生活をよりよくしようとする生徒を育てる問題解決的な学習の進め方を提案します! |
1 研究の概要 | ||
(1)研究テーマ |
||
生活をよりよくしようとする生徒を育てるための家庭分野の学習における指導方法の工夫 −住生活の学習における問題解決的な学習を通して− |
||
(2)テーマ設定の趣旨 |
||
○ 学習指導要領に求められている家庭科教育の在り方 |
||
現代社会は、科学技術の進歩による物質的豊かさと便利さの影で環境問題や経済不安などが叫ばれています。家庭生活においても少子高齢化や家庭の機能不全といった問題が出てきています。このような社会の変化に主体的に対応できる生徒の育成を目指して、平成20年3月に示された学習指導要領では、衣食住や家族などに関する知識と技術の習得とともに、それらを活用し、よりよい生活を工夫しようとする能力と態度の育成が求められています。そのため、自ら課題を見いだし解決を図る問題解決的な学習をより一層充実することとなっています。 |
||
○ 問題解決的な学習の実施の現状 |
||
平成19年度に実施された国立教育政策研究所の「特定の課題に関する調査(技術・家庭)」では、問題解決的な学習を取り入れた授業を実施している教師の割合は約50%と低く、そのため、生徒が自分の学習課題を選択して学習することや調べたことを発表する活動を実施している割合も約40%と低くなっています。国立教育政策研究所では、問題解決的な学習を取り入れたり、調べたことを発表させるなどの言語活動や、生徒が学習課題を選択できるなどの個に応じた指導を取り入れたりする指導について課題があるとしています。 問題解決的な学習を取り入れた授業が少ないのは、生徒自らが課題をもつための手立てをどのようにするかが難しいことが理由として考えられます。単に、教師側から課題を提示するのでは、生徒は受け身になり、意欲的に取り組めないというようなことが起こりがちです。そのため、課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てることにはつながりません。先に挙げた「特定の課題に関する調査(技術・家庭)」においても、自分で考えたり工夫したりすることが好きな生徒の割合は約60%で、分からないことや興味・関心をもったことについて自分から調べようとする生徒の割合は約30%と低い結果となっています。そのため、生活をよりよくしようとすることへの関心や意欲を高めるための手立てが重要となります。 |
||
○ 本研究の目的 |
||
このようなことから、家庭分野の学習において、問題解決的な学習を積極的に取り入れ、その学習過程における手立てを工夫することで、よりよい生活を営む能力や実践的な態度を育成することにつなげていく必要があると考えます。また、学習内容としては、衣食住生活の中でも、生徒自身の興味・関心が低く、自分のこととして課題を捉えづらいと考えられる住生活の学習について取り上げ、その改善を図っていきたいと考えます。 そこで、本研究においては、住生活の学習において生徒自らが生活を営む上で生じる課題を発見し、その解決に向けて計画を立てて実践し、それを振り返ったり、これからの生活につなげたりするような学習を行うようにします。そうすることで、身近な生活の課題に対して自分なりの判断をし、進んで工夫し創造しながら生活をよりよくしようとする生徒を育成したいと考えました。 |
||
(3)研究方法 |
||
○ 文献調査及び先行研究の調査を通して、問題解決的な学習についての理論研究を行い、その進め方について探 ります。 ○ 安全で快適な住まい方を考える学習において問題解決的な学習を生かした授業実践を行い、その有効性を検証し ます。 |
||
(4)研究内容 |
||
○ 問題解決的な学習の進め方の提案 |
||
家庭分野の学習において、問題解決的な学習についての指導過程や手立てについて整理し、具体的に住生活の内容についての提案をします。 |
||
○ 問題解決的な学習を生かした住生活の授業の提案と検証 |
||
問題解決的な学習の計画と評価、改善の段階に、グループで検討したり、発表の機会を設けたりすることで、様々な考えに触れながら家族が快適に住まうための課題を解決していく授業の提案を行い、話合い活動を通して生徒の考えの変容について検証を行います。 |
||
|