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社会的な見方や考え方を深める社会科学習に取り組んでみよう!


社会科 実践事例その6 小学校第5学年


 1 単元名  「わたしたちの生活と情報」【B:問題発見型】
 
  
 
 2 教材観

番組を制作して情報を伝えている放送局の仕事内容や、そこで働く人々の工夫や努力について理解させることができる。

情報を送る側と受け取る側(視聴者)を意識して、その在り方を考えさせることができる。

3 児童観

総合的な学習の時間や社会科、理科などの教科の学習の中でパソコンを使用する機会が多く、インターネットで情報を収集することに慣れている。

情報に対しては、「便利」「役に立つ」というプラスの見方をしている児童がほとんどであり、マイナス面をとらえている児童はいない。

4 指導観

テレビ局で働く人々は、番組の取材から編集、放送に至るまで互いに連携を取り合っていること、正確な情報をはやく分かりやすく伝える工夫や努力をしていることに気付かせる。

番組制作に際しては、視聴者側のニーズに応えることが視聴率を上げることにつながることや、制作者側の意図を尊重しなければ特色ある番組をつくることはできないことに気付かせる。

番組制作者側の「報道の自由」を優先すべきか、当事者やその家族の「プライバシーの保護」を優先すべきか、表現の自由と個人の人権尊重という相反する価値について考えさせることで、望ましい社会の在り方について考えさせる。

 5 単元の総括目標

 

 報道の意義や働き、番組などの制作に携わる人々の工夫や努力について理解させるとともに、報道の在り方や情報の受け手としての在り方について、根拠を明らかにして自分なりの考えをもたせる。

 6 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解

報道の在り方について関心をもち、テレビ番組や新聞記事、資料集などを基に進んで調べようとする。

表現の自由と個人の人権尊重という2つの価値を考慮しながら、報道の在り方について意思決定することができる。

報道について調べたことを基に、これからの報道の在り方や情報の受け手としての在り方について、根拠を明らかにして自分の考えを書くことができる。

報道の意義や働き、その仕事に携わる人々の工夫や努力について理解するとともに、報道にかかわる問題について理解することができる。

 7 単元の指導計画 (全11時間)
主な学習活動 ワークシート・資料
新聞に掲載されているテレビ放送の番組表を見て、どのような番組があるか話し合う。  



放送局では、集めた情報をどのようにしてまとめ、放送しているのか調べる。 ワークシート@
放送局が、よりよい番組をつくるため、視聴率を上げるために行っている工夫について調べる。 ワークシートA
視聴者の一人として、番組に対する意見や感想、提言を書く。  


報道の功罪について考える。
 ・資料を基に、優先させる価値(立場)と発生するメリット・デメリットを表にまとめる。【本時】
 ・両方の立場になってそれぞれの主張を作成する。
ワークシートB
10 「小学生誘拐事件発生!この事件を報道すべきか、やめるべきか」というテーマで討論を行う。  
11 討論を振り返り、各立場の主張内容を踏まえ、報道に対する自分の考えをまとめる。  

8 実践を終えて

  【成果】

放送局の番組制作過程について学習した後、「小学生誘拐事件を報道すべきか、やめるべきか」というテーマを設定して話し合い活動を行った。その結果、わたしたちを取り巻く「情報」には、思いや願いを込めて事実プラスαの情報を伝えるマスコミ側と、視聴者として情報を受け取る側があることに気付くことができた。

2つの相対する価値のどちらか一方を優先させると、それがどう影響するのか、資料を基にして考えさせることにより、目指す社会像を描かせることができた。

児童にとって身近であるテレビという題材を取り上げ、「情報」を社会の在り方に即して考えさせる場を設定することにより、小学生の発達段階に応じた「社会についての見方・考え方」を育成することができた。

   【課題】

資料を基に、求める価値につながる行動と、発生するメリット・デメリットを表にまとめさせる段階において、ワークシートの記入の仕方が分からず戸惑っている児童がいた。価値、価値につながる行動、事実という3つの要素をまとめて表にするという作業が、児童にとっては多少難しかったようである。使いやすいワークシートの改良が今後の課題である。


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最終更新日: 2010-03-23