これまでのテストとの比較
採点の基準による比較
生徒の難しさを的確に把握するには,どのような基準で採点すればよいかを検討するために,採点の基準によって標準偏差及び平均点が,どのように変化するかを比較した。その結果,以下のようになった。
  • 「基準@」とは,どの問題においても,誤字脱字があった場合は正答としないもの
  • 「基準A」とは,問題文に「漢字で書きなさい」「抜き出しなさい」というような条件があった場合にのみ,誤字脱字を認めないもの
  • 「基準B」とは,その問題が評価する観点に従って評価したもので,漢字の書き取り以外の誤字脱字を認めたもの
  • 「基準C」とは,その問題が評価する観点に従って部分点を与えたもの
図2から・・・
  • 標準偏差については,基準@から基準Cと変化していくに従って値が小さくなっている。
  • 平均点については,基準@から基準Cへと変化していくに従って値が大きくなっている。
  • 標準偏差,平均点共に,基準Aと基準Bの間でもっとも差が大きく,基準Bと基準Cの間ではほとんど差がない。
                   
  • 一つの問題を評価するに当たり,複数の採点基準があることで,その問題が評価しようとする観点以外の観点についても評価の基準となってしまうことが予測される。
    (例)「読むこと」「書くこと」の問題での漢字間違い
       抜き出しの際の脱字   など
  • 本来その問題が見ようとする観点以外の部分で難しさがある場合,その問題が見ようとする観点が正しくても誤答となってしまうことがあると思われる。
中間テスト及び課題テストとの比較
学年集団として,今回の期末テストが取り組みやすいものとなったかどうかを見るために,標準偏差及び平均点を,中間テスト及び課題テストと比較した。その結果,以下のようになった。

図1−1から・・・
  • 国語と社会は,課題テストや中間テストと比べて,今回の期末テストは平均点が高く,テストにおける通過率が高くなっている。
  • 理科の平均点は,期末テストが最も高く,中間テストが最も低い。
  • 数学と英語の平均点は,中間テストが最も高く,課題テストが最も低い。                    
                
  • 平均点の変化の傾向に,共通点は見られなかった。

図1−2から・・・
  • 国語と理科の標準偏差の変動の幅は2.5以上で,変動が大きい。
  • 数学,社会,英語の標準偏差の変動の幅は1.5以内で,ほぼ横ばい状態である。
  • 国語の標準偏差だけが,課題テストや中間テストと比べて,今回の期末テストは標準偏差の値が小さく,集団の偏りが小さくなっている。
  • 理科の標準偏差は,課題テストや中間テストと比べて,今回の期末テストは標準偏差の値が大きく,集団の偏りが大きくなっている。               
                 
  • 国語の期末テストの標準偏差の値が特に小さく,他教科及び他テストと比べて,集団の偏りが小さいことが分かる。


図1−3から・・・
  • 課題テストと中間テストの平均点の差が6.2,標準偏差の差が1.0であるのに対し,中間テストと期末テストの平均点の差が1.5,標準偏差の差が2.2であった。 


これらのことから・・・
  • 国語の期末テストは,学年集団にとって,他教科及び国語の他のテストとは異なる傾向のテストとなっていたことが分かる。
  • 国語の期末テストは,他教科及び国語の他のテストと比べて,どちらかというと好ましい結果を得られた生徒が多かったことが考えられる。