小学校第5学年の実践 違う視点から物語文を読む
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単元名 作者の思いを探ろう |
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教材名 |
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注文の多い料理店 |
出 典 |
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東京書籍5年下 |
作 者 |
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宮沢賢治 |
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いつも読む主人公の視点からではなく,違う視点で読んでいくと,別の楽しさが見えてきます。山猫の立場から文章を読み,作者の思いへと読み深める授業を考えました。 |
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単元観 |
(1)児童の実態 |
(2)教材の特性 |
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読み聞かせを好み,毎週火曜日の保護者による音読タイムを楽しみにしている。
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心情の読み取りや,短文作りを通して言葉にこだわりをもてるようになってきた。
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中心場面に至るまでの心情とそれ以後の心情を比べることができるようになってきたが,文章の部分での心情を取り出すにすぎず,文章を広く見通し心情の移り変わりをとらえるまでには至っていない。
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登場人物になって書く活動によって,書くことが好きになってきている。
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本文の言葉を根拠としながら読み,思ったことを表現できるようになってきた。しかし,友達が表現したことを参考にしながら,自分の読みを深めることはできていない。
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山深いところにある「注文の多い料理店」を舞台として,2人の若い紳士と山猫の様子がユーモラスに描かれている作品である。
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2人の紳士はごちそうを期待し,山猫は2人の紳士をごちそうとして食べられるように注文を繰り返す。人物による「注文」の意味のとらえ方の違いがおもしろい。
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戸に書かれた注文と紳士の言動を中心とする単純明快な展開で,戸の奥へ奥へと進んでいく期待感を味わわせながら,読み進めることができる。
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最後に,紳士は身勝手な言動から消えることのない印を顔に付けられてしまう。作者の痛烈な思いが隠されてる。
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(3) 取り入れる「言語活動」とその指導 |
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視点を変えて読む |
一方向からは見えなかった物語のおもしろさに気付かせ,愉しませる。 |
注文の言葉から,見えないもの(山猫)の心情を想像して書かせる。 |
注文を書いているときの思いは想像して考えさせ,紳士の言動を見たあとの思いは紳士の言動と注文を書いているときの思いとを合わせて考えさせる。 |
一つの言葉からイメージを膨らませるようにさせたい。 |
自分の想像した文章と紳士の言動を表す言葉とを比べながら,文章の構成についても考えさせたい。 |
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ブックリスト作り |
作者や作品に対する考え方の深まりにつなげる。 |
本教材と他の作品との共通点や相違点を見付けさせる。
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保護者の感想やアドバイスを入れる欄を設け,子どもだけでは考えることのできなかった作品の深さに気付かせたい。 |
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指導目標 |
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紳士の言動と山猫の思いを比べながら,作品のおもしろさを読み取ることができるようにする。 |
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宮沢賢治の思いに迫るブックリストを作り,宮沢賢治の世界を愉しむことができるようにする。 |
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評価規準 |
国語への関心・意欲・態度 |
ア |
宮沢賢治の作品を意欲的に読み,保護者向けのブックリストを作ろうとしている。
【「C読むこと」 A内容(1)ア】 |
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話す・聞く能力 |
イ |
自分の読み取ったことを根拠を明確にして話したり,自分の考えと比べながら相手の話を聞いたりしている。
【「A話すこと・聞くこと」 A内容(1)ア イ】
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書く能力 |
ウ |
教材文を手掛かりに想像を膨らませたり,言葉に根拠を見付けたりしながら,自分の考えを文章に書いている。
【「B書くこと」 A内容(1)ア】 |
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読む能力 |
エ |
宮沢賢治の作品を読み比べて,作者の思いを考えている。 |
オ |
紳士と山猫の思いを読み取り,教材のおもしろさを感じている。
【「C読むこと」 A内容(1)ウ】 |
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単元計画(全10時間) |
時 |
主な言語活動 |
主 な 学 習 活 動 |
1 |
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(授業の前に)宮沢賢治のほかの作品の読み聞かせを聞く。 |
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『注文の多い料理店』を読み,初発の感想を書く。 |
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『注文の多い料理店』という題名について考える。 |
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13の注文の分類をする。 |
注文の分類 |
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2 |
3 |
4 |
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視点を変えて読む |
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注文@〜C(店のアピールや案内)について,書くときと紳士の言動を見たときとの山猫の思いを考える。
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山猫の思いの変化を読み取る。 |
注文@Aを書く山猫の思い。 |
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5 |
6 |
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注文D〜G(材料の準備)について,書くときと紳士の言動を見たときとの山猫の思いを考える。 |
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7 |
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注文H〜K(味付け)について,書くときと紳士の言動を見たときとの山猫の思いを考える。
【注文Kワークシート】 |
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授業の様子 |
ワークシート記入 |
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注文H〜Kについての山猫の思い |
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これまでの注文の特徴から作者の作品に込めた思いを考える。 |
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8 |
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作品を通して作者が伝えたかったことを考える。 |
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9 |
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ブックリスト |
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宮沢賢治の作品を『注文の多い料理店』と比べながら読む。 |
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作者の伝えたかったことを中心にブックリストを作る。 |
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オツベルと像 |
月夜の電信柱 |
どんぐりと山猫 |
双子の星 |
虔十公園林 |
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10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
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単元周辺の指導 |
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教材の内容に関して |
○ |
読み聞かせ
作者である宮沢賢治とその作品へ関心をもたせたい。
「どんぐりと山ねこ」
「よだかの星」
「雨ニモマケズ」 |
○ |
宮沢賢治作さんの
コーナー
教室に他の作品を準備し,ブックリストに載せたい作品を読んで選べるようにする。
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単元名
「強く心に残ったことを考えながら読もう」
〜教材「ちかい」〜
単元の目標
◎ |
出来事や人物の心情に注意しながら物語の流れをとらえ心に残ったことをまとめることができるようにする。 |
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言語活動に関して |
○ |
短作文
物語の一場面を違う人物の立場から書き換えて楽しませる。
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○ |
ブックリストの発表会(授業参観)
単元でつくったブックリストを発表し,感想をもらうことで成就感をもたせたい。
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単元名
「作者の思いを探ろう」
〜教材「注文の多い料理店」他〜
単元の目標
◎ |
紳士の言動と山猫の思いを比べながら,作品のおもしろさを読み取ることができるようにする。 |
◎ |
ブックリストを作り,作品を通して作者の考えや思いに迫るできるようにする。 |
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第6学年 単元名
「表現を味わいながら声に出して読もう」
〜「風切るつばさ」他〜
単元の目標
◎ |
心情や情景を想像し,表現を味わいながら,朗読の工夫をすることができるようにする。 |
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授業を終えて |
山猫の注文前と紳士の反応を見た後の思いを想像させることで,作者の思いを読み取っていく授業を目指しました。ことばを手掛かりに想像しながら書くことで,それぞれの注文を探っていきました。ただ読むだけでは分からない表と裏の注文の違いに気付いたり,「本当に食べるつもりだったのか」「驚かすことを楽しんでいたんじゃないかな」と疑問をもったり,深い読みができたように思います。書くことによって読みが深まること,前後の比較をすることによって鋭く読めるようになることを感じました。今回の授業では、「注文」を切り口として作者の思いに迫らせることを意図しており,色彩語や擬態語,賢治独特のことばに着目させることまでは考えてませんでした。しかし,子どもたちは様々なところからことばを選んで文章を書いていました。単元全体を通して書くことを中心に進めてきたことがことばへのこだわりにつながったように思います。 |
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