共有しよう!「議題」「提案理由」「話合いの柱」
学級会は,全員で実行していくことを決めるのですから,その決定に一人一人の意見が十分に生かされることは,最も重要なことです。つまり,学級全員参加による話合い活動が前提であり,一人一人の積極的な参加を実現したいものです。
そのためには,「何のために話し合うのか?」「何を話し合うのか?」ということが全員にわかっていることが大切です。
本番である学級会までの事前の活動を充実する必要があります。
「議題」「提案理由」「話合いの柱」の3つが事前の活動によって学級全員のものとして共有されていれば,話合い活動が積極的に行われるようになると思います。
学級会前にミニ学級会を設定し,みんなで切実感のある議題を選定し,話し合う目的や内容を明確にしておくことで,一人一人が見通しをもって学級会に臨むことができると思います。

<従来の学級会までの流れ> <ミニ学級会を設定した場合の流れ>
議題の収集(議題箱)
議題の決定(計画委員会)
学級会
   
議題化をはかる 計画委員会@
第1回ミニ学級会
計画委員会A
第2回ミニ学級会
討議化をはかる
計画委員会B
レポート活動
ミニ話合い
計画委員会C
学級会
※討議化 話し合いを深め「討議」を起こすための手立て
全員参加の学級会を実現するためには,
      ミニ学級会の設定と問題解決を中心的に進めていく計画委員会への支援がポイント!

 ミニ学級会とは?  計画委員会とは?
学級の諸問題に目を向けさせ,議題や提案理由,話し合いの柱を共有化させていくための話合い活動。学級会の議題について検討したり確かめ合う場として学級会までの事前に設定することによって学級のだれかの声(議題案)が,話合う必要のある議題として全員に認められていく。
計画委員会が,提案・運営を行う。
曜日を決めて,帰りの会の中に設定しておく。(計画に入れておく)
10分程度で必ず終わるようにするためには,ミニ学級会で何をするのかをはっきりし,たくさんのことを盛り込まないようにする。
マニュアルを用意し,スムーズに進むようにする。
学級活動を推進していくための学級内の組織。4〜6名で組織し,担任と一緒に,ミニ学級会や学級会の推進を図っていく。
計画委員会のグループを年度当初に決めておき,一年間で全員が司会(議長・副議長)を経験できるようにする。
話合いごとに,輪番で計画委員会のグループを交代する。
計画委員会について(15年度研究のページへ)
計画委員会への手立て
休み時間や放課後を使っての指導は,教師も忙しくて大変だが,子どもにとっても大事な時間を使うことになる。さらに,経験したことがない子どもも多く意欲的になる子どもばかりではない。初めは,教師が企画書を作成して行う!
短い時間で,子どもたちの負担にならないように心がける。計画委員会で打ち合わせる内容や仕事の分担などを教師が明確にしておく。

