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ここでは、読書時間、テレビやゲームなど自由に過ごす時間、就寝時刻、朝食など、生活習慣全般についての設問から、児童生徒の生活習慣についての調査結果を述べる。
なお、経年を比較する際には、小学校、中学校の最高学年である小学6年と中学3年の結果を基に比較することとする。
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ア |
「読書は好きだ」について |
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図1 「読書は好きだ」の回答状況 |
「当てはまる」と回答した児童生徒の割合は、小学5年56.0%、小学6年50.8%、中学1年45.8%、中学2年46.3%、中学3年43.9%となっている。「どちらかといえば、当てはまる」と回答した児童生徒の割合を合わせると、全ての学年が7割を上回っている。特に、小学5年では、84.2%と最も高い割合であった。一方で、「どちらかといえば、当てはまらない」「当てはまらない」と回答している児童生徒の割合を見てみると、学年が上がるにしたがって、高くなる傾向が見られた。[図1] |
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図2-1 小学6年の「読書は好きだ」の回答状況 |
図2-2 中学3年の「読書は好きだ」の回答状況 |
この設問について、小学6年と中学3年を平成23度度と比べると、小学6年においては、「当てはまる」と回答した児童の割合が3.5ポイント上回った。一方で「どちらかといえば、あてはまらない」「当てはまらない」と回答した児童の割合も2.7ポイント上回る結果となった。中学3年においては、「どちらかといえば、あてはまらない」「当てはまらない」と回答した生徒の割合が7.1ポイント上回った。[図2-1、図2-2] |
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図3 「読書が好きだ」の回答状況と正答率 |
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において、「当てはまる」と回答した児童生徒の平均正答率が最も高くなっている。読書が好きだと感じている児童生徒ほど、平均正答率が高くなっている。[図3] |
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イ |
「普段(月曜日から金曜日)、何時ごろにねますか」について |
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図4 「普段、何時ごろにねますか」の回答状況 |
小学校では、「午後9時以降、午後10時より前」と回答した児童の割合が、小学5年48.2%、小学6年41.10%と最も高かった。中学1年と中学2年では、「午後10時以降、午後11時より前」が最も高く、中学1年では、46.4%、中学2年では38.3%となっている。中学3年では、「午後11時以降、午前0時より前」が最も高く、42.6%となっている。また、午後11時以降と回答している児童生徒の割合は、学年が上がるにしたがって、高くなっている。[図4] |
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図5 「普段、何時ごろねますか」の回答状況と正答率 |
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、小学5年と小学6年では「午後9時以降、10時より前」、中学1年では「午後10時から11時までの間」、中学2年と中学3年では「午後11時から0時までの間」と回答した生徒の平均正答率が最も高くなっている。[図5] |
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ウ |
「普段(月曜日から金曜日)、1日あたりどれくらいの時間、テレビやビデオ・DVDを見たり、聞いたりしますか」について |
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図6 「普段、1日あたりどれぐらいの時間、テレビやビデオ・DVDを見たり、聞いたりしますか」の回答状況 |
小学5年生で「1時間以上、2時間より少ない」が25.3%と最も高く、小学6年生から中学3年生では「2時間以上、3時間より少ない」が最も高く、小学6年25.1%、中学1年26.7%、中学2年28.1%、中学3年27.8%となっている。また、小学校では、学年が上がると視聴する時間が長くなる傾向があるが、中学校では、逆に短くなる傾向が見られる。[図6]
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図7-1 小学6年生の「普段、1日あたりどれくらいの時間、テレビやDVD等を見聞きしますか」の経年比較 |
図7-2 中学3年生の「普段、1日あたりどれくらいの時間、テレビやDVD等を見聞きしますか」の経年比較 |
この設問について、小学6年と中学3年を平成23年度と比べると、小学6年、中学3年共に、テレビやDVD等を視聴する時間は、中学3年では4時間以上の割合は低くなっている。全体的には、小学6年では、視聴する時間は増加しており、中学3年では減少している。[図7-1、7-2] |
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図8 「普段、1日あたりどれくらいの時間、テレビやDVD等を見聞きしますか」の回答状況と正答率 |
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、小学5年と小学6年では、「1時間以上、2時間より少ない」「2時間以上、3時間より少ない」と回答した児童の平均正答率が高くなっている。中学校では、全ての学年で、「1時間以上、2時間より少ない」と回答した生徒の平均正答率が高くなっている。また、小学校、中学校共に、「4時間以上」「全く見たり、聞いたりしていない」と回答した児童生徒の平均正答率が低くなっている。[図8]
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エ |
「普段(月曜日から金曜日)、1日あたりどれくらいの時間、テレビゲーム(コンピュータゲーム、携帯式のゲームをふくみます。)をしますか」について |
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図9 「普段、1日あたりどれぐらいの時間、テレビゲームをしますか」の回答状況 |
どの学年においても「1時間より少ない」と回答している児童生徒の割合が最も高く、小学5年32.6%、小学6年34.2%、中学1年33.7%、中学2年30.2%、中学3年30.3%となっている。また、小学校、中学校ともに、学年が上がるとテレビゲームをする時間が減少する傾向が見られる。[図9]
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図10-1 小学6年生の「普段、1日あたりどれぐらいの時間、テレビゲームをしますか」の経年比較 |
図10-2 中学3年生の「普段、1日あたりどれぐらいの時間、テレビゲームをしますか」の経年比較 |
この設問について、小学6年と中学3年とで平成23年度の調査と比較すると、小学6年、中学3年共に、テレビゲームをする時間は減少している。[図10-1、図10-2] |
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図11 「普段、1日あたりどれぐらいの時間、テレビゲームをしますか」 の回答状況と正答率 |
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、全ての学年において「全くしない」または「1時間より少ない」と回答した児童生徒の平均正答率が最も高く、ゲームをする時間が増えるにしたがって、平均正答率も低くなっている。[図11] |
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○ |
今後の指導に向けて |
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読書については、学年が上がるにつれて読書が好きだと感じている児童生徒の割合が減少する結果となった。「PISA2009の課題を受けた今後の取組」[※1]の中で、「子どもの読書活動の推進」を挙げている。そこでは、家庭、地域、学校における取組の一体的推進を掲げてある。今回の調査結果を見ても、読書が好きだと感じていいる児童生徒ほど高い正答率を示していることから、読書をすることが学力の向上によい影響を与えていることがうかがえる。今後もより一層の読書の定着を図る上において、朝の10分間読書や読書週間の設定、家庭・地域との連携による読書習慣の確立、学校図書館等の環境整備など、取組の工夫改善が望まれる。
就寝時刻については、家庭学習の時間や読書時間のことを考えると、早ければよいというわけではない。しかし、極めて遅い就寝時刻は、「授業に集中できない」「学習意欲が湧かない」といった学習意欲に悪影響を及ぼしている可能性があると考えられる。各学年の状況に応じて、帰宅してから就寝までの時間の有効な使い方について、家庭との連携を図りながら指導していくことが望まれる。
テレビゲームをする時間については、ゲームをする時間が増えるにしたがって、全教科平均正答率が低くなっていることがうかがえる。ゲームに夢中になった結果、家庭学習の時間の確保や生活の悪循環などの課題を抱えている可能性があると考えられる。そこでテレビゲームが身体や生活に及ぼす影響を考えさせた上で、家庭との連携を図りながら指導していくことが望まれる。 |