平成25年度佐賀県小・中学校学習状況調査及び全国学力・学習状況調査を活用した調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査結果の分析


児童生徒意識調査結果の分析
                               児童生徒意識調査結果の分析に関わる全てのグラフ

3 学習活動(教科全般)

普段の授業で自分の考えを発表する機会は、平成23年度からの経年で比較すると年々増加しており、発表する機会が与えられている児童生徒ほど、全教科平均正答率は高くなっていた。[図1][図2]

学校の授業などで自分の考えを表現することに対して難しいと感じている児童生徒は、平成23年度からの経年で比較すると年々減少しており、表現することに難しさを感じている児童生徒ほど、全教科平均正答率は低くなっていた。[図3][図4]

 

ここでは、教科全般における学習活動について、自分の考えを発表する機会と自分の考えを表現することに対する意識の変容を平成23年度からの調査結果と比較し、分析を行った。また、平成25年度の調査結果と全教科平均正答率との関連からも分析を行った。

   
   
「普段の授業では、自分の考えを発表する機会があたえられていると思う」についての経年比較(同一学年)
 

 

図1 「普段の授業では、自分の考えを発表する機会があたえられていると思う」の回答の割合の

      経年比較

平成25年度の調査において「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」と回答した児童生徒の割合は、小学5年75.7%、小学6年79.6%、中学1年84.2%、中学2年83.2%、中学3年78.4%となり、全ての学年において7割を上回る結果となった。同一学年において「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」と回答した児童生徒の割合を、平成23年度からの経年で比較すると、小学5年から中学2年までは徐々に高くなっている。中学3年においては、平成23年度と比べると1.5ポイント高くなっている。[図1]   

   
 

 図2 「普段の授業では、自分の考えを発表する機会があたえられていると思う」の

     回答状況と全教科平均正答率(平成25年度)

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において「当てはまる」と回答した児童生徒の平均正答率が最も高くなっている。「当てはまる」と回答した児童生徒の平均正答率と「当てはまらない」と回答した児童生徒の平均正答率とを比較すると、全ての学年において10.0ポイント以上の差があった。[図2]

   
   
「学校の授業などで、自分の考えをほかの人に説明したり、文章に書いたりするのは難しい」についての経年比較(同一学年)
 

 

図3 「学校の授業などで、自分の考えをほかの人に説明したり、文章に書いたりするのは難しい」の

    回答の割合の経年比較

平成25年度の調査において「難しいと思う」「どちらかといえば、難しいと思う」と回答した児童生徒の割合は、小学5年66.1%、小学6年62.2%、中学1年70.9%、中学2年74.7%、中学3年73.5%となっている。同一学年において「難しいと思う」「どちらかといえば、難しいと思う」と回答した児童生徒の割合を、平成23年度からの経年で比較すると、小学6年から中学3年までは年々低くなってきており、難しさを感じる児童生徒が少なくなってきていることがうかがえる。小学5年においては、変化が見られなかった。[図3]

   
 

図4 「学校の授業などで、自分の考えを他の人に説明したり、文章に書いたりするのは

    難しい」の回答状況と全教科平均正答率(平成25年度)

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、「難しいと思う」と回答した児童生徒の平均正答率が最も低くなっており、小学5年から中学3年までにおいては、難しさを感じている児童生徒より感じていない児童生徒の方の平均正答率が高くなる結果であった。[図4]

   
   
これからの指導に向けて
   
 

自分の考えと他者の考えを比較する場の設定を

普段の授業の中で、児童生徒が自分の考えを発表する機会は、年々増加してきていることがうかがえた。自分の考えを発表し交流する活動は、自分の考えと他者の考えとを比較する活動であり、児童生徒の思考力・判断力・表現力等を育成していく上で大切な活動である。考えを発表する場では、聞き手に相似点や相違点を考えながら聞かせたり、発表者に相似点や相違点を示しながら発表させたりするなどの工夫も大切である。

自分の考えを記述する活動を

自分の考えを表現することへの抵抗感は、年々和らいできていることがうかがえた。このことから、自分の考えを表現するための指導改善が図られてきたことがうかがえる。しかしながら、依然として小学校においては6割を上回る割合で、中学校においては7割を上回る割合で自分の考えを表現することに対して難しさを感じている。

そこで、自分の考えを文章に書いて表現する活動に着目したい。自分の考えを文章に書いて表現する活動は、自分の考えを整理することにつながるだけでなく、自分の考えを明確にする効果も期待できる。そればかりでなく、文章に書き表したことで、自分の考えを他の人に説明もしやすくなると考える。自分の考えを発表させる際や、学級またはグループで考えを交流させる際には、まず自分の考えを文章に書かせた上で行うことが効果的ではないかと考える。そのためにも、自分の考えを書き表すための指導を丁寧にしていくことが大切である。


最終更新日:2013-10-21