「自分たちでできた」という達成感や満足感を味わわせる。
計画委員会の子どもが自分たちでできそうな部分を任せるようにし,できたら誉めるようにする。できない部分は教師が手助けをする。
ミニ学級会を生かした
 1 議題化を図る
計画委員会@ 
「議題収集」・・・議題を何にしようか?
学級会までの活動計画の作成 ,仕事分担をさせる
 ミニ学級会を含め年間を通して大まかな学級活動の計画を教師が立てておき,日常化を図る。 
学級活動の時間の取り方について(平成15年度研究のページへ)      
学級活動コーナー(掲示板など)の準備
集まった議題案の整理をさせる
(以下の視点を与え,処理の仕方の検討をさせる)
学級会の議題にする
個人やグループの人に考えてもらう
朝や帰りの会で話し合う
係や当番の人たちで話し合う
先生からアドバイスをもらう
※第1回計画委員会までに議題案が集まっていない場合や教師が指導したい提案などがある場合には,アンケートを行ったり資料などを準備したりすることも必要。
整理した議題案や年間計画から議題になるものを選ばせる
第1回ミニ学級会の計画,準備をさせる
第1回ミニ学級会 
「議題検討」・・・議題を何にしようか?
話し合う必要のあることは何かを一人一人に考えさせる
自発的,自治的な活動の第一歩は,自分たちの生活の問題に気づくことから始まる。話し合って解決すべき問題がないか,一人一人に議題案を考えさせることに意義がある。
学級目標を確かめ,自分たちの生活を振り返らせる
計画委員会より提案された議題案も含めて,話し合うべき学級の問題を出し合わせる
計画委員会A 
「議題決定」・・・議題にふさわしいのは何かな?
第2回ミニ学級会の計画,準備をさせる。
第1回ミニ学級会で出された意見を整理して,議題案を1〜2つにしぼる。
第2回ミニ学級会 
「議題決定」・・・議題にふさわしいのは何かな?
一人一人の課題意識を高め,議題の共有化を図る。
計画委員会から出された議題案を全員で検討させ,自分たちの学級にとって必要のある議題を決定させる。
       課題意識の高まり
2 討議化を図る
計画委員会B 
学級会の準備をさせる
学級会の役割決め
話合いカードの準備(議題・提案理由・めあて・柱の決定)と学級会コーナーへの書き込み
帰りの会で話合いカードを全員に配布し,レポート活動についての呼びかけをする。
レポート活動 
「情報リサーチ」
どうすればいいかな?
自分の考えをもたせることで,学級会への意欲を高める
計画委員会から出された話合いカード(議題案)に各自書き込む。
 −自分の学級会に対するめあて
 −友だちや上級生,家族などからリサーチして集めた情報
 −柱についての自分の考え
発表できない子どもの中には,「何と言えばいいか,わからない」という子どももいる。解決するための必要な情報を得ることは自分の考えをもつために大切なこと。議題に応じて誰から情報を集めたらいいかのアドバイスをしておき,帰りの会で計画委員会から呼びかけを行うようにさせる。
話し合いカードに目を通す!
教師の指導や援助の手立てが明確になる。また,計画委員会にとっては学級会の進行の見通しをもたせることができる。
計画委員会C 
学級会の準備をさせる
学級会の進行計画
時間配分・決議の仕方等
板書計画と予想される意見の短冊づくり
学級活動コーナー(掲示板)の書き込み
学級会の進め方マニュアルを参考に進め方を考えさせる。
話合いカードから柱についての意見が予想できるので,討議が深まるような学級会になるように進行を工夫させる。また,決議の仕方については,「たくさん型」「いくつか型」「まとめ型」を提示し,どれにするかを予定しておくようにアドバイスする。
「ミニ話合い」
自分の考えを発表する練習の場を設定する。発表に対して自信のない子どもは,仲のよい友だちとペアになって行うと,発表に対する抵抗を少なくすることができる。さらに,友だちの意見を聞き合うことにもなるので,自分の考えを深められる。
進んで学級会のことを話題にしている子どもたちを見つけて誉めることで,自主的に意見の交流ができるようにしていきたい。
      解決への意欲
学 級 会    
問題解決に向けて,全員が納得した結論を導き出す。 
学級会は,何かを決めることや形だけの活発な話合いが目標ではない。話し合い活動で一番大切なことは,一人一人の思いや願いが生かされ,解決に向けて実践への意欲が高まること。子どもがみんなと話し合って解決したいと思うような学級会を実現し,その達成感や満足感を味わわせることが次の実践活動につながる。
また,普段から一人一人の子どもが「いい学級をつくりたい」という共通の願いをもつような学級経営を目指していきたい。
      実践への意欲
実践活動 振り返り

集団決定したことを全員で協力して実践する。
みんなで協力して解決できたことや失敗したことなどをふり返る。
自分や友だちのがんばりやよさを自己評価,他者評価し,認め合う。

この一連の活動を積み重ねていくことが大切です!
子どもたちの生活は,経験を基盤にしています。自分たちで課題を選び,自分たちで解決に向けて話合い,協力して解決するという学級活動の,この一連の活動を繰り返し経験して学ぶことは,今後の子どもの生活に大きな力になると思います。