国語科授業の「あったらいいな!」を形にします。

国語科の授業を支えるアイディア集

  授業づくりの視点と基本構想に基づき、教科書の実施予定時期を先取りして授業モデルの提案を行いました。さらに、授業モデルに沿って提案している授業展開案については実際に授業を行って検証しています。具体的な単元構想やワークシート等の資料については授業展開案のページで確認してください。また、検証結果については、同じページに指導の実際(PDF資料)として詳細を公開していますので合わせてご覧ください。提案した授業展開案は、生徒の実態や担当の先生のねらいによって様々なアレンジが可能です。ここでは、授業展開案を実践する際のヒントとなる、授業の中で有効だった学習活動や便利だった教材・教具について紹介します。
 授業展開案の中で提案している学習活動は、生徒の実態に応じてアレンジが可能です。具体的な学習活動がイメージできなかった部分は、このページを参考にしてみてください。
 
内       容
リンク先
○文章の比較の仕方を学ぶ場面
 〜付せんを使って分類する学習活動〜
◆比較の視点を視覚的にとらえさせ、比較の仕方を学ばせるために、色と形の違う付せんと分類枠を書き入れた台紙を用意し、共通点と相違点を手掛かりにして分類させる活動を行いました。
   
◇付せんを比較、分類する作業を実際に行うことによって、生徒は比較する際の、何を見て(視点)、どう分けるか(観点)を理解することができました。これを文章の比べ読みに関連付けると、比較の観点と視点がどういうものかを認識することができるため、生徒に何のために比べ読みをするのかを理解させるのに有効でした。
授業展開案1
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授業のアイディア 1
○比べ読みをする場面 
  〜視点を明確にして色分けする学習活動〜
◆比べる箇所(例:同じ内容を書いてあるところ)ごとに同じ色のマーカー(蛍光ペン)で色付けをさせ、同じ色の部分の書き方の違いを対比させることで、どのように違うのかを考えさせる活動を行いました。
   
◇色分けをすることによってどことどこを比べたらよいのかが視覚的に分かりやすくなるので、特に、比べ読みに慣れていない生徒にとっては、有効な手立てであったと思います。「構成」、「意見(主張)の述べ方」、「根拠の示し方」等、学び取らせたいことを焦点化して比べ読みをさせるときに有効であると思います。
授業展開案1
( 1/8)
教材3
ワークシート@
○要旨をまとめる場面
 〜スモールステップで進める学習活動〜
◆説明的な文章を読んで、その要旨をまとめる際に、スモールステップを意識したワークシートを作成して、
@ 書かれている情報を「事実」と「意見」とに分
  けて抜き出す。
A 抜き出した情報を目的や必要に応じて整理
  し、「事実」と「意見」のそれぞれに要約する。
B 二つの要約文を合わせて全体の要旨をまと
  める。
という3つのステップで 活動を進めました。
   
◇スモールステップによって活動を細分化することで、段階ごとに「何をしなくてはいけないか」ということが明確になり、生徒は自信をもって学習に臨むことができていました。また、ステップが明確なので、生徒自身が「今どこまでできているか?」ということや「どこが分からないのか?」ということにも気付きやすく、教師も具体的な指導が行いやすいというメリットがあることも分かりました。文章全体の要旨をまとめるときのまとめ方の道筋を生徒に理解させるのにも有効でした。
授業展開案2
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ワークシートA
ワークシート
B

ワークシート
C

ワークシート
D
○キャッチコピーを考える場面
 〜具体例を使って確認する学習活動〜
◆人物紹介パンフレットを作成する学習で、キャッチコピーを考える場面において、キャッチコピーがどのようなものかということを具体的にイメージできない生徒のために、身近にある実際のキャッチコピーを、作り方の種類ごとに分類して提示することにより、理解させました。
   
◇身近にある実際のキャッチコピーを具体例として取り上げて確認することで、その後の学習活動に必要なキャッチコピーの作り方を適切に指導することができました。限られた字数の中で伝えたい内容を効果的に書くために必要な表現技法等の表現の工夫を確認するのにも有効でした。
授業展開案4
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授業のアイディア 2
○描写から人物像に迫る場面
 〜物語の空白部分を考える学習活動〜
◆描写から人物像に迫らせる際に、物語の空白部分を考えさせ、その根拠となる描写や表現を探させる活動に取り組みました。はじめに、主な登場人物ごとに物語の流れに沿って、出来事や登場人物の言動を時系列でまとめる学習活動を行い、物語には描かれていない部分に気付かせます。その際、右のようなワークシートを使うことで、物語に書かれていない部分を視覚的にとらえさせました。(右のワークシートの赤丸の部分が空白部分です。)
   
