平成25年度佐賀県小・中学校学習状況調査及び全国学力・学習状況調査を活用した調査Web報告書Web報告書もくじ>Ⅰ 調査の概要 |
Ⅰ 調査の概要
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1 | 調査の趣旨 |
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学習指導要領に示されている目標や内容の実現状況、学習に対する意識・態度や生活習慣及び教師の指導に関する意識を把握し、教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
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2 | 調査の対象 |
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(1)調査対象 |
[児童生徒] 調査対象は,小学校5年生・6年生,中学校1年生・2年生・3年生のそれぞれ全員とする。 [教職員] 上記の調査対象児童生徒のうち、平成24年度に小学校第4・5・6学年、中学校第1・2学年を担当した教職員。ただし、平成24年5月以降に採用された講師については対象としない。
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(2)調査対象学校 数及び調査対 象人数 |
[児童生徒]
[教職員] (各学年担当者の延べ人数を表記)
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3 | 調査の実施方法 |
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び実施教科 |
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(2)調査時間 | ア 教科に関する調査 小学校 各教科とも45分 各学校で時間を設定して実施。 中学校 各教科とも50分 各学校で時間を設定して実施。 ※ 小学校第6学年、中学校第3学年については、全国調査のマニュアルに沿って実施。 イ 児童生徒意識調査 小学校・中学校とも20~30分程度、各学校で時間を設定して実施 ※ 小学校第6学年、中学校第3学年については、全国調査のマニュアルに沿って実施。 ウ 教師意識調査 10~20分程度、各学校で随時実施 |
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4 | 調査結果の処理 |
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集計作業により教科ごとの設問別正答率、内容・領域別正答率、評価の観点別正答率を求め、本県において設定した到達基準(第7節を参照)との比較により、その実現状況を測る。また、意識調査の回答状況と正答率の相関に着目した分析を行う。その際、各学校における指導の状況を数値化するために学校スコア(※3参照)を算出して分析に用いる。 これらの集計結果を基に、各教科における傾向及び成果と課題を明らかにし、今後の指導に向けての提言を行う。なお、分析については、教育センターにおいて行う。 |
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5 | 調査結果の返却方法 |
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テムによる返却 |
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(2)調査報告書に よる返却 |
調査結果から見られる県全体の傾向、各教科における成果と課題、これからの指導に向けての提言などをまとめた調査報告書を、佐賀県教育センターホームページから配信する。
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6 | 調査の内容 |
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(1)教科に関する 調査 |
ア 実施教科 中学校第1学年は国語、社会、数学(算数)、理科の4教科 ※ 中学校第1学年数学の調査問題については、小学校第6学年の学習範囲を中心に出題しているため、内容は算数となる。 イ 調査問題 ※ 小学校第6学年、中学校第3学年の国語、算数・数学は、全国調査を活用した調査として実施。 「活用」に関する問題について ・〔主として「知識」〕…国語A、算数・数学A
ウ 出題範囲 前学年で学習した内容を中心に出題する。 |
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ア 意識調査の目的 児童生徒を対象とした質問紙法による調査を行う。 |
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質問項目とそれぞれの設問との関係は以下の表のとおりである。
エ 質問の意図
授業以外の勉強時間や勉強の内容、塾や家庭教師の有無など児童生徒の学習方法全般について問うことにより、児童生徒の家庭学習の実態について把握する。
