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平成14年度からの実施の新学習指導要領では,中学校では,「小学校教育の基礎の上に,社会生活に必要な基礎的・基本的な内容を確実に習得させるとともに,選択学習の幅を拡大し,個性を伸長」と記されている。選択教科としての「技術・家庭」においては生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう,「A生活の自立と衣食住」「B家族と家庭生活」の内容,その他の内容で,「課題学習」,「基礎的・基本的な知識と技術の定着を図るための補充的な学習」,「地域の実態に即したり各分野の内容を統合したりする発展的な学習」などの学習活動を各学校において工夫してとり扱わなければならない。今,食生活をめぐる新しい動きとして,日本をはじめ世界中で「スローフード」の運動が広まっている。「スローフード」とは,もともとは,北イタリアの小さな町で始まった運動で地域の食文化を大切にし,食事だけでなく会話も楽しめる生活を大切にしようというものです。佐賀はまさしく「スローフード」の宝庫であり,県全体で「地産地消」に取り組み始めている。
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学校の実情により,選択の授業の内容は様々である。学習指導要領の改訂により,3年生の授業時間が35時間となり,必修の時間の中では,基礎・基本の定着が大半を占め,発展的な学習まで深める余裕がないのが現状である。大和中の生徒は,地域の豊かな農産物や地域に伝わる伝統料理に触れる機会が乏しくなっている。そのため,地域の食についての知識も経験も少ない。大和町も大型商業施設ができたことなどにより,豊かさや便利さの陰になり,先人が築いた食文化が中学生に伝わる機会が少なくなってきている。食に関する伝統文化は,長い年月をかけて味や保存などの面からいろいろな工夫が積み重ねられ,栄養面でも優れた点がある。
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そこで,指導にあたっては,必修内容(2)「食品の選択と日常食の調理の基礎」との関連を図り,食生活に関する学習の発展的な学習として,自分の故郷・大和町の地域の食材を知り,地域に伝わる伝統的な食文化に触れ,その中に込められている昔の人の知恵や技能,環境への配慮,食べ物に込められた心などをつかんでいく学習としたい。限られた時間での学習のため,ここでは,「こんにゃく」と言う地域の農産物を通し学習をすすめていく。日頃食べているこんにゃくの原材料の実物に触れさせる。また,そのこんにゃく芋からこんにゃくに加工する体験学習を仕組み,その加工過程の中で,市販の食品添加物を用いた方法と,灰汁という自然の中から考え出されれた天然の凝固剤を用いた方法を体験することにより,生徒たちは,食品添加物,安全な食物,地域の農産物,また,手作りのおいしさ・温もりなどそれぞれに学びとるものがあると思う。指導に当たっては実験・実習を中心とした指導を行い,この学習で得た知識・技能を用い,これからの生活が充実したものになるようにさせたい。また,中学生の時期にこのような,学習を仕組むことによって,地域の食に関する学習から,人や地域との触れ合い,生涯にわたり学習を深めていくきっかけになるようになるのではないかと考えた。
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