3 家庭学習の関与状況

 

平成25年度佐賀県小・中学校学習状況調査及び全国学力・学習状況調査を活用した調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ 教師意識調査結果の分析


教師意識調査結果の分析
                                         教師意識調査の全てのグラフ(Ⅱ 教師像共通グラフへ)

3 家庭学習への関与状況

宿題の出し方について共通理解を図ることが、児童生徒の学力向上によい影響を与えることがうかがえた。[図2-1][図2ー2]

出した宿題に対して評価し、必要に応じて指導していく方が、児童生徒の学力向上につながることがうかがえた。[図4-1][図4-2]
 

ここでは、家庭学習への関与の状況を、職員間での共通理解と、宿題提出後の評価及び指導の状況から分析する。

なお、学校スコアによるグループ比較においては、小学校、中学校の最高学年である小学6年生と中学3年生の結果を基に比較することとする。

   
「宿題の出し方について,校内の教職員で共通理解を図っていますか」について
 

 

図1 「宿題の出し方について、校内の教職員で共通理解を図っていますか」の回答の割合

「図っている」「どちらかといえば、図っている」と回答した小学校教師の割合は79.9%、中学校教師の割合は59.2%であった。小学校の方が中学校に比べて共通理解を図っている割合が高い。[図1]

 

図2-1 宿題の出し方に対する共通理解と

      教科別平均正答率(小学6年生)

  

 

図2-2 宿題の出し方に対する共通理解と

      教科別平均正答率(中学3年生)

 

この設問においてAグループとBグループの教科別平均正答率を比較すると、小学校、中学校共に明らかな特徴は見られないものの,小学校においては全ての教科で、中学校においても7教科中5教科においてAグループが高い結果となった。宿題の出し方について教職員間で共通理解を図っている学校ほど、平均正答率が高くなる傾向が見られた。[図2-1][図2-2]

   
   
「児童・生徒に出した宿題について、評価・指導を行い返却していますか」について

 

図3 「児童・生徒に出した宿題について、評価・指導を行い返却していますか」の回答の割合

「行っている」「どちらかといえば、行っている」と回答した小学校教師の割合は97.0%、中学校教師の割合は93.0%であった。小学校、中学校共に9割を上回る結果であった。出した宿題に対する評価・指導への意識の高さがうかがえる。[図3]

 

図4-1 出した宿題に対する評価・指導と

      教科別平均正答率(小学6年生)

  

 

図4-2 出した宿題に対する評価・指導と

      教科別平均正答率(中学3年生)

     

この設問においてAグループとBグループの教科別平均正答率を比較すると、小学校では6教科中5教科において、中学校では全ての教科においてAグループが上回っていた。特に、中学校の数学Bで4.6ポイント高くなっていた。[図4-1][図4-2]

   
   
これからの指導に向けて
   
 

家庭学習の充実を図るために、教職員間の共通理解と宿題への評価と指導を

家庭学習の充実は、学力の向上を図るためにも大切であり、家庭との連携が必要となってくる。 そのため、学校によっては、学校独自に家庭学習に対する手引きを作成し、家庭学習の重要性や家庭での学習方法などについて示している。手引きに示されている内容について教職員間で共通理解を図ることはもちろんのこと、宿題の出し方や内容等についても、小学校では学年間、中学校では教科担当間で共通理解を図っていくことが大切となってくる。例えば、宿題の出し方や内容については、教科のスキル的な内容だけでなく、思考や判断、表現を伴う内容の宿題も合わせて出すなど、学校で課題となる内容をどのように出していくかについて共通理解を図ることで、一部の取組とせず、学年、または教科の取組としていくことが大切である。

また、宿題については、評価とそれに対する指導が必要となる。宿題を評価し指導して返却する割合が高い学校ほど正答率は高くなっていた。このことからも宿題については評価し、内容の定着が不十分であれば、それに応じて適切な指導を行うことが望ましいと言える。しかしながら、教師が宿題の評価をしていく時間も限られており、十分な評価をしていくことができない状況も考えられる。そのような場合は、担任と教科担当者や級外とで連携を図りながら評価と指導に当たったり、児童生徒に自己評価をさせた後に提出させたりするなどの工夫をしていくことが考えられる。また、宿題の採点についてボランティアを募り、その方々に依頼することが考えられる。ボランティアの方と連携を図りながら、児童生徒の宿題の取組状況や学習した内容の定着状況を把握していくことも有効な方法と考えられる。


最終更新日:2013-10-21