読書時間、テレビやゲームなどの時間、就寝時刻、朝食や家の手伝いの頻度、地域における行事などへの参加の頻度などについて問うことにより、児童生徒の家庭における生活習慣の実態について把握する。
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(3) 教師意識調査 |
ア 教師意識調査の目的
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7 | 到達基準の設定について |
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(1)調査結果の解 釈に当たって |
調査問題の作成に当たり、事前に設定した設問ごとの難易度に適合したものとなるよう、複数の委員が本県の児童生徒の実態を踏まえながら、指導に当たってきた経験に基づいて、問題内容を協議し、検討を重ねている。
「おおむね達成」は、最低限これを上回る児童生徒が正答することが期待される人数の割合であり、下回っている場合は、学習内容の定着に課題があり、早急に改善の手立てが取られる必要があると考える。また、「十分達成」は、学習内容の定着が十分満足できると判断される基準であり、上回っている場合は、各地域・学校における取組の成果として評価できるものと考える。 「期待正答率」を基にして算出した「到達基準」と調査結果の「正答率」を比較することにより、到達度を測ることができる。また、経年的な調査結果の比較により、定着に係る動向を知ることができる。各学校においては、調査結果に基づいて自校の取組を検証し、課題に応じた重点目標を設定し、解決に向けた指導改善を図っていくことが期待される。 |
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法の選択 |
到達基準の設定に当たっては、1972年にエーベルが提唱した「エーベル法」に橋本重治が修正を加えて考案した「修正エーベル法(橋本エーベル法)」(※2参照)を基本的な考え方として採用する。採用の理由として、個々の小問の判断に基づく設定方法として理論的に優れている「エーベル法」をより簡略化して利用できるようにしたものであること、この方法は実際に「教研式標準学力検査CRT」などにも採用されていることなどが挙げられる。 |
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(3)設定方法の概 要 |
各小問(著書の中では「アイテム」と表現)を、関連性と困難度のマトリックスにおいて分類する。関連性は、「基礎的・基本的」(後への関連性が高い目標を測る問題) と「発展的・応用的」(比較的高度で、後の学習への関連性がそれほど高くない目標を測る問題)の2区分とし、困難度は「平易」「普通」「困難」の3区分とする。(表1のとおり) ただし、基礎・基本に分類される困難な目標は現実的ではないので、除外する。全ての小問は、表1中の(A)(B)(C)(D)(E)のいずれかに割り振られる。 表1 修正エーベル法におけるアイテム分類表
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また、それぞれの分類欄ごとの期待正答率は表2のように定められている。 表2 修正エーベル法における五つの分類ごとの期待正答率表
(注) 上の数字は「十分達成」、下の数字は「おおむね達成」の場合を示している。 この表に基づいて、到達基準が算出される。 |
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(4)設定に当たって の具体的な手 続き |
① 調査問題を小問単位で、評価の観点別及び内容・領域別に分類する。 ② 評価の観点別(もしくは内容・領域別)に分類された小問を表1に沿って、(A)~(E)に振り分ける。「知識・理解」「技能」「言語事項」などの観点についての小問の多くは「基礎的・基本的」に属するが、一部に「発展的・応用的」に属するものもあると考えられる。また、「思考」「資料の解釈・利用能力」「観察・実験の能力」「読解力」などの観点については、「発展的・応用的」に属する小問が多いと考えられるが、一部「基礎的・基本的」に属するものも含まれることが考えられる。 ③ 分類が終わったら、評価の観点(もしくは内容・領域)ごとに分類表の各欄の小問数を確認する。 ④ あらかじめ定められた期待正答率表(表2)の値を基にして、評価の観点(もしくは内容・領域)ごとに「十分達成」「おおむね達成」それぞれの到達基準を算出する。 表3 修正エーベル法による到達度基準の算出例
表3は、ある評価の観点(もしくは内容・領域)において(A)~(E)に分類される小問がそれぞれ4問・3問・2問・2問・1問であった場合の計算例である。それぞれの期待正答率と小問数の積の合計から導き出した得点を全小問数で割った数値(合計欄の下に示している%)がこの観点(もしくは内容・領域)の到達基準ということになる。
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(5)本調査で設定 した期待正答 率表 |
本調査では、前に述べた理論を参考に、小学校と中学校の学習内容の違いなどを考慮して、次の表4と表5のように期待正答率を設定した。 表4 小学校における期待正答率表
