絵巻物の魅力

 
 絵巻物の魅力は何と言っても次々に変化する場面です。
その
絵巻物の概念について1分で紹介します



絵巻物とは何か?

「絵画」と「文学」のコラボレーションが生み出した総合芸術


 絵巻物は昔は「絵物語」や「物語絵」と呼ばれていました。ここで使われている「物語」という語句は,「文学」を指していると解釈できます 。言うなれば,絵巻物は「絵画」と「文学」のコラボレーションが生み出した総合芸術なのです。両者は絵巻物において,「物語(ストーリー)」を表現するための構成要素として,互いを補い合う不可分の関係にあります。






なぜ平安時代に絵巻物が誕生したのでしょうか?


絵巻物の発達ステップ

@ 「ひらがな」の発明が契機となる



 
中国から伝わった巻子は,日本で絵巻物として見事な発達を遂げました。その理由として,平安時代の「ひらがな」の発明が挙げられます。その結果,「源氏物語」などの,日本人の心情を自由に書き表した多くの文学作品が生み出されることになり,絵巻物として表現する主題としての「物語」が充実するのです。


A 「巻子(ハード)」+「物語(ソフト)」→「絵巻物」



 
物語(ストーリー)は必然的に時間の経過が取り込まれており,巻子は巻き取りながら鑑賞することで,時間の推移を表すことができるという特性をもっています。つまり,「巻子」というハードと「物語」というソフトが出会うことによって始めて絵巻物が発達したのです。平安時代に質の高いソフトが供給されるようになったことでコンテンツが充実し,多くの絵巻物が制作されました。また,絵巻物においては画面が右から左へと展開していきますが,これは日本語表記の流れに沿った結果であると思われます。



B 「区切る」ことは「つなぐ」こと



 巻子という連続式画面において,時間の変化を表現するためには,時間すなわち場面と場面とを区切る必要があります。結果的に絵巻物では,時間を「区切る」ことによって,場面と場面を円滑に「つなぐ」という課題が生じたのです。 そこで,いにしえの人は場面と場面を円滑につなぐために「霞」と呼ばれる画面構成の工夫を考案したのです。以後,霞は時間や空間が変化する記号として使われるようになりました。この画面構成の工夫は絵巻物を見る人に次の場面を想起させる役割を果たしています。

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そこで


絵巻物における場面と場面を円滑につなぐ画面構成の工夫を,

教材として取り上げてはどうだろうか?と考えました。