平成21年度 「全国学力・学習状況調査」の結果とこれからの指導に向けて
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■平成21年4月21日に実施された「全国学力・学習状況調査」の結果が8月末に文部科学省から提供されました。その結果を基に、本県の結果とこれからの指導についてお知らせします。
調査は、教科に関する調査(国語・算数)と質問紙調査(生徒質問紙と学校質問紙)で構成されています。また、教科に関する調査は、主として知識に関するA問題と、主として活用に関するB問題から構成されています。ここでは、主に教科に関する調査の結果について紹介します。 |
平成21年「全国学力・学習状況調査」の小学校国語(6年生)の調査結果について |
A問題(主として知識に関する問題)の佐賀県・全国の平均正答率 |
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平成21年度 |
平成20年度 |
佐賀県 |
全国 |
全国との比 |
佐賀県 |
全国 |
全国との比 |
話すこと・聞くこと |
64.4 |
68.0 |
0.95 |
75.3 |
76.1 |
0.99 |
書くこと |
85.7 |
85.4 |
1.00 |
51.6 |
53.3 |
0.97 |
読むこと |
66.4 |
68.7 |
0.97 |
43.1 |
44.5 |
0.97 |
言語事項 |
63.0 |
64.2 |
0.98 |
65.5 |
65.2 |
1.00 |
※「全国との比」とは、佐賀県全体の平均を全国平均(=1.0)と比較してみたものです。小数第三位を四捨五入しています。 |
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■平均正答率の傾向は全国と同様で、「書くこと」は85%を超え、他の領域は65%前後となりました。
■A問題の「書くこと」は全国平均をわずかに上回りました。他の領域は全国平均を下回りました。 |
B問題(主として活用に関する問題)の佐賀県・全国の平均正答率 |
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平成21年度 |
平成20年度 |
佐賀県 |
全国 |
全国との比 |
佐賀県 |
全国 |
全国との比 |
話すこと・聞くこと |
60.4 |
61.3 |
0.99 |
73.5 |
73.0 |
1.01 |
書くこと |
12.6 |
14.5 |
0.87 |
47.0 |
49.1 |
0.96 |
読むこと |
54.8 |
56.5 |
0.97 |
43.9 |
48.3 |
0.91 |
言語事項 |
57.6 |
59.7 |
0.96 |
― |
― |
― |
※「全国との比」とは、佐賀県全体の平均を全国平均(=1.0)と比較してみたものです。小数第三位を四捨五入しています。 |
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■平均正答率の傾向は全国と同様であるが、全国平均を下回る結果となりました。
■無解答率において、10問中9問が全国の無解答率よりも良好な数値が出ています。また、記述式解答形式における問題の無解答率も、平成20年度の数値よりもすべて良好な結果となっています。 |
良好な結果の設問及び課題の残る設問 |
良好 |
A問題 |
漢字を正しく読む・正しく書く |
6問中5問が全国平均と同等もしくは上回っています。 |
A問題 |
実験報告文の小見出しを選択する |
3問の平均正答率の平均が90%を上回っています。 |
B問題 |
話し手の立場や意図をとらえて聞く |
75%の平均正答率で、無解答率も2%です。 |
B問題 |
目的や意図が伝わるように必要な情報を取り出す |
87%の平均正答率で、全国平均を上回っています。 |
課題 |
A問題 |
ローマ字で書く・ローマ字を読む |
全国平均を大きく下回り、無解答率も高くなっています。 |
A問題 |
接続語を使って一文を二文に分けて書く |
12%の平均正答率で、無解答率も30%を超えています。 |
A問題 |
文学的な文章の表現の工夫をとらえる |
56%の平均正答率(全国平均59%)です。 |
A問題 |
毛筆の下書きについて書き直す内容を書く |
25%の平均正答率(全国平均29%)です。 |
B問題 |
報告文を読み、メモの中に調べた内容の1つめを書く |
9.8%の平均正答率と低く、20%弱は無解答です。 |
B問題 |
報告文のまとめとして、調べて分かったことを書く |
15%の平均正答率で、全国平均も17%と大変難しい問題となりました。 |
B問題 |
「そうじや整とんによく取り組んでいる」とする立場から自分の考えを発表する |
25%の平均正答率で、無解答率も10%を超えています。 |
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分析結果から考えられる指導の工夫 |