表5 中学校における期待正答率表
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8 | 到達基準による判定と今後の指導に向けて |
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(1)到達基準を設 定することの効 用 |
従前、佐賀県小・中学校学習状況調査においては、国立教育政策研究所が平成15年度までに実施した教育課程実施状況調査の調査問題を使用して、その全国平均正答率を一つの指標として用いてきた。 国が公表した全国平均正答率はあくまでも設問ごとのものであって、評価の観点別、内容・領域別については公表されていなかった。そのため、評価の観点別、内容・領域別については、県が便宜的に、国が公表した設問ごとの全国平均正答率を束ねて算出した。また、平成15年度以前に実施された調査の結果との比較という点において、調査実施年の隔たりは年々大きくなっており、その信頼性や客観性についても課題があった。 平成19年度には調査問題の6~7割を、平成20年度より調査問題の全てを県が独自に作成し、設問ごと、評価の観点別、内容・領域別に到達基準を設定した。 本調査では、県があらかじめ設定した到達基準との比較において、県としての成果と課題を明確にすることができるとともに、各学校においても、到達基準との関係において、自校の学習指導の成果と課題を把握することが可能となっている。 |
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(2)到達基準の「十 分達成」と「おお むね達成」のラ インについて |
到達基準は、「おおむね達成」と「十分達成」の2つの分割点を設定することにより、各学校における到達の状況が明確となり、目標の設定が容易となった。 「おおむね達成」に到達していない教科や評価の観点、内容・領域については、緊急の課題であり、早急の対応が望まれる。必要に応じて年度内の補充的な指導などを施した上で、新年度につなげる必要があるであろう。 「おおむね達成」には到達しているが、「十分達成」には到達していない教科や評価の観点、内容・領域については、県が示す最低基準は達成していると考えられるが、更なる向上が望まれる。新年度の教育課程編成に関わって、指導改善に取り組むことが望ましい。 「十分達成」に到達している教科や評価の観点・内容・領域については、現状の指導が効果的に働いていることの表われであり、十分に成果が見られると考えられる。現状の指導を継続して差し支えないであろう。 |
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以上のように、各学校、各学年、各教科の到達状況を把握し、今後の短期的、または長期的なビジョンの中で、児童生徒への対応や教師による指導改善が図られることを期待したい。 |
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(3)今後の指導に 向けて |
到達基準との比較により、各学校において、教科、学年、学級などにおける指導の実現状況を把握することができたら、そのよさを更に伸ばし、課題を克服するために、個々の教師が指導改善に取り組むこととなる。 諸調査集計・分析システムから自校及び県全体の結果を集計したデータ及び分析ツールがダウンロードできるようになっている。また、県全体の成果と課題、及びこれからの指導に向けては調査報告書の第Ⅲ章において教科ごとにまとめている。指導改善に向けての提言については、各学校の現状と照らし合わせながら、参考となる点を活用してほしい。 |
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註 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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正答率とは、学習の定着状況を示すために用いる、各設問における正答者数(準正答者数を含む)の解答者数に対する割合である。本報告書では、下記の方法で設問ごと正答率を算出している。
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橋本 重治 『到達度評価の研究 その方法と技術』 1981年 図書文化社 橋本 重治 『続・到達度評価の研究 到達基準の設定の方法』 1983年 図書文化社 |
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学校スコアとは、教師意識調査及び児童生徒意識調査の結果から、各学校における教師の指導や児童生徒の意識等に関する回答状況を数値化することを目的として、質問項目に対する回答選択肢ごとにポイントを付けて重み付けを行うことにより、独自に算出した値である。 (例) 宿題を出していますか。 1 多くの時間で出している
→ 100ポイント 各学校の教師、又は児童生徒の回答状況を上記のようなポイントに換算して、その学校の平均値を求めたものを学校スコアとして、分析に用いている。 |
最終更新日:2013-10-21 |