平成25年度佐賀県小・中学校学習状況調査及び全国学力・学習状況調査を活用した調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ 教師意識調査結果の分析


教師意識調査結果の分析
                                            教師意識調査の全てのグラフ(Ⅱ 教師像共通グラフへ)

2 学習環境の活用

ICT機器を授業で活用する頻度は、小学校の方が中学校に比べて高いことがうかがえた。[図1]

授業においてICT機器を活用している場面には、小学校と中学校とで共通点が見られた。[図2-1][図2-2]

学校図書館を授業で活用する頻度は、小中学校に違いが見られた。[図3]
 


この節では、授業におけるICT機器と学校図書館の活用頻度や活用場面について分析する。

なお、学校図書館を活用した授業については、経年比較をし、分析する。

   
   
「ICT機器を活用した授業を行っていますか(本調査におけるICT機器とは、コンピュータ、プロジェクター、電子黒板、実物投影機、書画カメラ、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどを指します)」について
 

   図1 ICT機器を活用した授業を行っている割合

平成25年度の結果を見てみると、「年に20回以上(平均して月に2回以上)行っている」「年に10回から19回程度(平均して月1回程度)行っている」と回答をした小学校教師の割合は、82.2%であり、同じ回答をした中学校教師の割合は51.0%である。これに対し、「年に1~2回程度行っている」「全く行っていない」と回答した小学校教師の割合は、3.9%であり、同じ回答をした中学校教師の割合は30.6%である。このことから、中学校では、小学校と比べて、ICT機器を活用した授業があまり行われていない傾向が見られる。 [図1]
   
   
「ICT機器を授業のどのような場面で活用していますか(複数回答可)」について
 

 

図2-1 「ICT機器を授業のどのような場面で活用していますか(複数回答可)」の回答の割合

   
 

図2-2 「ICT機器を授業のどのような場面で活用していますか(複数回答可)」の回答の割合

 

小学校と中学校の両方とも、ICT機器を活用する頻度が最も多い場面は、「児童・生徒の興味・関心を高めたり、課題を明確につかませたりする場面」であり、次に頻度が高いのは、「分かりやすく説明したり、児童・生徒の理解や思考を促したりする場面」であった。また、授業でICT機器を活用していると回答したものの中では、小学校・中学校ともに「児童・生徒の作品を記録し、成長を実感させる場面」でICT機器を活用する割合が最も少なかった。[図2-1、図2-2]

   
   
「学校図書館を活用した授業を行っていますか」について
 

図3 「学校図書館を活用した授業を行っていますか」の回答の割合(経年比較)

  平成25年度の結果を見てみると、「年に20回以上(平均して月に2回以上)行っている」「年に10回から19回程度(平均して月1回程度)行っている」と回答をした小学校教師の割合は、46.1%であり、同じ回答をした中学校教師の割合は3.4%である。これに対し、「年に1~2回程度行っている」「全く行っていない」と回答した小学校教師の割合は、23.1%であり、同じ回答をした中学校教師の割合は75.5%である。このことから、中学校では、小学校と比べて、学校図書館を活用した授業があまり行われていない傾向が見られる。平成23年度、平成24年度の結果を見てみると、同様の傾向が見られる。小学校、中学校共に、学校図書館を活用した授業に対する教師の意識に大きな変化は見られない。[図3]
   
   
「授業では、学校図書館を主にどのように活用していますか」について
 

  図4 「学校図書館を活用した授業を行っていますか」の回答の割合(経年比較)
 

平成25年度の結果を見てみると、学校図書館を活用していると回答した教師の中では、小学校、中学校共に「調べ学習の場として」と回答した教師の割合が46.8%、44.2%と最も高くなっている。次いで、小学校、中学校共に「読書指導や読書活動の場として」と回答した教師の割合が41.9%、12.5%となっている。平成23年度、平成24年度の結果を見てみると、同様の傾向が見られる。このことから、小学校、中学校共に、平成23年度から平成25年度にかけて、授業において学校図書館を活用する場面に対する教師の意識に大きな変化は見られない。[図4]

   
   
これからの指導に向けて
   
 

ICT機器や学校図書館を活用した授業づくりを

平成24年度同様、平成25年度佐賀県教育の基本方針において、ICT利活用教育の推進が掲げられている。ICT機器は、コンピュータ教室だけではなく、普通教室や特別教室、学校図書館、体育館など様々な場所で活用できる。ICT機器には、コンピュータ、プロジェクター、電子黒板、実物投影機、書画カメラ、タブレットPC、デジタルビデオカメラなどが含まれ、その特性に応じた活用をする必要がある。文部科学省が作成した、『学力向上 ICT活用指導ハンドブック』(委嘱:一般財団法人コンピュータ教育開発センター)で述べられているICT機器を活用する主な利点は次の通りである。

  ①写真や図表を大きく提示して指示を明確にすることができる

 ②見せながら話して、分かりやすく説明やまとめをすることができる

 ③身近に感じる教材を使って関心や意欲を高めることができる 

 ④学習教材やソフトウェアで知識や技能を定着することができる

 ⑤インターネットを使って最新情報を収集したり、その便利な機能を利用したりすることができる[※1]

学校図書館の機能には、主に児童生徒の「読書センター」としての機能と、児童生徒の「学習・情報センター」としての機能の2点が挙げられる。特に、「学習・情報センター」としての機能については、以下の4点の充実を図ることでその効果を高めることができると考える。

 ①学校図書館で、図書やその他の資料を使って授業を行うなど、教科等の日常的な指導において活用される。

 ②教室での授業で学んだことを確かめ、広げ、深める、資料を集めて、読み取り、自分の考えをまとめて発表するなど、

  児童生徒の主体的な学習活動を支援する。

 ③図書や新聞、インターネット等のデジタル情報など多様なメディアを提供して、資料の探し方・集め方・選び方や記録の

  取り方、比較検討、情報のまとめ方等を学ばせる授業の展開に寄与する。更に、司書教諭によるこれらメディアを活用

  した利用指導等の取組を通じ、情報活用能力を高めるための授業を自ら企画・実施する。利用指導等の取組を通じ、

  情報の探し方・資料の使い方を教える。

 ④児童生徒が学習に使用する資料や、児童生徒による学習の成果物などを蓄積し、活用できるようにする。[※2]

以上のことから、ICT機器や学校図書館を有効に活用した授業づくりを推進していくことで、児童生徒の意欲的な学習活動を支援するとともに、各教科における知識・理解の定着、思考力・判断力・表現力等の向上、また、情報の収集・選択・活用能力の向上を図ることが大切である。

《参考文献》

※1 一般財団法人コンピュータ教育開発センター 『学力向上 ICT指導ハンドブック』 平成20年

    http://www.cec.or.jp/monbu/report/handbook.pdf

《引用文献》

※2 子どもの読書サポーターズ会議 『これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)』 平成21年3月

       http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/meeting/__icsFiles/afieldfile/2009/05/08/1236373_1.pdf


最終更新日:2013-10-21