小学校での実践 (3回目,グループコラージュ) 制作者(4年生男子8人・女子5人,担任) 平成16年11月 |
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<実際の展開> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【2回の実践を終えての考察】 前回は男子同士・女子同士の制作だったので,今回は男女を交えた心の交流を図ることをねらった。4年生ぐらいでは,性差を意識してとかく男女別の行動を取ることがある。2人組で自由に活動の場を設定させると,前回とは少し違う場の作り方や座る位置・姿勢などが見られた。活動の始めは,男女が離れた場所に座っていたが,活動が進むうちに並んで相談し合う姿が見られた。切り取ったものを画用紙の上に並べる時は,性差を意識した感じはなかった。しかし時間がたつと,「女子が活動をリードし,男子は活動が進まなくなったグループ」や「活動の始めからずっと離れて切り抜きをし,画用紙に貼る時だけ,相手とかかわる様子が見られた男女のグループ」もあった。グループにより活動の様子に差はあるが,コラージュ制作を通して非言語的にも,男女を交えた心の交流を行っていたことがうかがえる。 子どもの振り返りシートには,次のようなことが書かれていた。 @友達と一緒にやってみて感じたこと ○女の子同士でやった時好みは少し似ていたけど,男の子とやるとちょっと好みが違っていました。だけど,うまくできてよかったです。 ○今回は男子とやったので,男っぽいものと女っぽいものが混ざりました。ちょっと貼ったのが少なかったけど,できてよかったです。 ○いろいろな種類の切り抜きがあって楽しかったし,おもしろかったです。C君の切り抜きには,おもしろいものがありました。 ○女子ともいいけど,今度するときは男子とがいいです。(男子) ○作っている時は,「どんな感じにしようかな」とか「E君はどんなことを思っているのかな」「どんなふうにしたらきれいかな」とか考えながらしていました。 ○F君を私が引っ張ったかもしれない。 ○先生としてとても楽しかった。 A他のグループの作品を見たり話し合いをしたりして感じたこと ○私と同じで,ペアの人と好みが合わなかった人もいるんだなと思いました。みんなとってもよい作品でした。 ○前,女子同士でした時とちょっと違っていました。でも,よくできていてよかったです。 ○コラージュをするとこんなに人のことが分かると感じた。また,男子と女子とではちょっとかわった工夫が分かる。 ○みんな上手にできていた。ぼくは男同士だったけど,男女でしても楽しかったんだなと思いました。 ○Gちゃんのグループは動物をテーマにしていることが分かりました。 ○前は先生とやったけど,今回は男子としてちがうなあと思いました。どの作品もそのペアで,好きなものが分かりそうでおもしろかったです。食べ物ばかりを貼ったグループは,話し合いの時に「おなかがへっているから」と言っていた。やっぱり気持ちが伝わるなあと,思いました。 担任の振り返りシートには,次のようなことが書かれていた。 @子どもと一緒にやってみて感じたこと ○相手が替わると,随分違いますね。自分が△△以外のものを貼ったら,Hちゃんはどうするのかなと思って,違うものを貼りました。でも,Hちゃんの様子は変わりませんでした。 A他のグループの作品を見たり話し合いをしたりして感じたこと ○男女が交じったグループは,切るときから既に相手の切るものを意識して制作していました。 男女が交じったグループコラージュだったが,子ども達は同性と作ったときとは少し違う感じを受けていた。選ぶものの好みが違うので,切る時から相手を意識し,画用紙に貼った時のことまで考えて活動していた。1枚の画用紙の上で何をどこに貼るかを相談しながら決めたり,切った物・貼り方などで相手の理解が深まったりしたようだ。ただ,相手を意識した制作になるので,だんだん制作するエネルギーが下がったり,貼る時になってはじめて相手とかかわったりしたグループもあった。グループコラージュをする時は,相手を意識した制作なので,子ども達は個人コラージュをする以上にエネルギーを使うことを考えて実施する必要がある。担任にとっても,男女が交じった場面での交流の一場面を見ることができたようだ。また,担任は「コラージュを通して,心の交流を図る活動はとても考えさせられました。自分の専攻していた美術からつながっていくことがあるのだと知り,勉強になりました。」と感想を述べている。 |
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