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社会的な見方や考え方を深める社会科学習に取り組んでみよう!


社会科 実践事例その2  小学校 第3学年


 1 単元名  「まちの人たちのしごと 〜どこで買うの そのわけなんだろう〜」【A:発展型】
 
  
 
 2 教材観

消費者側のことを考慮した販売者側の工夫や思い、それぞれの店の特徴などについて考えさせることができる。

消費生活を通して自分たちが、広く国内の他地域や外国などともかかわりがあることに気付かせることができる。

自分たちも消費者として、品質や価格、それぞれの店のよさなどを考えて、賢い消費者として商品や店選びが大切であることに気付かせることができる。

3 児童観

児童は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに買い物に行った経験がある。

見学に出掛けて、見たことを記録したり、質問したりすることが好きである。

調べたことを基に、グループ内で話し合ったり、考えて一つの意見を提案したりすることができつつある。

児童は買い物が好きだが、その店の特徴やそのよさについて十分理解していない。

店では、自分が欲しい物を購入する程度で、販売の工夫や努力、品質や価格を考慮して買う消費者の工夫や思いなどにはほとんど気付いていない。

4 指導観

1週間の買い物調べや家の人への聞き取り調査をすることで消費活動に関心をもたせる。

調査結果より、地域のスーパーマーケットをよく利用することに気付かせる。

スーパーマーケットで働く人の仕事や販売者の工夫、思いなどについて、見学に出掛けたり、そこで働く人や買い物客にインタビューをしたりして調べさせる。

調べたことは、取材メモを基に、「安さ」「品数」「便利さ」「新鮮さ」「その他の工夫など」の視点を意識させながら一人一人新聞にまとめさせ、それを基に発表会に取り組ませる。

発表会において出てきた社会的な問題をはじめ、他の地域とのつながり、環境保全への取り組み(リサイクル)、体が不自由な人やお年寄り、赤ちゃんを連れた親への配慮などについて考えさせる。

食料品売場に限定して、「地元の食べ物だけを売っているスーパーマーケット」と「いろいろなところの食べ物を安く売っているスーパーマーケット」について、自分が選ぶならば、どちらのスーパーマーケットがよいかということを、消費者の立場として選ばせ、選んだ理由を考えさせる。

消費者としてのこれからの自分の在り方を見つめさせる。

 5 単元の総括目標

 

  自分たちの町のスーパーマーケットなどについて調べさせることを通して、地域の販売の仕事の工夫や特色を理解させ、それらが自分たちのくらしを支えていること、消費する側にも工夫があることに気付けるようにする。また、自分たちの町は販売活動の面においても広く国内外の他地域とかかわりがあることに気付けるようにする。

 6 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解

身近なスーパーマーケットを見学し、そこで働く人たちの仕事の内容や工夫について進んで調べ、地域の販売活動に関心をもとうとする。

地域の販売の仕事に携わっている人たちの工夫や消費者の工夫について考えることができる。

スーパーマーケット内の様子やそこで働く人たちの仕事を観察したり、販売者や消費者への聞き取り調査などを交えたりして調べ、調べたことを友達に分かりやすく発表したり、新聞に写真などを使って表現したりすることができる。

地域には、販売に関する仕事があり、それらは、自分たちと深くかかわっており、自分たちの生活を支えていることを理解することができる。

 7 単元の指導計画 (全16時間)
主な学習活動 ワークシート・資料
スーパーマーケットでの買い物が多いことに気付き、学習問題をつくる。 ワークシート@

スーパーマーケットで買い物をするわけを考える。
ワークシートA
スーパーマーケットについて調べる計画を立てる。 ワークシートB


スーパーマーケットに調べに行く。
ワークシートC
資料@

調べたことを新聞にまとめる。  
10
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スーパーマーケットについて調べたことの発表会をする。 ワークシートD
12
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もっと調べてみたいことを出し合う。
 ・ 商品はどこから来ているのだろう?
 ・ リサイクルはどうしているのだろう? 
 ・ 盲導犬のポスターはどんな意味があるのだろう?…など
 
14 スーパーマーケット以外の店について考える。  
15
16

地域の食べ物を優先して販売することについて考えよう。【本時】


資料A

ワークシートE
ワークシートF
ワークシートG

8 実践を終えて       

  【成果】

食べ物がどうして地元(佐賀県)産ばかりでなく、いろいろな地域(県外・国外)から運ばれてきているのかという子どもの疑問より本時を設定したため、児童の学習意欲を持続させることができた。

2つの立場のメリット及びデメリットについて、一人一人に考えさせる時間を十分確保したため(15/16、16/16:本時)、児童は自分の考えをもって話し合いに参加することができた。また、それぞれの立場のメリットやデメリットを考えさせることにより、消費者としての意識も高めることができた。

ワークシートに表現された児童の意識レベルを見ることにより、その時点での児童の意識の度合い(自分の考えがどちらの立場にどの程度傾いているか)を一目で把握することができた。

これまで単元全体を通して学んだこと(販売者側や消費者側の工夫や思い)を本時の学習に生かすことができた。

学習について振り返る際、前時の授業(15/16)と本時の授業(16/16)で書いたワークシートを比較させながら振り返らせることにより、自分の考えが深まったこと、学んだことを活用できたことを実感させることができた。

   【課題】

地元の物ばかりを売っている店のイメージをもたせることが少し大変であった。今回は、多少違うが、「道の駅」の店内の様子が分かる写真を見せながら説明を加えることで、地元の物を中心に売っている店のイメージをつかませることができたと思う。

このように相反する2つの立場からどちらか1つの立場を選ぶ授業を行う際、行政の施策が絡んだ授業がやりやすいのだが、3年生の社会科の単元の中からそのような単元を見つけることができなかった。


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最終更新日: 2010-03-23