「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

                                      

 実践事例8  中学校第1学年 「武士の台頭と鎌倉幕府」 −モンゴルの襲来と日本−                                      
単元について
 この単元では、武家として初めての政権である鎌倉幕府の成立、南北朝の争乱と室町幕府、東アジアの国際関係、応仁の乱後の社会的な変動などを通して、武家政治の特色を考えさせ、武士が台頭して武家政権が成立し、その支配が次第に全国に広まるとともに、東アジア世界と密接な関わりが見られたことを理解させることをねらいとしている。
 生徒は、小学校時にどの教科の授業においても話合い学習を多く経験しており、既知の学習内容に基づいた答えや自分なりの意見を簡単に述べることができる。しかし、社会的な事象の課題に対しては、自分が考えた意見を論述することに苦手意識をもった生徒が多い。
 単元の最後に、ミニ論題「弘安の役後、再び元の使者が日本にやって来た。あなたが幕府の執権ならどう対応すべきだと考えるか」について、@使者の国書を受け入れて、使節の派遣を始める立場とA使者の国書を拒否し、戦争の準備を始める立場に分かれてメリットとデメリットをそれぞれの立場で考え、自分が執権ならどちらを選ぶかの意思決定を行わせる。 資料などを参考に自分なりの意思決定を行わせ、最後に、「国書を拒否して、元軍を迎え撃つ準備をしたのは正しかったのか」という論題を導き出し、討論を行う。
単元の目標
(1)
  武士が台頭し武家政権が成立したことや鎌倉時代の武士や民衆の動き、また、モンゴルの襲来など東アジア世界とのつながりについての関心を高め、それを意欲的に追究し、捉えさせる。
(2)
   武士が台頭し武家政権が成立して、武士の支配が次第に全国に広まり、武家社会が発展していったという時代の流れモンゴルの襲来が日本の政治や社会に与えた影響について、多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現させる。
(3)
   武士が台頭し武家政権が成立したことや鎌倉時代の武士や民衆の動き、鎌倉文化に関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりさせる。 
(4)
   武士が台頭し武家政権が成立して、武士の支配が次第に全国に広まり武家政権が発展していったことを理解させ、その知識を身に付けさせる。
単元の評価規準
社会的事象への
関心・意欲・態度
社会的な
思考・判断・表現
資料活用の技能
社会的事象についての
知識・理解
○武士が台頭し武家政権が成立したことや鎌倉時代の武士や民衆の動きに対する関心を高め、意欲的に学習することができている。
○モンゴルの襲来など東アジア世界とのつながりに関心を高め、意欲的に追究している。
○武士が台頭し武家政権が成立して、武士の支配が次第に全国に広まり、武家社会が発展していったという時代の流れを、幕府と朝廷の関係、土地制度の変化などから多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。
○モンゴルの襲来が日本の政治や社会に与えた影響について、多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。
○武士が台頭し武家政権が成立したことと、鎌倉時代の武士や民衆の動き、鎌倉文化に関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。
○武士が台頭し武家政権が成立して、武士の支配が次第に全国に広まり武家政権が発展していったことを理解し、その知識を身に付けている。
単元の指導計画(全7時間)
過程 主な学習活動       教師の指導・支援 時配







武士が次第に勢力を広げたことを、関東や瀬戸内などで起こった戦乱の様子から理解する。



○武士団では、天皇や貴族の子孫が武士の棟梁となって、家来と主従関係を結んだことを、資料から読み取らせる。
 鎌倉を中心とした武家政権はどのような仕組みによって武士を支配したのか調べよう
《学習問題T》
調

武家政権の特色を、幕府や朝廷の関係から理解する。 ○鎌倉の地形的要因に着目させて、幕府が置かれた理由を考えさせる。
○鎌倉時代の武士の生活の様子を様々な資料を通して理解する。 ○武士の生活が、貴族とは違って武芸中心の質素な生活だったことを資料から理解させる。
○鎌倉時代の建築物・彫刻・文学作品などを調べ、鎌倉文化の特色を理解する。
○仏教の特色を理解し、広まった理由を考える。
○鎌倉時代の文化が、武士の台頭の影響を受けて力強く、写実的であることを理解する。また、鎌倉仏教が、誰でも実行しやすい方法で信仰できたので、現在でも広く信仰されていることを理解させる。






○ユーラシア大陸での動き、および二度にわたるモンゴルの襲来と日本の対応を考える。 ○二度の元寇で、元軍を退けた理由が暴風雨以外にもあることを映像や資料から考えさせる。
○元寇後の日本と元の動きを考える。
メリット・デメリットを踏まえて、意思決定1を行う。
○ 次時は、「国書を拒否して元軍を迎え討つ準備を始めたのは正しかったのか」について討論をすることを知らせる。
○「弘安の役後、再び元の使節が日本にやって来た。あなたが幕府の執権ならどう対応すべきだと考えるか」について、ミニ討論をさせる。
○ @使者の国書を受け入れて、使節の派遣を行う立場とA使節の国書を拒否して、元軍を迎え討つ準備をする立場に分けてメリットとデメリットを考え、最終的に自分が執権ならどちらを選ぶのかという意思決定を行わせる。(意思決定1)

本時 (6/7)
論題  鎌倉幕府が、元の皇帝の国書を拒否して、元軍を迎え討つ準備をしたのは正しかったのか。《学習問題U》
○討論
※執権(幕府)が実際行なった「国書を拒否して使者を処刑し、迎え撃つ準備をしたのは正しかったのか」について討論を行う。
○意思決定2をする。
○自分が幕府の執権の立場で、既習内容や資料、友達の意見などを基に、幕府の対応が正しかったのかについて考えさせ、最終的な意思決定をさせる。(意思決定2)
 
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