「食べる」ことから考えよう!−生徒自身が気付き、考える場面を重視した「食」の授業づくりの提案−

4 授業に役立つ教材・資料の提案

(1) ホームプロジェクトを有効に進めるワークシートの活用(主体的な問題解決的な学習のために)

  ホームプロジェクトは、新学習指導要領でも一層充実すべき項目として位置付けられていますが、その意義や活動方法について十分な説明をする時間がない、問題発見から活動のまとめまでのプロセスについて的確なアドバイスをすることが難しいなどの問題点があります。そこで、これらの問題を解決する一助となればと思い、生徒用のガイドブックを作成しました。ホームプロジェクトに代表されるような主体的な問題解決的な学習を始めるに当たっては、学習のはじめに、次の4点について生徒に十分説明し、理解させておくことが大切です。
 ◆結果よりもプロセス(過程)を大切にする
 ◆意義と方法を十分に理解させる
 ◆プロセスごとの自己評価を重視する
 ◆この学習の方法が他の学習にもつながることを知らせる
 
 (ア) マインドマップとポートフォリオを使った、ホームプロジェクトの実践のためのガイドです。 
  ホームプロジェクトは、生徒自身が自分の家庭生活を見つめ、その生活向上を目指して主体的に活動する問題解決的な学習です。「See」「Plan」「Do」「See」の過程を通し、家庭科で学習した内容を実践することで、習得した知識や技術を実際に生活を充実・向上させる力にすることをねらいとしたもので、家庭科における実践的・体験的学習の中心となっている学習方法です。

家庭科を学習するほとんどの学校で、夏休みの宿題として提示されますが、「See」(問題発見)の場面で、しっかりとした問題意識をもって臨まなければ充実した研究にはならず、情報収集のみで終わってしてしまうことも多いのが問題点です。

そこで、このガイドでは、自分や家族のことをじっくりと考えながら問題発見ができるよう、マインドマップの手法を使った取り組みを提案しています。また、ホームプロジェクトを一つの研究としてまとめ上げるために、ポートフォリオを取り入れ、実践を記録することも重視しています。このガイドにしたがって研究を進めていけば、最終的に2冊のファイルが完成することになります。研究を終えて、提出用ファイルを作成することで、研究内容を振り返り、自分の中で整理することができます。

生徒が「自分で進めることができた!」という満足感を味わえるよう、また、研究の過程やまとめがしっかりとしたものになるよう、工夫しました。

 
 (イ) ガイドの内容を説明します(全12シートで構成しています) 
表紙は、一部を切り取り、提出用ファイルの表紙となります。
最初に、このガイドの使い方とマインドマップ、ポートフォリオの方法について説明しています。
ホームプロジェクトとは何か、その意義と進め方についてしっかりと理解したうえで研究に入ります。
マインドマップを使って、自分自身について振り返ります。毎回のシートで自己評価をします。
マインドマップ2回目。自分だけでなく、家族について深く掘り下げ、問題発見へとつなげます。
マインドマップで見えてきたことを整理し、問題点を明確にします。
活動を充実したものにするために、計画を立てます。研究の流れを示し、計画を立てやすくします。
活動記録@
実態調査を行います。調査内容を記録し自己評価で終わります。
活動記録A
実態調査から見えてきた問題点と改善点を考えます。
活動記録B
活動内容の記録をとります。小さなことまで記録し、評価と改善をします。
活動記録C
評価と改善点を基に、更なる研究活動を行います。
家族の評価も受けながら、研究のまとめをします。また、これまでの資料を整理し、ファイリングします。
 

(2) 特別活動との連携を図る「生活時間の記録」カードの提案

 
 (ア) 生活時間と食事・体調の記録をし、バランスのよい生活を送らせるための取り組み 
「生活と食事の記録をしよう」ワークシート

新学習指導要領では、食育の推進について、家庭科・保健体育科・特別活動で取り組むよう明言されています。そこで、食育の視点から考えた特別活動の取り組みについて提案したいと思います。今回提案するのは、「生活と食事の記録をしよう」という取り組みです。高校1年生に、高校生としてふさわしい生活時間を確立させるために、また、試験前の効果的な学習計画を立てさせるためになど、従来使われているシートをアレンジしました。

ポイントは、食生活チェックカレンダーの要素を盛り込み、3回の食事と間食の摂取状況、毎日の体調を記入させるようにしたことです。このシートを使うことにより、次のような効果が期待できると考えます。

@生活時間を振り返ることで、効果的な時間の使い方が身に付きます。

A食事と体調管理についてチェックすることで、食事の大切さに気付くこと
   ができます。

   継続することで、食生活に対する関心も高めることができます。

 

家庭科でも、LHRでも使ってほしい、「食育ビンゴ」「食生活チェックカレンダー」

(授業実践のページでも紹介しています。使い方は、授業実践のページに掲載しています。)

     

 


Copyright(C) 2009 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.
最終更新日: 2010-03-23