実態

対象児の概要
読む 書く
 
  • 平仮名,片仮名は読むことができる。ただ,促音や拗音などが混ざるとたどたどしさがある。漢字については,学年相応の漢字を読むことができる。
 
  • 平仮名と片仮名は書くことができる。また,2年生程度の漢字も書くことができる。ただ,字のバランスが悪く,字が複雑になると形がとれなかったり,あいまいな表記になったりすることが多い。
話す

行動面

 
  • どちらかというと無口。慣れてくると話をするが,話している途中でも,言うことを止めてしまうことが多い。受け答えも,2,3語程度の短い言葉での応答が多い。
 
  • 引っ込み思案。自分から進んで友達や大人とかかわることは少ない。失敗を恐れることが多く,初めてのことや不確かなことなどは取り掛かろうとしない。現在,保健室登校。
心理検査から LD等のチェックリスト
佐賀県教育センターHP
  • WISC-Vの「単語」の評価点が低いことから,ある言葉の意味を違う言葉を使って説明することが苦手であると考えられる。そのため,日常生活においても,考えていることを言葉としてまとめて話す際に苦労していると思われる。
  • WISC-Vの「符号」の評価点が低いことから,指示された記号を瞬時に覚え(視覚的短期記憶),それを書き表していくことが苦手であると考えられる。そのため,黒板の字や漢字の書き取りなど手本を見ながら書く作業において苦労していると考えられる。
  • WISC-Vの「積木」の評価点が低いことから,抽象的な図柄の全体を部分に分解して,それを思い描く形に再現することが苦手であると考えられる。そのため,文字を書く際に,それぞれの形をバランスよく書いたり,覚えておいたものを書き表したりする際に苦労していると考えられる。
  • WISC-Vの「記号探し」の評価点が高いことから,抽象的な記号の弁別はできていると思われる。そのため,文字を読むことにおいては,あまり苦労することはないようである。
  • WISC-Vの「絵画配列」の評価点が高いことから,結果を予想したり,時間的な順序性を考えたりすることは得意なことと考えられる。そのため,仕方や方法がはっきりしている活動や見通しが持てる活動では安心して取り組めると思われる。その反面,結果や他者からの評価を考え過ぎてしまい,不安感が多い面も持ち合わせていると考えられる。

  • 書くことに対しては,著しい困り感がある。また,話すことについても困り感を抱いているため,それが,学校生活へ影響を及ぼしていると考える。


対象児が抱えている学習上の悩み
 
  • 事例の概要より,書くことや話すことに苦手さを持っていることが伺える。特に,書くことについては,抽象的な記号の記憶やその操作,空間的な位置の把握において能力に低さが見られる。そのため,文字を書くことに対して非常に苦労しているのが分かる。その苦労が積み重なり,学習に対する意欲が低下しており,また,自己に対しても劣等感を感じているものと考える。
支援の方向性
 
  • 漢字の習得。書くことよりも似た漢字を見分けることに重点を置き,読める漢字を増やす。
  • 自分の思いや考えを表現する。(パソコンの活用,1対1での対話型学習)