学校におけるソーシャルスキル・トレーニングに関する活動プログラムを提案します!

3 研究のまとめ

サイトマップ

(1) 成果

  ○ ソーシャルスキル・トレーニングに関する活動プログラムの開発
 
小・中・高等学校ごとに「12の基本スキル」、計36本の活動プログラムを、それぞれの発達の段階に合わせた内容で提案することができました。
活動プログラムでは、授業に取り上げる基本スキルの選択方法を始めとして、詳細な授業の展開案、展開案に合わせたモデリングシナリオやワークシート、振り返りシート、また、定着化の取り組みのための工夫を紹介しています。
初めてソーシャルスキル・トレーニングの授業に取り組む先生にも、授業のイメージがつかめるように、詳しい活動プログラムのモデルを作成しました。
「12の基本スキル」の相互の関連性を構造的に理解できるように関連図を作成しました。
 
  ○ ソーシャルスキル・トレーニングに関する活動プログラムの有効性の確認
 
ソーシャルスキル・トレーニングによって育まれる、よりよい人間関係を築く力は、コミュニケーション能力と自己肯定感の向上によって高まると考えました。活動プログラムを実施した、佐賀県内の小学校4校(4年生80名、6年生33名、計113名)、中学校3校(2年生102名)、高等学校2校(1年生36名、2年生37名、計73名)の児童生徒を対象に、「がばいシート」を用いて活動プログラムの有効性を探りました。 
「がばいシート」では、「学級の雰囲気」「友達との関係」「自己存在感」「授業への意欲」「教師との関係」の5つの観点で、集団や個人の状態を客観的な視点で分析できます。そのうち、「学級の雰囲気」「友達との関係」「自己存在感」の3つの観点に注目し、活動プログラムを実施する前(6月)と実施した後(11月)の学級集団の状態の変容を見ました。それぞれの発達の段階において、3つの観点の数値が上がり、活動プログラムの有効性を確認することができました。
 

(2) 課題と展望

  ○  学校におけるソーシャルスキル・トレーニングの普及
   ソーシャルスキル・トレーニングに関する活動プログラムに取り組むことで、児童生徒のよりよい人間関係を築くことができることが分かりました。取り組む前は特別なことのように感じて、構えてしまうかもしれませんが、実際に活動プログラムを実践した先生方からは、「回数を重ねるうちに学級の雰囲気がよくなった。」「少しずつ生活の中で生かされるようになった。」などの声が聞かれました。教師が児童生徒のソーシャルスキルに関心をもち、日常の教育実践の中で育むことが重要です。したがって、学校教育の全ての活動の中で、計画的にソーシャルスキル・トレーニングに取り組むことができるようになるとよいと考えます。
 
   ○ 活動プログラムを実施するための時間を確保するための工夫
   限られた授業時数の中で、全ての活動プログラムを実施するための時間を確保することは、とても難しいと考えられます。そのような中で授業を行うためには、教科や領域のねらいと関連付けながら、いくつかの基本スキルをまとめて学習したり、展開案の一部分を教科や領域の授業に取り入れるなど、実施するための工夫が必要となると考えます。

Copyright(C) 2012 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.