互関係を理由として、声の大きさ、声の質や速さ、間の取り方など に反映できるようにします。相互に声を出し合い読み合うことを通して、読み取った人物像や人物の相互関係などに関しての理解がさらに深まると考えます。
条件に合わせた記述の仕方を身に付ける
友達に話すように書く、みんなに発表するように書く、制限字数内で書く、理由も付けて書くなどの条件を出して文章を書かせる場面を設け、その条件に合わせた記述の仕方を指導することが重要です。
具体的には、
・ 話す相手や場に応じて、文末をはなしことばや敬体に変えて表現すること
・ 礼状や招待状など書く文章の様式に合わせて、文末の表現を工夫して書くこと
・ 字数が制限されない場合でも、用紙の8割以上は必ず書くようにすること
・ 理由を付けて書くときは、「なぜなら」「〜だから」「〜なので」などの言葉を入れること
・ 「そして」「しかし」などの接続語、「一つ目に」などの順序を表す言葉を使って分かりやすく書くこと
このようなことに気を付けさせながら文章を書くという機会を、授業の中に取り入れてみましょう。

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