平成23年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査の結果の分析


児童生徒意識調査の結果の分析
                                              児童生徒意識調査の全てのグラフ

3 学習活動(教科全般)

授業で自分の考えを発表する機会が与えられていたり、話し合う活動をよく行っていたりする児童生徒ほど、全教科平均正答率が高くなる傾向が見られる。[図1][図2][図3][図4]

「自分の考えを表現することを難しいと思う」児童生徒の割合は、学年が上がるにつれて、大きくなっている。各授業において自分の考えや意見を表現する場の設定を積極的に行うことや、誰もが意見を言えるような雰囲気づくりをしていくことが大切であると考える。[図5] 

 

ここでは、授業中においての「発表の機会があるか」「話し合う活動を行っているか」「他の人に説明したり、文章に書いたりすることは難しいか」という設問を通して、児童生徒の授業中における言語活動に関する意識の状況と、教科平均正答率との関連について調査結果を述べる。

   
「普段の授業では、自分の考えを発表する機会があたえられていると思う」について
 

「当てはまる」と回答した児童生徒の割合が小学5年33.4%、小学6年37.3%、中学1年34.3%、中学2年31.7%、中学3年30.3%になっている。「どちらかというと当てはまる」と回答した児童生徒を合わせると、どの学年も7割を上回っている。特に、中学1年では、79.3%と最も高い割合を示している。[図1]

 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において、「当てはまる」と回答した児童生徒の平均正答率が最も高くなっており、授業中に発表する機会があたえられていると思っている児童生徒ほど平均正答率が高くなっている。[図2]

   
「普段の授業では、児童(生徒)の間で話し合う活動をよく行っていると思う」について
 


「当てはまる」と回答した児童生徒の割合が小学5年36.8%、小学6年37.4%、中学1年30.9%、中学2年26.1%、中学3年24.0%となっている。「どちらかというと当てはまる」と回答した児童生徒を合わせると、どの学年も7割を上回っており、特に、小学6年では、81.9%と最も高い割合を示している。中学校では学年が上がるにしたがって、その割合が低くなっている。[図3]

 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全体的に全ての学年において、授業でよく話し合う活動を行っていると思っている児童生徒ほど平均正答率が高くなる傾向が見られる。特に、全ての学年に共通して、授業でよく話し合う活動を行っていると思うことに対し、「当てはまらない」と回答している児童生徒の平均正答率は、他の回答をした児童生徒に比べると低くなっている。[図4]

   
「学校の授業などで、自分の考えをほかの人に説明したり、文章に書いたりするのは難しい」について
 


「難しいと思う」と回答した児童生徒の割合が小学5年30.7%、小学6年32.3%、中学1年36.8%、中学2年40.1%、中学3年43.5%となっている。学年が上がるにしたがって、その割合も増えていく傾向にあり、中学3年においては「どちらかといえば難しい」と回答した生徒を合わせると78.9%と最も高い割合を示している。[図5]

 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において「難しいと思う」と回答した児童生徒の平均正答率が最も低く、全体的に自分の考えを表現することを難しいと感じている生徒ほど、平均正答率が低くなる傾向が見られる。[図6]

   
これからの指導に向けて
 

授業において、児童生徒に発表する機会を設けたり、話し合う活動を取り入れたりすることで、自分の考えや意見を明確にさせることが期待できる。また、自分の考えや意見を話し合う活動によって交流させることは、児童生徒のものの見方や考え方を深めさせたり広げさせたりすることが期待できる。それだけでなく、児童生徒の言語能力や表現力を培う上で、大切なことでもある。授業の中で、教師が機会を捉え、意図的に生徒の意欲を引き出せるような課題を設定したり、獲得した知識・技能が生かせるような表現活動を仕組んだりしていくことが大切である。しかしながら、授業時間数も限られているため、全ての時間にそれらの活動を設定していくことは難しい。そのため、年間指導計画や単元計画を見直していくことも必要である。また、学年が上がるごとに自分の考えを表現することが難しいと思う児童生徒が増えている傾向が見られた。[図5]その要因としては、学習の内容が難しくなること、小学校から中学校へと学習環境も大きく変わること、思春期の特徴ともいえる周囲を気にして、自分の意見を自信をもって伝えることができなくなることなどが考えられる。そこで、誰もが意見を伝えることができ、間違っても認めてあげられるような支持的な風土づくりやルールづくりをしていくことが、最も重要なことであると考える。


最終更新日:  2011-10-07