平成23年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ 教師意識調査の結果の分析


教師意識調査の結果の分析
                                                       教師意識調査の全てのグラフ

3 家庭学習への関与状況

宿題については小学校と中学校とも主に復習的な内容が出されている割合が高いが、予習的な内容を出すことについても、学力向上に効果があると考えられる[図3][図4][図5-1][図5-2]。児童生徒へ与える宿題の内容や出し方についても、学力向上に向けより有効となるように検討していく必要がある。

  この節では、宿題を出している頻度及び出している宿題の内容(予習的宿題・復習的宿題)について問うことにより、宿題の出題状況を分析する。
   
「宿題を出していますか」について
 
「多くの時間で出している」「どちらかといえば出している方が多い」と回答した小学校教師の割合は79.9%である。これに対し、同じ回答をした中学校教師の割合は66.3%である。小学校教師の方が中学校教師よりも宿題を出している傾向が見られる。[図1]
  
この設問においてAグループとBグループの教科別平均正答率を比較すると、小学校では明らかな特徴は見られないものの、中学校では全ての教科においてAグループの平均正答率が高くなっており、顕著に表れている。特に英語においては、10.2ポイント上回ってる。[図2-1][図2-2]
   
「復習的な宿題を出していますか」について
 
「多くの時間で出している」「どちらかといえば出している方が多い」と回答をした小学校教師の割合は83.8%である。これに対し、同じ回答をした中学校教師の割合は小学校に比べるとやや低いが、73.7%である。図4のグラフとの比較より、小学校と中学校ともに復習的な宿題を出している教師の割合が高い傾向が見られる[図3]
   
「予習的な宿題を出していますか」について
 
「多くの時間で出している」「どちらかいえば出している方が多い」と回答した小学校教師の割合は11.1%である。これに対し、同じ回答をした中学校教師の割合は30.5%であり、小学校よりも高い結果となっている。[図4]
  
この設問においてAグループとBグループの教科別平均正答率を比較すると、小学校と中学校とも全ての教科においてAグループの平均正答率が高くなっている。特に、中学校では全ての教科において顕著に表れており、10ポイント程度上回っている。[図5-1][図5-2]
   
これからの指導に向けて
 

復習的な宿題と予習的な宿題
小学校,中学校共に、多くの教師が宿題を出しており、その多くは復習的な内容の宿題である。宿題の主な目的については、家庭学習の習慣化や授業における学習事項の定着とされている。そのため小学校教師は、その目的に対する意識は強い傾向がある。その一方で、中学校教師は、小学校教師に比べると予習的な内容の宿題についても出している傾向が見られる。予習的な宿題に取り組ませることは、事前に学習内容に対する自分なりの考えをもたせることになり、授業における児童生徒の主体的な学習活動を促し、自己学習力の育成へとつながっていくものと考える。さらに、意図的に予習的な宿題を出すことと授業における児童生徒の主体的な学習活動とを結び付けることが、児童生徒の興味・関心を高めることにもつながり、学習意欲を喚起するための手立ての一つとして有効であると考える。また、復習的な宿題においては、基礎的・基本的な知識・技能の定着を図ることを目的とする内容だけでなく、授業で身に付けた知識・技能を活用して課題を解決させるような視点での内容についても検討していくことが望まれる。


最終更新日:  2011-10-07