ローマ字の読み・書き
■書き方や読み方の指導を国語の時間(実質6時間)に行い、そのほかの時間や身近な生活の中で、ローマ字を使う機会を意図的に仕組むことが大切です。パソコンの文字入力が主に考えられますが、日記の題名をローマ字で書かせたり、社会科で出てくる地名等を黒板に書く際にローマ字で書き、それを読ませたりするなどのさまざまな場での工夫が考えられます。このようなことを繰り返しながらローマ字に触れさせる機会を数多く設定できるようにしましょう。
一文を二文にする
■一文を二文にするには、文の役割(主述の関係)や構造(単文・重文・複文)を理解しておく必要があります。さらに、長い文よりも、主語述語が明確である短い文に分けることのよさを実感させるようなことを、「話す・聞く」や「書く」の学習において行っていく必要があります。また、接続詞の指導と並行して、一文を二文に、または二文を一文にするような学習も機会をとらえて行う必要があります。
司会の役割や働き
■司会の役割や働きについての基礎的・基本的な知識・技能は、指導の初期段階で司会進行のマニュアル等を参考にさせながらを身に付けさせる必要があります。また、学級全体での話し合いに限らず、グループ等での話し合いの際にも常に司会を立てて話し合うようにさせることで、数多く経験させるような機会を増やしていくことが大切です。
メモの利用
■メモには、取材したことを記録するメモや、作文やスピーチの構成を組み立てるためのメモなど目的に応じた使い方があり、目的に応じたメモの書き方や使い方を丁寧に指導する必要があります。さらに、作文をする機会やスピーチなどをする機会ごとにメモを使うように繰り返し指導し、利便性や必然性を児童に実感させるとともにその技能を定着させるようにしていきましょう。
表現の工夫
■表現の工夫をとらえるためには、その学年で学ぶ文章の種類(文学的な文章や説明的な文章)に応じた表現の工夫を確実に取り上げ、知識として学ばせる必要があります。さらに、その表現の工夫を使って表現することで、そのよさについて実感させるようにしたい。○○表現を集めたり整理したりして、語いの広がりや深まりにつなげていく活動なども有効です。実際に行っている学校・学級も多く、発達段階に合わせた工夫もさまざま考えられるところです。
表現の工夫だけに限りませんが、指導する内容は指導者の教材分析において意識されるものです。教材研究によってどのような表現の工夫があり、どのように取り上げていくのかを教師自身が明らかにしておく必要があります。「○○の力を付けさせるために、この教材(作品)のどこをどう学ばせる。」という意識をもって指導の工夫につなげていくことが大切です。
説明文の読み取り
■説明的文章の読み取りにかかわる「要点をとらえる」や「要約を行う」などは、日ごろから授業の中で行われていますが、児童にとってその必要性が薄く、定着していないと思われます。言語活動を通して要点をとらえたり要約したりする必然性をもたせながら定着を図る必要があります。例えば、「新聞にまとめる」という言語活動を通して、記事の見出しを書くために要点にまとめる力を使ったり、調べてきたことを限られたスペースに縮めるために要約する力を使ったりすることが考えられます。
A問題[言語事項]が良好な結果だったことについて
漢字を正しく読んだり、正しく書いたりする力は着実に身に付いています。授業での丁寧な指導や漢字の小テストなどの繰り返しの指導、さらに、家庭での反復練習の成果が表れていると考えています。
B問題の無答率が改善されていることについて
■B問題の無解答率において、10問中9問が全国の無解答率よりも良好な数値が出ています。また、記述式解答形式における問題の無解答率も、20年度の数値よりもすべて良好な結果となっています。このことは、教師が、日ごろの授業の中で意識して、自分の考えなどを記述させる機会を多く設けていることと、それによって子どもたちの書こうとする意欲や書く力が増していることが考えられます。
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以上のように分析及び考察を行いました。
詳細な結果や指導のアイディアをご希望の方は下記のリンクをご参照ください。
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■ 調査結果の詳細は〜佐賀県教育委員会Webページ http://www.pref.saga.lg.jp/web/_29984.html
■ 平成21年度全国学力・学習状況調査結果を踏まえた実践アイディア集〜国立教育政策研究所Webページ
http://www.nier.go.jp/09jugyourei/09_shou_jugyourei.pdf |
こちらのホームページでも学習プリントを用意しています。 |

定期的に学習プリントをアップロードしています。どうぞご覧ください! |
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