生きて働く言語能力を育てる「国語科学習指導の具体策」を提案します!

 授業展開案  〜授業づくりの基本構想に基づく実践の提案〜 (「読むこと」「書くこと」の関連指導)
単元名 
「主人公を替えてリライトし、書いた作品を読み合おう」〜想像豊かに読み、表現を工夫して書く〜
教材名(出典)
「盆土産」(光村図書「国語2」)
生徒の実態と指導のねらい

佐賀県の中学2年生の実態として、平成22年度4月の佐賀県中学校学習状況調査において「読むこと」領域の「目的に応じて必要な情報を読み取り、自分のものの見方や考え方に生かすこと」に課題があることがわかっています。
   そこで、本単元には、この課題の解決を目指して、小説の主人公を替えてリライトする言語活動を取り入れ、目的に応じて必要な情報を読み取る力や、読み取った情報を自分のものの見方や考え方に生かす力を身に付けさせたいと考えます。

指導に際しては、生徒の主体的な学習活動を促すとともに、言語活動を通して表現の仕方について自分の考えをもつことができるように配慮します。また、リライトを楽しませることで、読書へ誘い、身に付けた知識・技能を活用して想像をふくらませて豊かに読む態度を身に付けさせるようにします。

学習内容の系統性
言語活動について
本単元では、「読むこと」の力を身に付けさせるために、新学習指導要領「C読むこと」の(2)に位置付けられている言語活動例の「ア 詩歌や物語などを読み、内容や表現の仕方について感想を交流すること。」から発想して、「小説を読み、主人公を替えてリライトし、書いた作品を読み合うこと。」という言語活動を取り入れました。筆者の表現の工夫を読み取り、想像をふくらませて小説を読む楽しさを感じ取らせます。
単元の目標
(1)
主人公を替えてリライトするために必要な情報を読み取り、表現の仕方について自分の考えをもって、表現を工夫しようとする。
(2)
描写の効果や登場人物の言動の意味を考え、文章の表現の仕方について根拠を明確にして自分の 考えをまとめることができる。
(3)
描写や表記などの表現を工夫して、主人公を替えてリライトすることができる。
(4) 話し言葉と書き言葉の違い、共通語と方言の果たす役割を理解することができる。
単元の評価規準     (  )内は該当する指導事項等の記号
国語への
関心・意欲・態度
書く能力
読む能力
言語についての
知識・理解・技能
主人公を替えてリライトするためにリライトの仕方を知り、学習の見通しをもとうとしている。
2 文章の表現の仕方について自分の考えをもって、表現の工夫しようとしている。
3 学習を振り返り、身に付いた力やその力が活用できる場面について考えようとしている。
心情が相手に効果的に伝わるように、描写や表記などの表現の工夫をして、リライトしている。
(B(1)ウ)
描写の効果や登場人物の言動の意味を考え、内容の理解に役立てている。
(C(1)イ)
文章の表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめている。
(C(1)ウ)
話し言葉と書き言葉の違い、共通語と方言の果たす役割について理解している。
(伝国イ(ア))
単元の計画(全6時間)
主な学習活動
指導上の留意点
ワークシート
リライトについて概略を知り、興味をもつ。
本単元で行うリライトの条件を確かめ、簡単なリライトに取り組み、学習の見通しをもつ。
学習課題「主人公を替えてリライトし、読み合うことで、小説を想像豊かに読む力や表現を工夫して書く力を付ける。」を確かめる。
小説の映画化、漫画化なども、リライトであることに気付かせる。
様々なリライトがあることを理解させるとともに、学習の仕方について見通しをもたせる。
リライトをすることによって読書の楽しみが広がる可能性を示唆する。
指導計画1/6
学習の手引き@
ワークシート@
学習の手引きA
学習計画表

登場人物のことが分かる表現に気を付けて読み、どういう人物か考える。
登場人物の人物像について、グループで話し合い、考えを深める。
リライト作品の主人公にする人物を、理由を明らかにして決める。
祖母を例にして、作品の表現を根拠に、どういう人物か想像する手順や方法を説明する。
人物像の根拠となった表現について尋ねたり答えたりさせながら考えさせる。
心情表現の仕方を手掛かりに、主人公にする人物を決めさせる。
指導計画2/6
学習計画表

ワークシートA
ワークシートB
主人公にする人物ごとにグループを編成し、2〜3行程度の本文をリライトして交流し、リライトの仕方について確かめたり、登場人物の人物像や心情について考えを深めたりする。
方言と共通語の果たす役割と効果を考える。
リライトをする部分を決め、リライトに取り入れる表現の工夫を考える。
主人公を替えてリライトする方法を確かめさせる。
「盆土産」の会話文に方言が使われているのに対し、地の文は共通語で書かれていることに気付かせ、方言が生活の言葉であることを理解させたり、語り手が共通語で語る効果について考えさせたりする。
指導計画3/6
学習計画表
ワークシートA
ワークシートC
ワークシートD
10 条件に応じてリライトする。
  〔条件〕
T 主人公にした人物の心情を書く
U 主人公にした人物の視点から出来事を書く
V 表現の仕方をまねる
これまで作業したワークシートや学習の手引きを利用させる。
主人公にする人物やリライトする場面を決めることができない生徒については、父親を主人公にして、見送りに来た少年とのやり取りの場面をリライトするよう勧める。
指導計画4/6
学習計画表
ワークシートD
ワークシートD記入例1
ワークシートD記入例2
ワークシートD記入例3
11 書き上げたリライト作品について、なぜそのような想像をしたのか、なぜそのような表現の仕方をしたのか解説する文章を書く。
12 グループで交流し、代表発表者を決める。
なぜそのような内容や表現にしたのか根拠を明らかにするように念を押す。
よいところとアドバイスを付せんに書いて渡しながら意見を交流するように指示する。
指導計画5/6
学習計画表
ワークシートD

ワークシートD記入例1 ワークシートD記入例2
ワークシートD記入例3
付せん
振り返りシート
13 学級で作品を発表し合い、よいところやアドバイスを交流する。
14 単元の学習を振り返り、身に付けた力やその力が活用できる場面について考える。
評価表に、作品のよいところやアドバイスをメモするように指示する。
発表された作品について、よいところやアドバイスを発表させる。
単元の学習で使った学習資料を見直させ、身に付けた力を具体的に考えさせる。
指導計画6/6
学習計画表
評価表
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※学習計画表は、単元を通して同じものを使用しています。また、同一番号のワークシートはすべて同じ内容です。