1 主題名 規則の意義 4−(2)(対象 西有田町立西有田中学校 3年3組,31名)
                           (実施日 11月12日水曜日 5校時)

                                          授業実践者: 岩永 順子

2 資料名 「二通の手紙」(出典「明日をひらく」 東京書籍)

3 主題設定の理由
○ねらいとする価値について
○生徒の実態について
○資料の活用について
○指導の重点
手立て
 a 生徒同士のグループシェアリングを取り入れる。
 
b インフォームド・コンセントを取り入れた導入をする。
 
 

(1)本時のねらい
   秩序と規律ある社会を実現するために,社会の一員として自らに課せられた義務を確実に
  遂行しようとする心情を育てる。

(2)
4 本時について
5 展開
★学習指導案 中学校第3学年 「道徳」★


 社会には,いろいろな規則がある。規則は私たちに権利を保障すると同時に義務を課するものである。しかし実際は,規則の意味が理解されず,個人の都合や誤った判断から規則が守れないことも多い。秩序と規律ある住みよい社会を実現するためには,一人一人が社会の一員として,自分に課せられた義務を確実に遂行しようとすることが大切であろう。規則の意義を理解し守っていこうとする心情を育てたい。

 本学級は,物静かな生徒が多く,友達の前で自己主張したり積極的に物事にかかわろうとしたりする姿はあまり見られない。規則についても厳しく指導するような場面はないものの,なぜその規則があるのか,なぜ守らなくてはならないのかについての認識はあまりない。そのため,人の見ていないところでは,自分の都合のよい理由をつけて規則を守らないようなこともしばしば見受けられる。
 学習の場面でも,周囲の友達の様子を気にして自分の意見をはっきりと述べることは苦手としている。学校生活を中心としたコミュニケーションについて作成されたアンケート結果によると,自分の能力が発揮できていない(69%),自分は必要とされている存在でない(48.3%)などの自己効力感に関わる質問に対して否定的な結果が高く出ている。また,人が自分のことをどう見ているか気になる(48.3%),自分がどんな印象を与えるか,とても気になる(48.3%)など対人関係についての不安を持っている生徒も多いことがわかった。

 入園係の元さんは,動物園の規則を知っていながら,幼い姉弟の思いに同情し入園を許可してしまう。ところが,いつまでたっても二人は戻らず,園内は大騒ぎとなる。事件後,元さんは姉弟の母親からのお礼の手紙と解雇処分を言い渡す上司からの手紙の二通を受け取ることになる。心情的には元さんのとった思いやりに共感しながらも,そのことが規則を破り,周囲に迷惑をかけて秩序を乱すことであったことをとらえさせたい。

 指導に当たっては,導入で身近な校則と合わせて考えさせ,規則を感じやすいようにした。展開では,責任をとらなければならない厳しさを前向きに受け止めることができた元さんの生き方から,規則の意義について考えさせてねらいに迫りたい。
 また,生徒の自己肯定感を高めるために,カウンセリング等の知恵である繰り返し,賞賛,明確化などを意識して活用し,授業を展開していきたい。

★生徒の言動の応答には,カウンセリング等の知恵である繰り返し・受容・明確化
などを取り入れ,自分への自信と友達への評価を高めるように配慮した。

学習活動 主な発問と生徒の反応   指導上の留意点・
    カウンセリング等の手立て







1 校則について考える。 ○ 校則の書いてあるプリントを読んだ感想はどうですか?
  ・締め付け
  ・自由がない
  ・必要ない
  ・必要なもの
○ 校則の利便性や不便だと思ったことなどの経験を想起させ,日常の行動を振り返らせる。また,動物園のパンフレットを提示して,運営するための規則があることを確認し,資料につなげる。          














2 「二通の手紙」を読みながら話し合う。

○ 元さんは,どんな考えで入園規則を破ったのかを考える。


○ あなたが元さんだったら,姉弟に何と言いますか。

○ 元さんの仕事内容を理解させたうえで,決断を下すまでの気持ちを考えさせる。また,分断提示をすることによって,臨場感をもたせ,考えさせながら進めていく。ワークシートを用いることによって,自己の内面を意識させる。
○ 元さんは,二通の手紙を見て,何を思ったかを考える。
○ あなたが元さんだったら,解雇処分を受けたとき,どんな気持ちになりますか。

 ・規則を破ってみんなに迷惑
  をかけたのだから,仕方な
  い。
 ・姉弟は無事だったのだか
  ら,辞めさせないで欲し
  い。
○ 母親からのお礼の手紙と解雇処分通知の手紙を受け取った時の気持ちを対比し,元さんの心の葛藤を考えさせる。また,前半に提示した資料の中から,元さんの仕事に対する思いをもう一度振り返ることによって,「揺れ動く心」をとらえさせたい。        
         ※授業の様子
○ 元さんが,はればれとした顔で職場を去ることができたのはなぜかを考える。 ○ 元さんは,どのような気持ちで職場を去っていくのでしょうか。 ○ 揺れ動いていた元さんの心を振り返らせて,最終的に決断したのが,規則と責任であったことをおさえる。

           




         
  
 【資料】 
   ※「母親からの手紙」

         と「解雇通知」
4 自分の生活を振り返る ○ 規則の意義を考えた元さんのような気持ちが,あなたの心の中にもありませんでしたか。自分のことを振り返ってみましょう。
○ 日常生活を振り返る際に,学活ノートなどを手がかりに,具体的な場面を思い出させる。そして,これから規則の意義を考え,自らに課せられた義務を確実に遂行していこうという気持ちを強めさせる。
まとめ 5 自分を振り返り,グループでシェアリングをする。 振り返りシートで自分の心の変化を振り返ってみましょう。グループの友達は,一言励ましの言葉を書いてください。
○ シェアリングしたことをもとに,自分の心の動きを意識化させる。また,交流することによって,お互いを認め合い,励まし合うことによって,授業への充実感をもたせたい。
インフォームド・コンセント
シェアリング






ないと困るし…
あまり厳しくても…