今回の調査では、中学2年生、中学3年生共に、「思考・表現」、「技能」、「活用」を問う問題において課題が見られた。これらにおいては、平成24年度でも課題が見られため、指導に当たっては、平成24年度に各学校で工夫した指導を継続して行うことが必要であると考える。
また、理科の授業では、観察・実験を行わせることが多い。そのため、観察・実験の指導を工夫することが、今回の調査で見られた課題を改善することにつながると考える。その際、生徒の現状を的確に把握しフィードバックするなど、指導と評価の一体化を図ることも大切である。
これらのことを踏まえ、特に次の3つのことを大切にしながら、これからの指導に取り組むことが重要であると考える。
(ア) 観察・実験の中で取り組ませる言語活動を工夫する
話を聞いたり、教科書を読んだりして、生徒が「分かった」と言っても、説明させてみるとできない場合がある。このような「分かったつもり」でいる生徒を、「分かった」という段階まで高めるためには、言語活動を充実させることが大切であると考える。例えば、観察・実験結果を基に生徒が考えたことを記述させたり、発表で説明させたりすることで、生徒は自分が考えを整理することができると考える。また、生徒が表現したものは、生徒の活動を評価し、フィードバックするための重要な手掛かりを与えてくれると考える。特に生徒が記述したものは、形として残るため、その後の具体的な指導も行いやすいと考える。
○教師意識調査の結果より
教師意識調査(15)「レポートや作文など書いて表現する活動を取り入れた授業を行っていますか」という設問に対し、「多くの単元で行っている」「半分程度の単元で行っている」と回答した中学校理科の教師の割合が20.4%となっており、書いて表現する活動が十分に行われていない現状が考えられる。そのため、「書く活動をどのように取り入れるか」という視点をもちながら言語活動を工夫していく必要もあると考える。
言語活動に取り組ませる際には、言語活動を通して、どのような思考力、判断力、表現力を高めたいのか、生徒のどのような現状を把握したいのかを明確にした上で取り組ませていきたい。
(イ) 知的好奇心を喚起するような学習問題、教材、指導方法を工夫する
担当する学年や学級に「要努力」の生徒がいた場合、このような生徒は、自分の学習が思うように進まないため、学習に対する意欲はそれほど高くないと考えられる。「要努力」の生徒には、まず理科の不思議さ、おもしろさなどを体感させることを通して、学習に対し前向きに取り組もうとする態度を育てていきたい。授業の導入で生徒が「あれっ?」、「どうして?」と思うような演示実験を取り入れたり、日常生活の中から学習問題を設定したり、ICT機器などを活用したりしながら、生徒の知的好奇心を喚起していきたい。
(ウ) 生徒へのフィードバックを考えながら適切な評価を実施し、指導と評価の一体化を図る
授業を進める中で、生徒の現状を的確に把握することが必要である。そのためには、日々の授業の中で、生徒の現状を把握するための評価方法を工夫することが必要であると考える。特に基礎的・基本的な知識・技能については、思考する基盤となるため、定着については、取り扱うごとに評価を行っていきたい。その際、評価によって把握した生徒の現状を、どのように生徒に伝え、フィードバックし、その後の指導に生かしていくのかを考えることが大切である。授業中における生徒の現状把握を丁寧に行い、「できた」、「できていない」ということを生徒に伝えるだけでなく、どこが不十分なのか、どのようにすれば克服できるのかなど、きめ細かい指導を心掛けることが大切であると考える。また、一定期間後にも評価を行い、確実に定着しているかどうかを把握し、その現状に応じて指導を加えていくことも大切である。
上記(ア)、(イ)の工夫については、理科授業改善サポートチームの活動として、佐賀県教育センターホームページに掲載しているので参考にしてほしい。
[理科授業改善サポートチームURL]
https://www.saga-ed.jp/chouken/rikasaport/risapotop.html |