実験教材

W 電波の性質を調べよう


実験の様子(遮蔽) 実験の様子(反射・干渉)

電波(電磁波)の送信機に携帯電話,受信器にAMラジオを使った電波(電磁波)の性質を調べる実験です。
携帯電話は,生徒の多くが関心をもち,簡単に手間を掛けずに性質を調べることができます。

目 的 携帯電話(送信機)とAMラジオ(受信器)を用いて電波の性質を調べる。
必要なもの 携帯電話(800MHzのものがよい),AMラジオ,厚紙(色紙)
アルミの板(2枚)
金網(すだれ状のもの),定規又はメジャー
 
★実験の前に,携帯電話は,送信又は受信の呼び出し中にし,AMラジオは電源を入れて低周波数に合わせ,携帯電話によるノイズが受信できる状態にしておく。
 なお,携帯電話の送受信はあらかじめ相手(着信)側と相談しておく。
 次の各実験を行い,ラジオから出るノイズの大きさの違いを聞いて,電波の伝わり方,性質を調べてみる
                                                      生徒用ワークシートはこちら

実験前予想 実験結果を予想し,この現象名・日常生活の中で起こる現象の例を考えて,ワークシートに記入をする。



実 験
 携帯電話とラジオの間に板を立てる。(板の面が,携帯電話を向くように)厚紙,アルミの板を立ててみる。その他プラスチックの下敷き等でもやってみる。
※ アルミ板では電波は通らない→遮蔽     厚紙では通る。
 実験1の板の所に金網(すだれ状)を置いたらどうなるか。また,面の向きはそのままでゆっくり回転させたらどうなるか。
※ 電場(電界)の向きと金網の格子の向きが平行のとき,この格子に電場(電界)が吸収され,電波(電磁波)はラジオに到達しない。格子が直交の場合,吸収されずラジオに到達する。 → 偏り(横波であることの証拠) 
 右写真のようにアルミ板@を立て,もう一枚のアルミの板Aを図のように@の端に立てる。次に,Aを@から遠ざけてみる。また,向きも変えてみたらどうなるか。 

※携帯電話とラジオの位置は,なるべくアルミ板@の端の方に置いた方がよい。
※ アルミ板@では遮蔽される(実験1より)が,Aで反射された電波(電磁波)によりラジオは反応する。 → 反射
 
携帯電話から見てラジオの後ろにアルミ板を立てる(板の面が,携帯電話を向くように)。次に,板をラジオから遠ざけていき,受信状態を調べる。

※ 携帯電話から直接受ける電波(電磁波)とアルミ板で反射された電波(電磁波)が干渉し,定常波の状態で,腹の時,強く反応する。また,節の時,反応が最も弱い。
(発展問題) 実験4で,ノイズが強い位置の間隔,または,ノイズが弱い位置の間隔を測る。これより携帯電話の波長を求め,周波数を800MHz(機種よっては1.5GHz)として,電波の速さを計算してみる。
ただし,1 MHz=106 Hz   1 GHz =109 Hz
(例)半波長18cmの時 → 波長=18cm×2=36cm=0.36m
 速さ=周波数×波長より  速さ=(800×10)×0.36
                     =2.88×108m/s    ←電波(電磁波)の速さ3.0×108m/s
★解説シート
              



◇参考文献  米村傳治郎監修 大沢幸子著 『米村傳治郎のおもしろ科学館』  2002年 オーム社 pp.5 - 9