学校におけるソーシャルスキル・トレーニングの進め方を提案します!

3 研究のまとめ

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(1) 第1年次における研究の成果

 ソーシャルスキルに関するアンケート
 ソーシャルスキルに関するアンケートを実施した結果、佐賀県内の小・中・高等学校における児童生徒のソーシャルスキルに関する実態を明らかにすることができました。
  小学校低・中・高学年で最も高いのは「E仲間の入り方」と「Fあたたかい言葉かけ」です。遊びを通して社会性を身に付けていく小学生は、集団活動に対して主体的にかかわろうとしているとことと、高学年では、自分から行動することと、友達の気持ちを考えて行動することが、同時に表れます。
 
中学校1年・高等学校1年でも最も高いのは「Fあたたかい言葉かけ」です。相手の気持ちに配慮しながら、安定した人間関係を維持していると考えられます。
  次に、すべての校種において低かったのが、「相手に今質問してよいかどうか尋ねてから質問する」でした。日常生活の中で相手の状況を考えずに質問している児童生徒の姿がうかがえました。
   
 アンケート結果を基にした基本スキルの選択方法
 
スキルを選択する上で気を付けることは、多くの児童生徒ができていないスキルを選択しないことです。学級内に優れたモデルとなり得る児童生徒がいることで、スキルの獲得が促されます。このことから、以下のような選択方法を考えました。
  【アンケート結果を基にした基本スキルの選択方法】
  ・ 児童生徒のアンケート結果で「できていない」と回答している割合が10%〜20% の基本スキル
  ・ 教師のアンケート結果で「6割程度の児童生徒ができている」と回答している割合が最も高い基本スキル
   
 活動プログラム作成のための基本スキルの選択
   【アンケート結果を基にした基本スキルの選択方法】を使って、校種別の基本スキルを以下のように選択しました。
  ・小学校低学年……「A自己紹介」「G気持ちをわかって働きかける」
  ・小学校中学年……「A自己紹介」「G気持ちをわかって働きかける」「Hやさしい頼み方」
  ・小学校高学年……「B上手な聴き方」「D仲間の誘い方」「Hやさしい頼み方」「Kトラブルの解決策を考える」
  ・中学校……………「@あいさつ」「G気持ちをわかって働きかける」「Hやさしい頼み方」「Kトラブルの解決策を
              考える」
  ・高等学校…………「B上手な聴き方」「D仲間の誘い方」「Hやさしい頼み方」「Kトラブルの解決策を考える」
   
   基本スキルの関連図とソーシャルスキル・トレーニングの活動プログラムのモデル
  小学校から高等学校までの発達の段階に応じて、基本スキルを相互に関連させながら取り組むことが望ましいと考え、関連図を作成しました。
  活動プログラムのモデルについては、児童生徒の実態把握やスキルの選択などの事前の取り組みから、定着化を図る事後の取り組みまでを基本的な流れとして提案しました。
 

(2) 第2年次の研究の方向性

  基本スキルの関連図から、他の基本スキルを学習することで、身に付いていない基本スキルも身に付けることができる可能性があると考えられます。授業実践を通して、その可能性を探ります。
  校種別に選択した活動プログラムを作成し、授業実践を通して、その有効性を探ります。

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