○ 学習指導案    小学校第3学年 「算数科」


1  単元名 「あまりのあるわり算」 (平成18年10月実施,29名)
        

授業実践者: 渡邊 英博     
        
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2 単元とその指導について

本単元では,乗法九九を1回適用してできるわり算の発展として,わり切れない場合,つまりあまりのあるわり算の計算の仕方を知るとともに,わり算のあまりの意味や,除数とあまりの大小関係を理解することが主なねらいである。
  これまで,2位数÷1位数の除法の計算で,あまりのない場合において,除法の意味や除数の段の九九を使って答えを見付けること(九九の答えの中にあるものばかりをわられる数としたわり算)を学習している。また,除法には等分除と包含除の2つの意味があることについても,課題解決を通しながら学習してきている。
  ここでは,これまでの学習の発展として乗法九九を1回適用してできる2位数÷1位数の除法で,あまりのある場合の計算の意味と計算の方法について学習する。例えば29÷4の計算において,商を求めるために分ける操作で最大の回数を求めることにつながっていることや,そのときあまりの大きさは除数よりも小さくならなければならないことについて理解できるようにする。そして,あまりのある除法計算を用いる場合でも,あまりのない除法計算と同様に進んで問題解決に活用できるようにする。また,第4学年で学習する除法の計算のためにも,乗法九九を1回用いて商を求めることができる計算技能を,この学年においてしっかりと身に付けられるようにしたい。


(a) 考える必然性を生む算数的活動について
  本単元では,体験的な算数的活動や具体物を用いた算数的活動を多く取り入れて指導していきたい。単元の導入において「猛獣狩りゲーム」をすることで,同じ数のグループに別れて,あまりが出る場面を多く経験させたい。そのイメージが単元を通して子どもの理解を助けるものと考える。また,活動の中から,自然な形で発問を投げかけ,考える必然性をもたせたい。児童は,等分除,包含除の場面において学習しているが,等分除か包含除の場面の違いを理解することは,難しいと考える。そこで,「枠の数を求めるわり算か」「枠の中の個数を求めるわり算か」を意識させ,具体的な操作活動や体験的活動をさせて,しっかりとわり算の場面を理解させたい。
(b) 等分除の取り扱いについて
  等分除で余りを求めるということは,等分という意味そのものから考えればおかしいが,あめなどのような分離量の場合には,平等に分け切れず残ってしまったという意味に取れる。しかし,例えば,「8mのテープを3人で分けると,1人何mずつになるか」といった連続量での等分除の場面では,3つに分けられてしまい,余りなど出ないのが普通(分数など知らなくても実際には分けられる)であって,余りを求めるというのは不自然である。したがって,本単元においては,等分除ではなく,包含除で導入したい。また,補充問題等で,等分除を扱う際は,素朴な分離量にするようにしたい。
(c) 学び合いの活動について
  小学校算数で特に大切にしたいことは,考える楽しさを感じさせることである。子どもたちの豊かな発想,表現と向き合っている時間は楽しい。また,教師対子どもの対話だけでなく,子ども同士の対話の中で,多様な考えを出させ認め合わせる中で,自信をもたせ,算数の楽しさを感じさせることができると考える。そこで,この単元においても学び合い活動「いってみタイム」を多く取り入れ,子どもたちの意見を認める場面を増やし,算数を好きと感じる子どもを育てていきたい。

 単元におけるコンピュータの活用について

 導入場面で問題のイメージをつかませるためにPowerPointを活用した。
   まとめの場面で一般化する際にPowerPointを活用した。


3 単元の目標

(1) あまりのあるわり算の問題に進んで取り組もうとする。(関心・意欲・態度)
(2) 既習の除法と関連付けて、余りのあるわり算の求め方や「あまりの意味」について考えることができる。(数学的な考え方) 
(3) あまりのあるわり算ができ、場面に応じて余りを的確に処理することができる。(表現・処理)
(4) 「あまり」の意味,あまりと除数の大小関係及びあまりのある除法計算のしかたが分かる。(知識・理解)

4 単元の計画 (全2時間)

  • 1・2 「猛獣狩りゲーム」をして,あまりのあるわり算の場面を体験し,「あまりの意味」を理解する。・・・・・・・1時間
  • 3 15個のおはじきを□人で同じ数ずつ分ける(等分除)の場面を理解する。・・・・・1時間
  • 4 「あまり」と「わる数」の大小関係を考える。・・・・・1時間
  • 5 あまりをどのように処理したらいいかを考える。(あまりを切り上げる)・・・・・1時間(本時)
  • 6 あまりをどのように処理したらいいかを考える。(あまりを切り捨てる)・・・・・1時間
  • 7 問題を解き習熟する。・・・・・1時間

5 本時の学習指導 (5/7) 場所:3年2組教室 時間:2校時

 (1) 目標

ア 場面に応じた適切なあまりの処理の仕方を考えることができる。(数学的な考え方)
イ 場面をとらえて、商に1を加えた数が答えになることを筋道を立てて説明できる。
                                          (数学的な考え方)
ウ 場面に応じた適切な余りの処理の仕方を理解することができる。(知識・理解)

 (2) 利用環境<本校の環境>

○主なハードウエア

コンピュータ,プロジェクタ,スクリーン

 (3) 展開

児童の主な活動 指導上の留意点
前時の学習を振り返る。 前時の学習内容を、プロジェクターを使って、振り返らせる。



本時の問題を体験的に知る。
「29人の子どものがいます。もうじゅうがりゲームをしてグループにわかれました。5人ずつ車にのってジャングルに出かけます。車はひつようでしょう。」
題意を感覚的につかませるために、実際に、わかれさせる。




解決の見通しをたて、自分なりの考えを持つ。 見通しがもてない児童には、ヒントを準備する。


考えを出し合い、解決方法を考える。 自分の考えを発表する。


みんなの考えの感想を言わせ,どのやり方がわかりやすいか考えさせる。


本時のまとめをする。 29÷5の答えは5あまり4になるが,必要な車の台数は,5+1で6になることを確認する。

※ 資料等
導入スライド資料【PowerPoint】 課題提示スライド資料【PowerPoint】 
まとめスライド資料【PowerPoint】 

6 児童・生徒の反応

  • ○ 前時の学習(あまりとわる数の大小関係)について,振り返ることができた。
  • ○ 課題の意味を視覚的に理解することができた。

7 授業を終えて

  • ○ プロジェクターを使って、視覚的に課題をとらえさせることができたので、問題の意味をきちんとつかませることができた。
  • ○ 時間をかけてじっくり考えさせるところ,コンピュータを使ってわかりやすく理解させるところのメリハリを着けてコンピュータを活用する必要があると思う。