生きて働く言語能力を育てる「国語科学習指導の具体策」を提案します!

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2 研究の実際
(1)佐賀県の生徒の実態
平成24年度 全国学力・学習状況調査の問題分析と指導法改善の手立て
平成24年4月に実施しました全国学力・学習状況調査の中で、これからの中学校国語科において求められている力やこれまでの調査において本県生徒に課題が見られた力を問うている調査問題を取り上げ、分析をしています。出題の趣旨や調査問題の具体的な内容、調査問題で問われている力やそれらの力を育むための指導について示していますので、これからの指導の参考にしてください。
↓調査問題はこちらから↓
     
中学3年生 国語A大問6二
学習指導要領に
おける領域・内容
C 読むこと(第1学年)
イ 文章の展開に即して内容をとらえ、目的や必要に応じて要約すること。
 
出題の趣旨
目的に応じて必要な情報を読み取ることができるかどうかをみます。
問題の内容
羊毛でできた衣類の洗濯の仕方について説明する文章を読み、文章の展開に即して内容を正確に理解することと、文章の内容に合った絵表示を選び、足りない情報を選択肢で選ぶ問題です。
この問題で求められている力
この問題では、文章の展開に即して内容を捉える力、目的に応じて必要な情報を読み取る力が求められています。ここでの情報とは、洗濯の仕方についての説明の文章と洗濯の絵表示を指します。つまり文章と図表とを適切に関連させて読み取る力が求められています。
指導法改善の手立て
説明的な文章は、中心となる部分とそれを支える付加的な部分、事実を述べた部分と意見を述べた部分などで構成されています。指導する際には、中心となる部分や重要な言葉が、文章全体の中でどのように位置付けられているのかを捉えさせることが考えられます。その際、主張と根拠、問いと答え、繰り返し出てくる言葉などに注意しながら、線を引くなどして、内容を正確に捉えるように指導すると有効です。本設問では、「押すように手洗いするなど優しく扱うことが大切」「水の温度を途中で変えることも厳禁」「中性洗剤を使い三十度程度のぬるま湯で洗うのがよい」に線を引くと、絵表示の内容に加える情報が自ずと分かってくるはずです。このように、文章を読む際には、中心となる部分や重要な言葉に線を引いたり、表にしてまとめるなどして整理したりすることで、より理解がしやすくなると思われます。
説明的な文章を読む際には、明確な目的をもち、自分にとって必要な内容を取捨選択しながら読み進めることが大切です。指導に当たっては、同じテーマを扱った本や文章などを読み比べるなどして、内容の理解に役立てるようにすることも効果的です。また、文章だけでなく、文章と図表の組み合わさった情報を読み取るような機会も設けたいものです。
 
中学3年生 国語B大問3二
学習指導要領に
おける領域・内容
C 読むこと(第1学年)
ウ 文章の中心の部分と付加的な部分、事実と意見などを読み分けて、文章の構成や展開を正確にとらえ、内容の理解に役立てること。
 
出題の趣旨
物語の場面の展開を捉えることができるかどうかをみます。
問題の内容
物語の場面の展開を捉えて読み、物語に書かれている季節を選択肢の中から全て選ぶ問題です。
 
この問題で求められている力
この問題では、物語の展開や表現の特徴を捉える力、物語の場面の展開を捉える力、物語の内容や登場人物の言動の意味などを捉え、自分の考えを書くことが求められています。「二ひきの蛙」を読んで、物語の展開や表現の特徴を捉えることと、物語の内容や登場人物の言動の意味などを捉え、朗読の仕方の工夫を考えて書くことを求めている問題です。
 
指導法改善の手立て
文学的な文章を読むためには、言葉を手掛かりにしながら文脈をたどり、視点を定めて読むことが必要であり、そのことによって深い理解や感動が得られます。指導する際には、文章の中の時間的、空間的な場面の展開、登場人物の心情や行動、情景描写などに注意して読み進めさせることが考えられます。本設問では、「もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました」「寒い冬がやってきました」「春がめぐってきました」「もう春だぞ」「春になったか」に線を引くことで、時間的な展開が視覚的に理解できるはずです。このように、文学的な文章においても、言葉を手掛かりにしたり重要な言葉に線を引いたりしながら読むことで、より理解が深まるものと思われます。
文学的な文章を主体的に読むためには、目的をもつことが大切です。例えば、朗読するという目的をもって文章を読むことで、場面の展開や表現の特徴などを主体的に捉えることができるようになります。同様に、小学生に読み聞かせをする、友だちに作品のよさを紹介する、作品の続きを創作するなどの言語活動も、中学生が目的をもって文学的な文章を読む上で有効です。
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