これからの国語科学習指導について提案します!!

1 研究の概要

(1) 研究テーマ

活用力に培う国語科学習の在り方

−言語活動の充実を通して−

(2) 研究の趣旨
新学習指導要領から
 
平成20年3月に示された新学習指導要領では、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」と「思考力・判断力・表現力等の重視」がポイントとされ、基礎的・基本的な知識・技能を身に付け、それらを活用する学習を通して思考力・判断力・表現力等をはぐくむことがねらいとされています。更に、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」それぞれの領域の内容に、言語活動例が具体的に位置付けられ、知識・技能を活用する言語活動の充実が重視されています。
全国学力・学習状況調査および佐賀県小・中学校学習状況調査の結果から 平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査で、「活用」に関するB問題についての正答率の低さが全国的に話題となりました。佐賀県の小学校においても同様に、B問題に課題がみられました。また、A問題においても正答率が全国平均を下回る問題が、半数近くあり、知識・技能の定着にも課題があると考えられます。
平成20年度佐賀県小・中学校学習状況調査においては、「読むこと」「書くこと」領域において課題があり、特に以下の項目についての正答率が低いという結果でした。          
必要な情報を取り出し整理すること
文章の展開や組み立てを論理的にとらえて評価すること
登場人物の心情などを想像的に読み取り、言葉や叙述を根拠にしながら内容を整理すること


また,知識・技能が身に付いていても、それを活用することが十分でないという傾向もみられました。

「活用力に培う国語科学習」とは 本研究では、「習得した知識・技能を条件に応じて使う力」を「活用力」ととらえ、その育成を目指すことで、知識・技能のより確実な定着を図るとともに、知識・技能を条件に応じて使うための思考力・判断力・表現力をはぐくむことができるのではないかと考えました。このことを「活用力に培う」と定義し、小・中学校の国語科授業における学習の在り方についての研究を進めることとしました。 児童は、習得した知識・技能を意識して活用する経験を繰り返していくことで、自分が習得した力を実感し、定着させていくものと考えます。さらに、習得した知識・技能を条件に応じて使う活動を通して、「思考力・判断力・表現力の育成」が図られると考えます。
言語活動の充実とは 身に付けさせたい力を明確にすることはもちろん、実生活の中で言語を活用する能力を身に付けさせるために、児童の言語生活を想定した言語活動を設定することを重要視したいと考えました。そのために、日常生活の場面を想定して、学習内容の系統性に配慮しながら研究を進めるとともに、目的や相手、自分の立場といった条件等を明らかにした言語活動の工夫を通して、児童が知識・技能の定着と活用について意識しながら学ぶ国語科学習の在り方を探りたいと考えます。
(3) 研究内容と方法
身に付けておくべき知識・技能の明確化
 
新学習指導要領の指導事項を基に、児童が身に付けておくべき基礎的・基本的な知識・技能を明らかにし、それらの習得を目指した教材やワークシート・手引き等の開発を行っていきます。
新学習指導要領の「読むこと」の指導事項を中心に、児童の発達段階に応じて、身に付けておくべき基礎的・基本的な知識・技能を明らかにしていきます。
身に付けておくべき基礎的・基本的な知識・技能を習得させるための教材やワークシート(プリント集)の開発を行います。
児童自らがもっている力に応じて学習を進められるように、文学的な文章や説明的な文章の読み方を習熟の状態に応じて使えるような手引き(使い方マニュアル)の作成を行います。
活用力を育成する教材やワークシート
 
知識・技能は、活用しながら定着していくものです。そこで、児童の実態を踏まえ、適切な言語活動を通して、知識・技能を条件に応じて使う力 (活用力)を生かすことができる活用力を問うプリント等を作成していきます。
活用力に培う授業づくり
 
知識・技能の定着や思考力・判断力・表現力の育成を図るために、身に付けた力を効果的に活用させる言語活動を取り入れた授業実践を行い、その結果を踏まえ、授業モデルを示し、授業づくりのための教師向けの手引きを提案します。
身に付けている知識・技能や単元の中で身に付いた力を、効果的に活用させる言語活動を取り入れた授業実践を行います。
授業実践の結果を分析し、身に付けた力を効果的に活用させるための授業モデルを提案します。
知識・技能を効果的に活用させ、思考力・判断力・表現力を育成することのできる、言語活動の取り入れ方や授業づくりの視点などを、教師用の手引きとして提案します。

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最終更新日: 2010-03-09