◇登場人物ごとの言動に着目しながら、物語を時系列にまとめる活動を1枚のワークシートを使って行うことによって、生徒は物語には書かれていない空白部分があることに容易に気付くことができていました。その空白部分を想像しながら埋めていく過程で、その根拠となる登場人物の心情や情景等の描写を考えながら読む活動は、物語の筋立てをとらえさせるのに有効であるとともに、描写に注意して読むことを意識付けることができました。
なお、この学習活動については、井上一郎著『ことばが生まれる−伝え合う力を高める表現単元の授業の作り方−』2002、明治図書の中に紹介されている方法を参考にしています。
授業展開案5
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ワークシートB
○学習の見通しをもたせる場面
 〜学習計画・スモールステップの確認表〜
◆単元の導入時に単元全体の学習計画を見通させ、毎時間の始めにその時間の学習活動を確認させるために右のような表を用いました。その際、スモールステップによる学習活動が確認できる欄(右の表の赤で囲んだ部分)を設けて、その下に毎時間ごとの学習の振り返りを記入させるようにしました。
   
◇時間ごとに、その時間の学習の見通しと授業の振り返りを書き込ませることで、生徒は本時の学習において、自分が身に付けた知識や技能の確認をすることができました。また、「今、自分が単元の学習過程のどの段階にいるのか」ということや、「これから、何をすればいいのか」ということを、生徒自身に見通させるのに有効でした。また、単元の終了段階で、本単元の学習を振り返らせる際にも有効に活用できると考えています。
授業展開案2
授業展開案5
○単元の学習に必要な力を確認する場面
 〜予習課題としての学習プリントの活用〜
◆これから取り組む単元の学習活動に必要な既習の知識や技能がどの程度身に付いているかを生徒自身に確認させるために、本単元の学習に入る前に、本研究で作成した学習プリントを予習課題として配布し、取り組ませました。
  検証授業では、説明的な文章の読み取りの中で要約をさせる場面を設定している場合に、段落の要点をまとめさせる学習プリントに事前に取り組ませ、要約する際の留意点や手順をあらかじめ予習させました。
   
◇予習課題として、事前に学習プリントに取り組むことで、生徒はこれから取り組む単元における学習活動の予行演習をすることができ、その際の留意点や手順なども確認することができました。
  検証授業では、例えば、要約をする前に段落の要点をまとめる学習プリントに取り組むことで、段落ごとの中心文(キーセンテンス)を手掛かりに要約する方法を事前に確認することができました。このことによって、生徒は授業の中での学習活動に自信をもって取り組むことができていました。本研究で作成した手引き等の補助資料の活用の仕方を知らせるのにも有効でした。事前に学習に必要と思われるレディネスを確かめ、必要に応じて補充しておくことで、単元で意図している言語活動への取り組みがスムーズになり、また、充実を図ることができると考えています。
授業展開案2
○相互評価や意見の交流をする場面
 〜作品展示の工夫〜
◆相互評価や意見の交流を行わせる際、支柱にクリップや洗濯ばさみなどの留め具を取り付けた作品展示のための道具を作成して、パンフレットなど、表(おもて)も裏も見せたいような作品を展示する時や、必要に応じて貼り替えを行なうことが必要なときに使いました。
   
◇「人物紹介パンフレット」で作品を相互評価し、意見の交流を行わせる際、表も裏も自由に見ることができ、場所を分けて展示することも可能なので、生徒が同時に多くの作品を見たり読んだりすることができました。また、作品の移動や貼り替えが簡単にできるため、グループごとの展示や、紹介した登場人物ごとの展示など、評価活動の意図に応じて、いろいろな展示の仕方が可能でした。
  この展示方法を用いることで、限られた時間の中で、他者の作品に触れ、相互評価したり、作品を通しての意見交流に取り組ませたりすることが可能となり、効果的に時間を使うことができました。
授業のアイディア3
 
 
 

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最終更新日: 2010-03-17